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第十一話 俺が手を加えた武器がチート武器すぎた

 夜になったので俺達は塔の近くまで移動してきた。

このまま暗闇に乗じて中に入り込むつもりだ。


「準備は出来たか?」


俺の後ろに付いてきてくれている3人にこのまま忍び込んでも問題ないかと質問する。

俺は適当に回復薬なんかを数個持ち込んでいる程度だが3人は他にも何か欲しいものがあるかもしれないと感じたためした質問だ。


「うん」

「だ、だだだ大丈夫です…」

「いつでもいけるよ」


よし。一応全員いけるようだな。


「とりあえずの目標は50階層だ。しかし厳しそうなら途中で引き返す」


全員にそう伝えておくことにした。Sランクパーティで辿り着けるのは80と言われている。

それから考えてとりあえずの目標としては妥当なラインとして考えている。


「それにしても静かだね…」

「夜の塔などこんなものだろう」


別に夜に限った話ではなく常にこの中の音というのはこちら側に届かない。

それにギルドの奴らが侵入してから時間が経っている。

その余韻なんてものは当然残っていない。


「じゃ、行こうぜ」


いつまでもグズグズしていても仕方ない。

特にルーシーの親父さんが何時まで待ってくれるかが分からないのだ。早めに拾えるものを拾って持ち帰ろう。それから武器を作ってもう一度潜る。それだけだ。




 「へー、一応建築物の中の筈なのに本当に太陽があるんだ」


知らなかったのだろうかそう声を出しているルーシー。


「細かいことは分かっていないがここは外界とそう変わらないらしい」


水があれば勿論空気もあるしたまに動物がいたりする程だ、川があればそこに魚が泳いでいたりする。そんなよく分からないダンジョンだ。


「ルーシー、俺達に移動速度アップの魔法をかけてくれるか?」

「任せて」


そう言って短めの杖を取り出して詠唱すると俺達に魔法をかけてくれた。


「すごい…いつも通り魔法使ったはずなのにいつも以上の手応えを感じたよフレイ」

「スキルが効いているんだろうな」


ルーシーの声に応える。

どうやら俺の導入したスキルはきちんと機能しているようだ。

この様子ならリオのものもミーシャのものも期待できそうだ。本当に…踏破すらも狙えるだろう。その事を考えると今から心が踊るが今は先に進もう。


1階にガーディアンはいない。ただ、とりあえず2階へと上がるだけだ。

そうして上がった2階。

あちこちから声が聞こえてきた。今日も今日で冒険者達が塔に挑んでいるみたいだ。


「皆挑んでるんだね」


それを見てミーシャが呟いた。


「そうだな。ここ以上に夢があるような場所はないからな」


魔法や剣、体術の心得があるならこぞってみんな塔に来るのだ。

ここは資源の宝物庫、ガーディアンがいて危険ではあるが、収穫したとしても作物や動物も短時間で育つためここにくる奴らが後を絶たない。


「フレイ」


その時ルーシーが声をかけてきた。


「あれ」

「ガーディアンだな」


ルーシーが指さした方向、そちらからガーディアンが迫ってきていた。

ガーディアンにも色々と種類があるがあれは小型の獣型のガーディアンだった。見た目は犬に近いが、性格はまるで違って凶暴だ。


「先に進むぞ。いちいち相手にしていては時間がかかって仕方ない」

「ねぇフレイちょっと待って」


しかし先に進もうとする俺の腕を掴むミーシャ。


「どうした?」

「ちょっとこれ試してみていい?」


そう言って背中に背負っていた剣を抜き出す彼女。

その動きは剣の重さを感じさせない軽やかな動きだった。


「別に構わないが…」


そう答えると彼女は笑顔で頷いて俺達の前に立った。

そうして一息吸ってから何も無い空を文字通り斬った。


「…」


一瞬の沈黙。

音すらも絶たれたかのような無音の状態がしばらく続いた後、かなり距離があったはずのガーディアンの体が静かに真っ二つに割れてその場に倒れる。

その様子を唖然とした表情で見ていたルーシーとリオ。


「言ったろ?持ってるだけで上がれるって」


自分でやったのが信じられないのか剣を納刀すると自分の手を見つめるミーシャ。

彼女が手にした武器は文字通りの神が振るうような1本。これを持って登っていけない方がおかしいのだ。

とは言え俺も実際に目にするまではその存在自体を疑っていたものだが。


「今の…私が?」

「あぁ。お前がやったんだよ。分かったなら行くぞ。ルーシーの親父さんがいつまで待ってくれるか分からないしな。それに早くしないとジェガル達に先に踏破されちまう」


しかしそう言っても誰も動き出そうとしない。


「どうしたんだ?」

「いえ、その…ぼーっとしてて…」


そう口にするリオはまだあの地に倒れたガーディアンの体を見ていた。


「何なんですか…今の。あんなの見たことないですよ」

「そうだよね。あんなことできる人なんて私も聞いたことない」


リオとルーシーはそう言って俺を見てきた。


「あれ…フレイが研磨したんだよね?」

「確かに、研磨したのは俺だが」


そう言うとリオが俺に飛びついてきた。


「すごいです!すごいです!あんな武器を使える状態にしたのすごいですよ!」

「いや、普通のことだろ?」


俺は鍛冶スキル持ちとして普通のことをやっただけなんだがな。


「フレイ、私もすごい驚いてるよ。でもありがとう。これがあれば本当に踏破も出来そうだよね」


そう言ってにっこり微笑んでくるミーシャ。


「言ったろ?登っていけるって。理解できたら先を急ごう。とりあえず今は俺も武器が欲しいんだよ。何時までもお荷物というのは示しがつかないのでな」


ある程度ミーシャの力で登れたら適当な鉱石や武器を拾ってそれを持ち帰り強化してからまた登り直そうというのが俺の今の考えだ。

それに


「何だ?今の圧は!こっちから感じたぞ!」


他の冒険者達がさっきの一振を感じられたのかこっちへ集まってきているようだ。

面倒事は避けたいしここを直ぐに離れることにする。



誤字報告ありがとうございます。

修正しました。

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