side.行商人バルト
俺は行商人のバルト。今はセンダイへと頼まれていた品を届けるためにオオサカから荷物を運んでいる途中だ。一人で長い運送は楽しくないな、などと考えているとグンマの辺りで一人の女の子と出会った。
彼女は綺麗な金髪だった。だが、それ以上に衝撃的だったのが、開口一番に「あなたは行商人の方ですわよね?よろしければ私を馬車に乗せていただいてもよろしかったでしょうか?もちろん、対価は支払いますわ!」と、早口にせがまれたのが衝撃的だった。
美人で育ちも良さそうなお嬢さんがどうして一人でなんてなど考えているとお嬢さんが「あっ!そうでしたわ。できたら詮索しないでいただけます?そうした方がお互いいいと私思うんですの!」あんな笑顔でそんなことを言われたら断れないわな。
なんでもお嬢さんの名前はルシアと言うらしい聞いてもいないのに教えてくれた。
彼女は少し自己防衛意識が低いようだ自分の身の回りのことを詮索はしないでくれと言ったのに暇つぶしの会話で話してしまうし、この子がなんか悪いことに巻き込まれないかおじさんちょっと心配。
彼女は俺の配達先のセンダイにちょうど行きたかったらしく、運がよかったと言ってしきりに俺に感謝してくれた。かわいい子に感謝されるのは悪くないね。むしろいい。
オオサカからセンダイは遠いから嫌で嫌々受けた仕事だったが当たりだったな。
この仕事が終わったら仕事仲間の連中に自慢させてもらおうかな。