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第六話 巻物によると俺のスキルがチートすぎるんだが

 「それでリオはヒーラーとしての動きは殆ど出来るって認識でいいか?」


あのパーティの男にヒーラーと言われていたしそういう役割を担っていたのは分かるが実際のところどの程度動けるのだろうと思ったのだが。


「はい。一通りは…出来ます…」

「何でそんなに自信なさげなんだ」

「…私…本番だとテンパっちゃって…上手く出来ないんです」


なるほどな。それは慣れてもらうしかないか。

俺がどうこうして何とかなる問題でもなさそうだし。


「杖はあるのか?」

「あ、ありますよ」


そう言って杖を出してくれた。

強力な魔法を使うには杖が必要だ。

何故必要なのかは俺には分からないがこれは太古から伝わる常識らしい。


「その…ごめんなさい…。おもちゃみたいな杖で」


そう口にしているリオ。確かに彼女のそれはおもちゃみたいなレベルの杖だった。

言うならば本当に練習で使うようなもの。少なくとも塔に持っていくべきものなんかじゃない。


「よくそれでパーティに入れてくれたな」


あんなに偉そうな奴らのパーティによく入れたものだ。


「いえ、その私たち初めは弱小パーティだったんです。でも…みんな強くなったんですけど私だけ置いていかれて」


なるほどな。あの偉そうな奴らだけ勝手に強くなって付いてこられなかったリオは捨てられたとそういうわけか。


「…フレイも迷惑ですよね…こんな私で…」

「いや、俺はリオがいい」


そう言うと下を向いていた彼女は顔を上げて俺を見た。


「最低から上がるのは気持ちがいいだろう?あいつら見返してやろうぜ」

「…私には無理ですよ…」

「諦めるなよ。きっと道はあるはずだ」


そう口にして今思い出した。何故忘れていたのか疑問になるくらいの思い出を。


「俺が何とかする。だから着いてきてくれ。天の果てまで」


あの天の塔を俺達は踏破する。何があってもだ。そのために必要なのなら何だってする。


「俺は…あれを登って両親をぶん殴らないといけない」


まだ幼かった俺を爺ちゃん1人に預けて帰ってこないあの馬鹿どもをぶん殴らないといけない。それが爺ちゃんとの約束でもある。


「私に出来るでしょうか?」

「出来るさ」


リオの頭を撫でてそう言った。




 爺ちゃんの背中は大きかった。厳しくて俺が少し失敗しただけで怒鳴り散らすような爺さんだった。

初めは怖かった。

でも今ならその意味が分かる。あれは俺と未来の俺の仲間のために言ってくれてたんだって。装備は冒険者たちの生命線だから適当な整備では許されないだろう。


『フレイお前のスキルはワシと同じ鍛冶スキルだ』


そんな爺ちゃんが俺に向かって言った言葉今になってようやく思い出せた。


『でも、お前の鍛冶スキルは特殊なものだ。お前の鍛冶スキルの強みは武器の生成…それではなくもっと他にある。それは━━━━武器にスキルを付けることが出来る。これこそがお前のスキルの強みだ』


何でこんなこと忘れていたんだろう。

それから爺ちゃんは俺にこうも言った。


『お前があの塔に本気で挑みたいと考えたなら仲間を集めろ。お前が1人で突破するには厳しすぎる場所だ。ずっと言い続けたこと。鍛冶スキルは戦闘に直接役に立たない。お前の鍛冶スキルは武器を強化するためのものじゃない。仲間を何倍も強くするためのものだ。…忘れるなよ。そしてお前が仲間を集めたのなこれを読め』


そう言って渡された黒い巻物。直ぐにどこかへ置きっぱなしにして忘れてしまっていた巻物。その存在を今思い出した。


「どこやったかな…」


ゴミ山の中から相変わらず目当てのものを探すためにゴミを掻き分ける俺。


「よく分からないけどフレイが私たちを強くしてくれるってこと?」

「俺も完璧に理解してるわけじゃない。ちょっと待ってくれ」


そう言って探すこと数十分。ガラクタ山の最下層に眠っていた黒い巻物の発掘に成功した俺は早速それを開封して読むことにした。


「…」


だいたい理解した。

俺の鍛冶スキルは一般的な鉱石や金属から武器を作り出すような鍛冶スキルじゃないこと。

俺の鍛冶スキルは武器にスキルを導入すること…これが本命だということ。

そして


「━━━━理論上最強のスキルである…か」

「待ってください…最強のスキルは無限魔力じゃ?」


そう言ってきたのはリオだった。確かに…俺も最強のスキルは、無限に魔力を使える無限魔力などの攻撃に特化したスキルだと聞いたことがあるが。

俺の鍛冶スキルが…最強?


「だよな…馬鹿な。そんなことある訳ないだろ…」

「でも、こうも書いてるよ?」


隣から覗き込んできたミーシャが俺の言葉の続きを読んでいく。


「フレイのスキルは武器本体にあらゆるスキルを付けることが出来る…例えば『無限魔力』『ダメージ無効』『絶対回避』…他スキル様々…」


要約すると俺のスキルはこれらの非常に希少な所謂チートスキルと呼ばれているようなスキルを武器に導入することが出来るらしい。


「人間が保有できるスキルは原則1人1つだが…武器に導入すればその原則は無視できる、そして導入したスキルは装備者自信に効果がある。その武器を持てばFランク冒険者でもSランクになれるはず……ってえぇ?!!」


続きを読んだミーシャが絶叫を上げた。


「いや、いくら何でも馬鹿げてるだろ…」


何だそのとんでもスキル。俺もこう思う程だった。

都合が良すぎる。

外れスキルとは何だったのだ。俺はこんなスキルを持っていて追い出されたのか?


「つまり、何だ…俺がこの技術を使えるようになれば2人を文字通りSランク冒険者にすることが出来るってことか?」


確かに弱いと言われている補助系スキルだが。そこまで出来るなら強過ぎないか?このスキル。

しかし俺に対して爺ちゃんは嘘をついたことがない。


「…リオ。お前の杖少し借りてもいいか?今は…試せることは試したいんだ」

「は、はい。いいですよ」


快い返事をもらえた。ならやるしかないな。

やり方は巻物に書いてあった。あとは俺が成功させるだけなのだ。

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