序章
まず、言っておきたい。
今から書く事、それはすべて事実だ。
私が今までに体験してきたこと、その記憶と、記録。
今から書く事は、それらに因んだ事実となる。
まずは名乗ろう。私は、佳依。佳作の佳に、依存の依と書いて、カイと読む。変わった名前に見えるし、聞こえるだろうが、その由来については、いつか書く事があるかもしれない。
そんな佳依は、平成元年の十二月に千葉県で生まれた。だが、事実であるかは分からない。
それを証明する公的な文書を見たわけでもなく、また佳依自身に記憶もないのだから。そのつまり、肉親から聞いた話に因むために、この真偽は判然としないだろう。
現在、佳依は二十九歳になろうとしている。
平成三十年の冬がくれば、佳依はまた一つ歳をとる。
もちろん、無事生きていければ、というのが前提になるのだが。
‥‥、何から話せばいいのか。
現状の佳依、現在の佳依について、話したらいいのだろうか。ならばまずは端的にまとめてこう記そう。
「佳依は、千葉の実家で暮らす二十八歳のフリーターである。特筆すべきは、ストレスによって発症する解離性障害を持っていること。自己の性の認識に齟齬があるXジェンダーであること。毒にまみれた親を持っているアダルトチルドレンであること。愛しき存在であり生きる希望である同性パートナーがいること。以上に尽きる」
さあ、私を。佳依を、笑いたかったら笑え。
佳依は確かに実在している。
実在し、いま生きている。
だが、決して佳依は裕福じゃない、心豊かに生きてなどいない。
それでも懸命に生きようとする佳依が笑いたければ、覚悟して笑え。
これから記していく内容の、その一つ一つが、佳依という人間の生き様であり、人生だ。




