支度
「晴れてるっ!?」
部屋に射し込む明るい光に気づいて、ルゥナミアはベッドから飛び下りた。
急いで窓に駆け寄る。
「急に動くな!」
シャルに叱られて首をすくめながらも、久しぶりの天気に心が軽くなる。
チィ、という鳴き声に振り返ると、このところ元気がなかったチロロが、ベッドの上に後ろ肢だけで立っていた。
首を傾げてこちらを見ている。
「元気になったの?」
大丈夫だよ、と言うように、チロロが二度ほど鳴く。
「シャン、チロロが!」
「よかったな。これで出発できる」
「うん。よかった! チロロ、がんばって一緒に行こうね」
チィ、と返ってくる鳴き声が嬉しかった。
万が一のことがあったらどうしようと心配していたので、チロロの元気な姿が見られて安堵する。
ルゥナミアはチロロを手の平に乗せて、ちゅっと口づけた。
「で、ルゥナミアのほうの体調はどうだ?」
「もちろんばっちりよ。どれだけ休んだと思ってるの」
「おれのおかげだな」
「雨のおかげだよ」
ルゥナミアたちは顔を見合わせて笑った。
出発できるとなれば、急いで支度をしなければならない。
足りないものがないかを調べて、もしあれば調達する必要がある。
裸足のままだったルゥナミアは靴を履き、慌しく支度を始めた。




