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柊家当主の在る非日常 1年次編  作者: 夜亜
第1章 国立大日本帝高院、開院。
4/5

第4話 手始めの学力テスト

秘密の花園こと、校舎の裏の庭園で周と別れた後。聖夜は自分のクラスの教室に戻った。

追加ルールが発表され、"全能大権"を獲得するための競争相手が増えたことにお通夜ムードだった柊クラスだったが、戻ってみると、そんな空気は消えており、和気あいあいとしている。

その理由は、歴然だ。

「はい、次の子〜!そこの…ええと?かきあげみたいな髪の子!どぞっ!」

刈り上げだな、と聖夜は訂正した。

しかし、間違いに気付いてすらないのか、黒髪のポニーテールの美少女は、にこにこと例の男子にどうぞのポーズをする。サイドの髪を刈り上げている男子は、彼女に促されるまま自分の名前と軽い挨拶をした。

「どんどん自己紹介してこっ!閉院までクラス替えないんだから、仲良くしないと損だぞーっ?」

コイツは人を惹きつけるのが昔から得意な奴だなと、聖夜は彼女の姿を羨ましく思った。ニコニコと愛想がよく、相手の懐に入るのが上手い。

ーーー柊美琴(みこと)。聖夜の従姉妹である。

クラスメイトは、大半が柊の関係者だ。血縁者は美琴1人だったが、親が柊財閥の要職に就いているというクラスメイトが多い。

他のクラスもこの構図は同様である。

教室のドアに立ったままの聖夜に気付いたらしい美琴が長いポニーテールを揺らして、こちらを振り返った。

「あ、聖くん!遅いよ〜、どこ行ってたの?皆んな待ってたんだよー」

「ああ、悪い。ちょっとな」

「はいはい〜こっちこっち〜」

聖夜の背中をぐいっと押して、さっきまで自分が居た輪の中心に聖夜をよこす美琴。

「はい、こちら!我らがクラスのリーダー、柊聖夜くんです!顔がとても良いです!皆んな仲良くしてあげてねー?」

「顔がいいって……、もっと言うことはないのか?」

もっとパーソナルデータを入れて欲しかったものだ。

「実は、聖くんはとても寂しがり屋さんなの…お気に入りのくまちゃんがないと眠れないの…」

「おい捏造するな」

輪の中から、笑いが起こる。聖夜が柊の代表者だからか、まだ知り合って日が浅いからなのか、遠慮気味だったが。

「まあ、そういうわけでよろしく頼む。できれば温かい目で見守ってくれると助かるな」

パチパチパチパチと拍手がこだました。

「頑張りましょう、聖夜様!」

「目指せ、全能大権獲得!」

その目は温かい。


だから、とても胸が痛んだ。

聖夜の目的は全能大権の獲得だ。それは彼らの目標と一致している。

だが、聖夜がこれから学院で過ごす際の己の理想像は、間違いなく彼らの期待とかけ離れているだろう。


午前は開院の儀と、クラス内の顔合わせ。

午後からは、入学して初日だったが、なんと学力テストが行われた。

国英数の三教科。加えて、大日本帝高院の歴史についてのペーパーテスト。

後者はこの学院らしさのあるテストだった。

ちなみにこのテストの結果ももちろん、ポイントに換算されて"代表者序列"の順位に影響する。


解答始め、と監督者の合図があった。

全ての学院の生徒が懸命に筆を走らせたーーーーー。





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