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友達がいない僕の学園生活  作者: 立羊風羽
3/4

生徒会長

「会長。今年の部活動の予算案をまとめました」

「そこに置いておいてくれ」

「会長の仕事多いですね。手伝いましょうか?」

「いや。これは全て私の仕事だから気にしなくていい」

「そうですか。ではお先に失礼します」

「あぁ。お疲れ」

生徒会員は荷物を持って生徒会室を出た。

「全く。生徒会長は仕事が多いな」

雨宮はパソコンを閉じた。次は書類の確認だ。コンコン。ドアがノックされる。

「どうぞ」

入ってきたのは学園長だった。

「学園長!どうなさいましたか?もしかして書類に不備が・・・」

「いやそういうわけではない。先日の縁談の話なんだが理沙が断ってな。悪いが今回の件はなかったことにしてくれるか?」

「そうですか。楽しみにしていたのですが仕方ないですね」

「申し訳ない」

「謝らないでください。理沙さんにも事情があるのでしょう」

「理沙は今度挨拶に行くって言っていたから」

「わかりました」

学園長が去ると、雨宮は窓の景色を見た。

「断られたか。ならこちらから接触するとしよう」

翌日。朝のホームルームで伊勢原が教壇で話し始めた。

「今日からそこの席に座っていた溝口だが停学処分になった。問題行動を起こすとこうなるから控えろよ。それから・・・」

「昨日あんなに調子乗ってたのに停学になるとは。馬鹿だな」

「うん・・・」

京太は昨日の溝口の独り言が頭から離れなかった。

(これで学校に行かなくていい)

(もしかして学校に行きたくなくてあんなことを?)

「塚口。塚口!」

「は、はい!」

「出席確認しているから名前を呼んだらすぐに返事をしろ」

「すみません!」

「どうした塚口。授業初日から緊張か?」

「うん。まぁね」

京太はずっとあの独り言を授業中気にするのであった。

4時間目が終わり昼休憩になった。

「塚口。食堂に行くぞ」

「うん」

京太は高田と共に食堂に移動する。

「食堂には何があるのかな?」

「学生が好きな料理ばかりらしいが僕は美食家だから味は厳しいよ」

「そうなんだ」

「僕が好きになる料理はこの食堂に存在するのかな?」

「ねぇ。何あれ」

「うん?」

食堂には女子生徒がたくさんいる。

「キャー!生徒会長よ!」

「すごくイケメン!」

「制服が凄く似合ってるわ!」

「あれは生徒会長の雨宮新だ。学園一の美青年といわれている」

「凄く女子に人気だね」

「まぁ。同じ美青年である僕とは比べ物にならないな。そこの女子たち!この僕を見よ!」

女子たちは高田の方を振り向くが視線は雨宮に戻ってしまった。

「な、なんだと!?僕よりもその男を・・・!」

「・・・ドンマイ」

雨宮は副会長の根村拓人とチャーシュー麺を食べていた。

「全員会長を見ていますが追い出しますか?」

「放っておけ。食事の妨害にはなっていない。それにもう食べ終わった」

「いつの間に!?私はまだ半分も食べていないのに」

「ゆっくり食べろ。俺は生徒会室に戻って作業する」

「わかりました」

雨宮は立ち上がり、食堂を去ろうとするとちょっと待った!と声が飛んでくる。叫んだのは高田だった。

「何だお前は?」

「僕の名前を知りたいかい?知りたいなら教えてあげても・・・」

「ならいい」

「待て待て待て。僕の名前は高田浩二。お前は生徒会長の雨宮だな。僕と勝負をしろ!」

「何の勝負だ」

「バスケだ。先に3点入れたほうが勝ちというルールでそして・・・」

高田は人差し指を立てた。

「僕が勝ったら生徒会長の座をもらう!」

「えっ!?」

食堂がざわつき始めた。

「君が負けたら?」

「土下座する」

食堂はさらにざわつく。

「ちょっと高田君。ご飯は?」

「そんなの後で食べる。僕はこの男に勝たないといけない。先に食べててくれ」

「えぇ・・・」

「会長。こんな奴の言う事なんか聞かなくても構いません!」

突然声をあげたのは根村だった。

「こんな奴だと?それはもしかして僕のことかな?」

高田が少しキレ気味だ。

「そうよ!生徒会長は雨宮先輩だからいいのよ!」

「そうだそうだ!」

食堂にいる生徒が高田に反発する。

「静粛に!」

雨宮の一喝で声が止まる。

「いいだろう」

「本気ですか会長!?」

「5時間目が体育だからな。準備運動に丁度いい」

「絶対勝って見せる!」

体育館。2人共体操服に着替えている。根村の笛での合図で試合が始まった。

高田はドリブルで攻めあがるも新が妨害する。

(フェイントで抜く!)

高田は左に行くと見せかけて右に向かおうとしていた。しかし、新がボールを奪いシュートするとゴールに入った。

「終了!よって勝者雨宮新!」

周りから歓声があがる。高田は汗だくで倒れている。

(クソ~!この僕が負けるなんて・・・)

高田は歓声を浴びる新に近づいた。

「僕の負けだ。約束通り土下座を・・・」

「いや。必要ない。君が頭を下げる姿を見たくない」

「何!?」

「だが楽しかった。また誘ってくれ」

新が体育館を去ると観客は高田に拍手するのだった。

昼休憩が終わり授業を受ける高田は完全に落ち込んでいた。

「あぁ・・・」

落ち込んでいた高田の額にチョークが飛んでくる。

「痛ぇ~~~~~!」

「表情を顔に出すな。授業に乗り気じゃなくなる」

伊勢原は再び板書を始めた。

「クソ~!あの会長覚えてろよ!」

「うるさい」

チョークが飛んでくる。

「痛ぇ~~~~~!」

放課後。生徒会室には雨宮1人だけだった。1人で黙々と仕事している。

コンコン。ドアがノックされる。

「どうぞ」

入ってきたのは理沙だった。

「こんにちは会長」

「理沙さん!」

「挨拶に伺いに来たのですが・・・迷惑でしたか?」

「とんでもない。どうぞこちらの席に座ってください」

理沙が座ると話し始めた。

「先日頂いた縁談の件お断りして申し訳ございません」

「いいえ。気にしていないですから。何かご予定でも?」

「いえ。単純に今は恋愛をする気がなくて・・・」

「なぜですか?」

「私、看護師を目指しているんです。お父様には話していないんですけど母は私が幼い頃看護師だったようで。それに憧れて・・・今はそのためにも学業を優先したいんです。」

「看護師だったとは?」

「私が5歳の時にがんで亡くなったんです。あれから父子家庭で育ってきたのですが片親を亡くした親が小中学校どちらも私だけで。皆お母さんがいるのが羨ましかったんです。私は大切な人を助けたい。悲しい思いをさせたくない理由で看護師を目指すようになったんです」

「そんな過去が・・・」

「すみません急にこんな話しだして」

「いいえ聞いたのは私ですから。空いた時でも構いませんからここでお話を聞かせてくれませんか?」

「えっ?」

「私は理沙さんの話を聞いてその夢を応援したいと思いました。それをそばで支えたいと。理沙さんが努力した話をもっと聞きたい」

「じゃあ放課後空いている時に」

「いつでも来てください。待っていますから」

理沙が去ったあとも雨宮は席に座り続けていた。

「第一段階は上手くいけた。あとは時間の問題だ」

雨宮はパソコンを開いた。フォルダをクリックするとファイルが展開された。名前は『王都彗星学園改革計画書』。

「俺が吉野理沙と結婚し、王都彗星学園の学園長になる。この学園の影響力を使い現代の日本を変える。これは俺の人生を懸ける計画だ。失敗は許されない」

雨宮新。彼は一体何を企んでいるのだろうか。


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