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5 おいしいものをたべる。

 おいしいものをたべる。


 ぐつぐつとおいしそうな音がお鍋の中からしている。そんなおいしそうな音とおいしそうな匂いにつられて小さな娘がキッチンにやってきた。

「なにをつくっているんですか? お母さん」と若いお母さんの足にぴったりとつっくつようにして、小さな娘は言った。

「ふふ。なんだと思う?」とお料理をしながら若いお母さんは言う。すると小さな娘は「なんだろう?」と言いながらくんくんといい匂いをかいで、かんがえはじめた。

「えっとお肉の匂いがします」と小さな娘は言った。

「あたり。ほかには?」と若いお母さんは言う。

「うーんと、あとは……、」とまたくんくんといい匂いをかいで、小さな娘はかんがえはじめる。

「なんだろう? えっと、だいこんですか?」と小さな娘はいう。

「うん。すごい。あたり。今はね、やわらか豚肉の角煮を作ってるんだよ」と小さな娘を見て、ぐつぐつとおいしそうな音をたてているお鍋をかきまぜながら、若いお母さんは言った。

「え? ほんとうですか?」とすごく嬉しそうな顔をして小さな娘は言った。やわらか豚肉の角煮は小さな娘の大好物だった。

 若いお母さんが作ってくれるやわらかい豚肉の角煮。

 よく煮込んだやわらかくてあぶらみのある豚肉と、それから大きめに切った、おだしのしみ込んだ輪切りの大根と、煮卵。どれも全部おいしくて、いつもごはんがとまらなくなってしまうのだ。(どうしても食べ過ぎてしまうのだった)

「どう? うれしい?」と若いお母さんは言った。

「はい。とってもうれしいです!」と本当にうれしそうな顔をして小さな娘は言った。(きっと、おなかもすごく減っていたのだと思う)

 小さな娘は若いお母さんのお料理の邪魔にならないように、キッチンの椅子にちょこんと座って、そこから楽しそうにお料理をしている花柄のエプロン姿の若いお母さんの後ろ姿をじっと、あきることなく眺めていた。

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