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第2話 僕と彼女の関係

 僕、榊原佑樹(さかきばらゆうき)と、彼女、加賀美陽奈子(かがみひなこ)の関係は、一言で言えば、世間でいう幼馴染という奴だ。


 僕たちの住んでいるマンションは賃貸ではなく分譲マンションで、僕の両親も彼女の両親も、腰を落ち着けようということでマンションを購入したらしい。そして、同じ年ごろの子どもがお隣同士、ということで、自然と交流が生まれたのだった。


 とはいえ、僕はインドア派で昔から家で一人で遊ぶのが好きだったし、ヒナはアウトドア派で、何かにつけ、僕を外に引っ張り出そうとするものだから、最初は鬱陶しかったものだった。


 さらに、彼女の家も共働きなものだから、休みの日は毎度のごとく外に遊びに誘われる始末。


「ゆうちゃん、遊びに行こ?」


 と。最初は僕も鬱陶しがっていたのだけど、付き合わないともっと鬱陶しいことになると理解して、いつしか、彼女の遊びに付き合うようになっていった。


 しかし、運動が好きなものの、ヒナはどこか鈍くさいところがある奴で、運動神経に劣る僕によく負かされていたのだった。


 小どもというのは単純なもので、苦手とはいってもそれで相手に勝てるなら話は別。遊びのたびにヒナをこてんぱんに叩きのめしていたのだった。今思えば、ひどいことをしたものだと思う。


 そんなある日。


「ゆうちゃん、いつもズルばかりしてる!」


 そんなことを彼女が言い出した。何のゲームだったかは忘れたけど、対戦するとヒナは負けまくりだったから、どうにもこうにも許せなかったのだろう。


「別にずるいことしてないだろ。ヒナが弱いだけだって」

「絶対ズルしてるよ」


 そんなことを言い合って、しまいには泣き出してしまったので、さすがに罪悪感を覚えた僕は、彼女を相手にするときは適当に手を抜く術を覚えたのだった。


 そんなこんなで、小学校の頃の僕とヒナは遊び友達、という感じで、特に異性がどうとかいう意識はしたことがなかった。


 それが次第に変わってきたのは、小学校高学年の頃。だいたい、同級生もマセた奴は色気づいてくるもので、なんだかんだ一緒にいることが多かった俺とヒナはやり玉にあがったのだった。


「おまえら、付き合ってるんだろ?」と。


 当時の僕はといえば、ただの遊び友達だったヒナが少しずつ女らしくなっていくのに戸惑いを覚えていたところで、それでいて、好きだなんだを意識するほど大人びてもいなかったので、そんなからかいには、決まってこう言っていたものだった。


「僕とヒナはただの遊び友達。付き合ってなんかいないよ」


 当時の僕が、既にヒナを好きだったかどうかは定かではない。とにかく、それをきっかけに、以前よりはヒナと遊ばなくなっていった。


 そんな、微妙な距離のまま中学校へ進学した僕たち。別に中学受験なんてものをしたわけじゃないので、家がお隣の僕たちは当然のように、同じ中学に行くことになった。


 中学にもなると、少しずつ、性に目覚める年頃で、誰と誰が付き合った、とか、本命、とかそういう話が男子たちの間でも女子たちの間でもされるようになった。


 そして、その年頃の女の子、特に、ヒナは、胸こそあんまり膨らまなかったものの、体型が丸みを帯びてきて、否応なく意識するようになっていった。


 そんな風に異性を意識するようになった僕にとって、一番距離の近い女の子はといえばヒナなわけで、それでいてヒナはとても可愛かったから、僕がヒナと付き合いたいと思うようになるまでそんなに時間がかからなかった。僕がヒナを好きになったのは、そんな、ロマンも何もない単純な理由だった。


 それから、ヒナと付き合うために、彼女の好きなサッカーや野球についても勉強したし、デートで野球観戦に行ったりもした。対するヒナの反応はといえば、野球楽しかったね、とか、また行こうね、とかそういったものばかりだった。断られることこそ滅多になかったものの、でいい雰囲気になったことがなかったのだ。


 ヒナは、少しドジなところも含めて愛くるしい奴なので、魅力を感じた男子も少なくなく、何度も告白をされたのを知っている(というか、僕が相談されたのだった)。そういうときに、決まって彼女がぼやいていた「好きって何なんだろう?」という言葉は印象に残っている。


 というわけで、僕が出した結論は、要はヒナは恋愛がわかっていないのだろうというものだった。それからも、何とか僕のことを意識させようと頑張ってみたのだけど、結果は今の状態。信頼されているのだけど、異性としては意識してもらえていない、そんな中途半端な状態だ。


 新型コロナウイルスの影響で、ヒナとは前よりも距離が近くなったけど、意識してもらう日は遠そうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 幼馴染ものを読んでいて、成功した幼馴染の影に、何十倍もの成功しなかった幼馴染がいたんだろうなあ、といまさらに。きっと彼らの影にも。
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