第二話:敵は強敵コウジ。VS次世代機“リヴェル”
ゴオゴオとバーナーを噴かせながら、ユウと、人型兵器“スティズ”のAI『詩羅歩』は、目的地に向かって進んでいた。
「市街地ですか」
シラホは進んでいる方向を予見して言った。
「ああ!市街地で戦闘かー!燃えるぜ!」
「う、ううん。あんまりはしゃぎ回らないでくださいね。壊し過ぎちゃったら評判悪くなりますから…」
「そうだっけ」
市街地を飛び回って戦闘するイメージをしていたユウは、それを聞いて少し冷めた。要するに、誤射はなるべく避け、そして無暗に暴れるなと言うことだからだ。
「それは面倒だなぁ」
「まあ、マスターの実力はよぉく知ってるんで、それに注意しながらでもまず負けないとは思いますけど」
「ん、まあな!」
ガッツポーズするユウ。
「んでも…最近考えるんですよねー」
「何を?」
「“これ”そろそろ交換しません?」
“これ”とは“スティズ”のことだ。ガタが来ているのは確かだし、加えてもう一つの理由もあった。
「えー。こいつには愛着があるし、なんつったってカッコイイ機体だし、手放せねぇよ」
「でも一番古いシリーズですよ?今じゃ“ルゥプ”とか“ヴァルテン”とか、いいのあるじゃないですか。私自身もそろそろ新しい家が欲しいですし」
確かに。どれも一長一短あるものの、“コイツ”よりは基本性能は上がっているのだろう。しかし、
「値が張るんだよな〜…俺って高校生だし、大人みたく強化していけないんだ」
「でもそうしないとその内勝てなくなっちゃいますよ?」
「あ〜、でもでも言うな!安心しろ!根性と努力で何とかするぜ!」
「はあ、さいですか」
呆れて、それ以上二人は会話しなくなった。
そのまま市街地へ到達し、ユウは“スティズ”で市街を歩きまわりたかったのだが…。
「よお、遅かったなーユウ」
と外部スピーカーで声を掛けてきた機体があった。咄嗟にそちらに振り向き、同時にアサルトライフルを構え照準するユウ。
「コウジ!そこにいたかー!!」
「えっ!?ちょ、まっ──!」
ダダダッ!とユウのライフルが火を噴く。コウジと呼ばれた人物が乗る機体は、足を垂らし座っていたビルから即座に立ち退き、その弾丸を何とかかわした。
「ちっ!さすがコウジだぜ!」
「今のをかわすなんて…何者?」
ユウとシラホは二人それぞれ呟いた。その視線の先のビルの上、コウジの機体が両手を怒らせて地団太を踏んでいた。
「くぉらー!ユウてめえ、人を待たせておいていきなし撃つな!」
「すまん。クセなんだ」
「そうかクセか。ですむかー!俺はカッコいいセリフを考えてたんだぞ!!」
「それは…すまん」
「ねえ、なに漫才してんの…」
何かもう、先のコウジの機動などどうでも良くなり、シラけるシラホ。
「それより、あの機体“リヴェル”よ。“これ”の次世代機の」
「コウジ、とっとと始めようぜ!」
「あ、聞いてないのねマスター」
シラホが適当に突っ込んだところで、ユウと同じくコウジも、機体ごとガッツポーズし、
「おう!決着つけようぜ!ユウ!」
「もーイヤこのヒトたち…」
完全にシラホは蚊帳の外にされ、二人の激しい戦闘が開始された。




