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第三十九(最終)話 みんなと結婚することになった

 俺達が天の塔を攻略してから1ヶ月が経過した。

あれから変化したことと言えば、俺たちは無事に最初で最後といわれているSSSランクになれたこと、それから天の塔は単純な腕試しのためのダンジョンになったこと。


天の塔の話に関しては俺達が最上階までのマップを公開したことが大きい。

それから天の塔にかけられていた報酬が無くなったことにより無理に攻略する人間がいなくなったというのもある。


「前までは自分たちこそが天の塔を攻略するんだって息巻いてたパーティばっかだったのにねー」

「そうだな。それももう遠い過去のように思えるな」


天の塔その最上階を歩きながらミーシャと会話を交わす。

彼女たちと出会ってかなり時間が経ったような気がする。


「私はフレイと踏破出来て本当に嬉しかったよ」


そう言って俺の目を見てニッコリと微笑む彼女。


「俺もお前達と踏破出来て良かったよ」


俺を含めて俺たちのパーティは殆どがお前はいらないと追放された人間だ。

そんな奴らで踏破を果たし今まで最高にイキがっていたパーティを全部黙らせられたのは正直快感を覚えた。


それにこうして俺達が結果を出しSSSランクとなった今でもSランクパーティの奴らは俺たちを嫉妬の目で見ることも少なくない。

それが更に優越感を覚えさせる。


「でも、1番良かったのは私たちみたいな存在が少なくなったことだよね」


奴隷という存在が表向きは完全に消滅したということは大きく変わったことの一つか。

塔の攻略に今まで以上の価値が無くなったことで奴隷を使っての強引な戦闘を行う非道なパーティは少なくなった。

中には………未だにそんなことを続けているバカはいるみたいだが見つかり次第牢屋にぶち込まれている。


「後は飢える人がいなくなったのもいい事だな」


資源の宝庫とまで言われる天の塔。そのほとんどを俺たちの活躍で管理できるようになり食糧難は解決した。

ガーディアン達の邪魔も入らずに食材や色んな資源を収穫出来るようになったのは本当に大きな1歩だった。


「ルディアもほんとに変わりましたよね」


俺の横に並んであの日のことを思い出すように呟いたリオ。


「そうだな。正直変わりすぎて怖いくらいだ」


今まで奴隷に関しては目を瞑っていた部分もあるルディアという国だったが今は許さないという流れが出来つつある。


「全部フレイのお陰だよね」

「何で俺なんだよ」


ふふっと笑うルーシーの言葉にそう返す。別に俺のお陰じゃない。お前らのお陰だろうと言いたいくらいだ。


「いえ、フレイのお陰ですよ?」

「そうですよ。フレイのお陰です」


しかしマミとアリアもそう言ってくる。


「ありがとうな」


照れるが礼を言っておくことにしよう。

あまり否定しすぎるのも嫌味になるかもしれないし。

ふとルイズの方に目をやると彼女も微笑んでから口を開いていた。


「ルディアの皆はフレイに感謝していますよ。英雄だって………もっとも私にとってもヒーローですけどね?」


そう言って俺の右腕に抱きついてきたルイズ。


「あ、ずるいです!」


それを見て俺の左腕に抱きついてくるアリア。


「お前達は変わらないな…」

「だって………私達がここまで来れたのはフレイのお陰ですから。今まで必要とされなかったのに必要とされる嬉しさフレイなら分かるんじゃないですか?」


気付けばマミも俺の前に立ってそんなことを言っていた。


「………」


何と返せばいいのか分からずに固まっている俺を見てイルダがいつもの顔で口を開いた。


「へたれ」

「返す言葉もない」

「私達全員と結婚するくらい言ってみれば?」

「馬鹿なこと言うな」


1人首を横に振ってみた。


「それいいかも。それならみんなこれからも一緒にいられるもんね。私もフレイの事好きだけどみんな好きみたいだしそれが一番いいかも!」


しかしミーシャは前向きに捉えていた。


「寝言は寝てから言え。俺より良い奴を見つければいいだろ?」

「いえ、フレイよりいい男の人なんていませんよ。わ、私も世界で1番フレイの事が好きですから」


そう言ってリオがその顔を真っ赤に染め上げた。


「…みんな、その気みたいですよ?どうするんですか?フレイ?」

「なら、しちゃうか?」


俺個人的な思いとしてはこんな俺を好きになってくれたんなら無下にしたくないという気持ちがあった。

それを前提で考えればしてしまうのがいいのかもしれない。

それに俺もみんなのことが好きになりつつあるのかもしれない。


「はい、しちゃいましょう!」


俺の返事をきてすぐさま飛び跳ねるルイズ。


「これでみんな幸せですね」

「はい。誰も不幸になりませんね」


マミもアリアもそんなことを口にしていた。


「私は…別に…嬉しくなんてない…」

「本当は嬉しいんじゃないの?」


珍しく顔を赤くしているイルダをルーシーがからかっていた。


「…私もいいのかな?」

「いいに決まってますよ。マリーも幸せになっていいんですよ?」


今まで黙っていたマリーとそう会話をするリオ。


「ちゃんと幸せにしてよね?」

「分かったよ。善処しよう」


ミーシャの言葉にそう返しておく。


「お兄ちゃん達結婚するの?」


その時ニーナが近付いてきてそんなことを聞いてきた。


「なら私お兄ちゃん達の娘になってもいい?」

「私が許されるんだし、ニーナもいいに決まってるよ」


マリーが微笑みながら彼女にそんな言葉を送っていた。

そうか家族が増えることになるのか。


「なら、家でも買った方がいいかもな」

「そうですね。どうせなら大きい家にしましょう」


マミの声に釣られてみんな色んな妄想を口にしていた。

今までの家じゃ狭いわけだし。新しく買った方がいいだろうな。


天の塔の中その内部に広がる不思議な空を見上げた。

こんな日に結婚を約束した俺たちを祝福するような青空に燦々と光を放つ太陽がそこにはあった。


まずは感謝を。

ここまで読んでくださりありがとうございます!


これにて天の塔編は完結となります。

作品自体を完結設定にするかどうかなのですが、予想以上に反応をいただけたため、とりあえず連載のまましばらくは様子を見るつもりです。

必要そうなら続編を書かせていただく予定です。


それと新作を投稿しました。

そちらもお読みいただければ幸いです。


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