8 どうぶつクッキーを食べる。
どうぶつクッキーを食べる。
お腹いっぱいにごはんを食べると幸せだった。(お腹が減っていると元気が出ないのだ)
小さな娘は塩おむすびをぱくぱくと口いっぱいに頬張っている。とても可愛らしい。若いお母さんは塩おむすびを一口ずつ食べながら、そんな小さな娘の姿をじっと見つめていた。
「どうかしたんですか? お母さん」と自分を見ている若いお母さんを見て小さな娘は言った。
「ううん。別になんでもないよ」と若いお母さんは笑って言うと、甘い玉子焼きを食べた。(うん。おいしい)
若いお母さんはクッキーを焼いてきた。家で作る手作りのクッキーは小さな娘の大好物だった。
よく作っていたのは動物の形をしているクッキーだった。
どうぶつクッキー。
小さな娘は動物が大好きだった。(犬か猫が飼いたいってずっと言っていた。でも家の都合でなかなか動物を飼うことはできなかった)
「どうぶつクッキー食べる?」そう言いながら、若いお母さんがわざと見つからないように隠していたどうぶつクッキーの入っている袋を取り出すと、それを見て「はい。食べます!」と元気な声で小さな娘は言った。
若いお母さんはどうぶつクッキーの入っている袋を開けて、からっぽになった(本当にお腹がすごく減っていたのだろう。お昼のごはんのお弁当はすぐになくなってしまった)お弁当箱の横に置いた。小さな娘は袋の中に手を入れてどうぶつクッキーをひとつ取り出した。
それは牛さんのクッキーだった。
「牛さんです。お母さん」と小さな娘は言った。
「うん。そうだね。牛さんだね」と笑いながら若いお母さんは言った。