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「あ」と若いお母さんが言った。
あれこれと考えていると、その不思議な白い動物がどこかに走って行ってしまったのだ。
「あ、いっちゃいました」と小さな娘も言った。
「うん。いっちゃったね」と若いお母さんは言った。
結局、さっきの不思議なりすににている動物の正体はわからなかった。(そのことを小さな娘はあんまり気にしていなかった。もう次のことに興味が移ってしまっているのだ)
足が地面まで届いていない小さな娘はぶらぶらと足を動かしている。
若いお母さんはうーんと言いながら、体を伸ばして大きなあくびをした。
「いいお天気だね」と若いお母さんは言った。
天気は晴れていて、あたたかくて、気持ちのいい風が吹いている。(本当に気持ちのいい優しい風だった)なんだか、眠くなってきてしまうようなくらい、とってもいいお天気だった。
「はい。お天気になってよかったです」と嬉しそうな顔で空を見ながら小さな娘は言った。
「あ、お母さん。鳥さんがいますよ。かわいいですね」と小さな娘が空を飛んでいる鳥を指さして言った。
「本当だ。鳥さんだね」と若いお母さんは空を飛んでいる鳥を見て、そう言った。鳥は二羽、空を飛んでいた。仲がよさそうに二羽の鳥はとても近いところを一緒にとんでいる。
大きな鳥と小さな鳥。
「なんだかお母さんとわたしみたいですね」とふふっと嬉しそうな顔で笑って小さな娘は言った。
「うん。そうだね。あの鳥さんたちもお母さんと娘さんの親子の鳥なのかもしれないね」と若いお母さんは小さな娘を見て言った。