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第一話

「いつの間にか二年に進級してたなー」

俺はいつものように起きて今までと変わらない朝の支度を済ませ学校に向かう時にふと思ってしまった。

入学当初は今までとは違う学校の規律とかに慣れることが出来ず、退屈な日々を半分程過ごし、二学期の後半になってやっと慣れてきてあっという間の一年だった。

俺の通ってる南善学園は小、中、高、大の一貫校である。そして中学とは比べものにならないくらいに規律が意味不明だ。

まず一つ目に生徒会役員選挙が二学期後半ではなく一学期最初に行われるのだ。

そして新しい高校生活を過ごしていくにつれ俺の辞書からはやる気というものが無くなり学校行事には参加はしてもすぐにやめてしまうといった日々を過ごしていた。

そんなつまらない日々を大きく変えたのは選挙である。

選挙に立候補して生徒会長になればつまらなかった生活を変えられるのではないかと思った。

三学期は立候補のために生徒会へ訪れて役員として働き、そしてやっとこの日がきたのであった。

自分の夢を叶えるのに必死だったせいか今までよりも三学期が早く終わったように思えた。

なんだかんだで無事進級することもでき今に至る。

「おはよう、雨龍。今日から学校忙しくなるよ」

後ろから聞き覚えのある声がしたと思ったら友人の灰戸燈夜はいどとうやだった。

「よお燈夜!!でも退屈よりは百倍マシだよ」

「そうだったね。雨龍は退屈な事が一番嫌いだったね」

今話している燈夜とは小さい頃からの付き合いで、親しい友人の一人で他に言い方を変えると親友って感じかな。

おっと自己紹介するのを忘れてた。俺は橘雨龍たちばなうりゅう

今年から二年になり今は生徒会長になるべく奮闘している。

「でも、雨龍が立候補するなんてビックリしたよ。だっていつもの雨龍だったら面倒とか言ってこういう事しないのに」

「だってよ、つまらん学校生活を変えられると思ったら急にやる気が出てきてな」

「何か雨龍って昔からだけど、子どもなのかバカなのかよくわからないよね」

さらっと毒を吐く燈夜がえげつないな。

「お前もさー、いい加減にさらっと毒舌になるのやめてくれよ。結構傷つくからな」

「大丈夫だよ。そんな事言えるの雨龍ぐらいだから」

「安心出来ねーよ!!そんなヤバいヤツが副会長とかになったら俺の精神崩壊して何しでかすか分からんぞ!?」

燈夜は普段他の生徒には優しいけどごく稀に人が変わったような感じに変貌してしまうんだよな。

中学の時に一回あって散々な目にあったからな。

「そういえば雨龍は生徒会長になったら南善のどこを変えるの?」

「うーん、とりあえずは能力を持ってない人にも優しい高校にしたいかな」

能力とはこの島にいる者なら誰でもが持っているモノで、隣にいる燈夜も持っている。

しかし、なかには能力を持たない者も出てくる。その少数派の所に俺も入ってる。

「確かに雨龍は能力が無いってだけで何かと苦労したよね。去年は校内ランキング戦で直ぐに負けてね」

「いや、あれはただやる気が一ミリも無かったから直ぐにやられたんだよ」

「だよね。もし本気だったら今頃はもっとちやほやされてるもんね」

この学校には毎年一学期の最後にランキング戦というものが存在し、そこで優勝すれば学校最強の称号が得られる。

そして、一人一人に武器が配布されそれを手にランキング戦に挑むのだ。

俺と燈夜にもその武器は存在する。

「ま、今年のランキング戦は優勝確定だからな」

「多分優勝は難しいよ」

俺の自信満々の発言をすっぱりと燈夜が切ってしまった。

「それどういう事だよ?教えてくれ」

「実は僕と同じ副生徒会長候補の東條千代とうじょうちよさんが相当強いらしいっていうのを先輩から聞いたんだよ」

東條?知らない名前だな。そんなに強いヤツなのかな。ま、決勝で勝つのは俺だからいいけど。

「知らないのも無理ないか。じゃあ説明するよ」

燈夜の話によると、その東條千代ってヤツはこの地域で昔から有名な家系らしくて見た目は大和撫子と言われて、

武器は家で代々伝わる長太刀を使い強さは学校で一番なのではないかと噂されているらしい。

去年は諸事情により参加はしていなかったらしいが今年は参加すると言っていたのを聞いたと燈夜は言っていた。

「じゃあ学校に着いたら戦線布告でもしてこようかなー」

「そんなガキ大将みたいな事して東條さんきっと迷惑だと思うけどな」

「俺には剛剣空割ごうけんそらわりがあるんだ。余裕だ余裕」

剛剣空割は俺の武器で身長を軽く超えている大剣だ。

ただこれを使う時の難点は、身長162センチしかない俺が使うと低身長が目立ち、なめられるのではないかと思ってしまう時がある。

「とりあえず行くぞ、早く宣戦布告したくてうずうずしてるんだ」

「分かったよ。じゃあ行こうか」

俺と燈夜は歩くペースを早めて学校へ向かった。

「さて早速東條千代を探すとこから始めるか」

南善高校の玄関の周りを見渡して東條千代を探し始めた。

「雨龍、君はこれでも生徒会長候補なんだからあんまり行き過ぎた行動は避けなよ」

「そんなん後にでもどうにかなるからいいんだよ。それよりもアイツにガツンと一言言わないと気が済まない」

「私に何か御用ですか」

後ろを振り返ると一人の生徒が声を掛けてきた。

「お前誰だ?俺は東條千代に用があるんだ」

「雨龍、ちょっと待って、彼女が東條さんだよ」

「私があなたの探していた東條千代です。生徒会長候補の橘雨龍さん」

おいおい、いきなり自分から来るとは上等じゃねーか。そして、少し挑発してるような言い方をするな。

それにしても、燈夜の言った通り確かに大和撫子と言われるだけの見た目だな。

だけど、気に食わない事が一つある。それは俺よりも背が高いから見下してるのではないかと思えてきた。

「探す手間が省けてよかった。まさか本人から来てくれるとは」

「こっちは朝からいい迷惑です。玄関で私の名前を大声で呼んで、もう少し会長候補としての自覚を持ってくれませんか?これでは今後の学校運営に支障が出るかもしれません」

「すみません、雨龍は見た目も子供みたいだし精神年齢も未熟なもので、ほら!!とにかく今回の件は雨龍が悪いんだから」

無理矢理頭を下げられこれでは悪ガキが親と一緒に謝ってるみたいじゃないか。

「ほら、事が大きくならないうちに行くよ」

周りを見ると登校してきた生徒が俺達のことを見ているギャラリーが出来ていた。

「最後に一つ言わせてくれ」

「何でしょうか?私としては早く教室に戻り選挙の準備をしたいのですが」

「お前って強いらしいじゃんか、校内ランキング戦では決勝で俺が倒すからな!!」

ギャラリーの生徒が一斉にざわめき、俺は無理矢理教室に連れていかれ東條は何事も無かったように無言で教室に行きこの事は何とか終わった。

「何でこう喧嘩腰なのかなー、しかも選挙だってまだなのにトラブルがあったら戦うどころか会長にもなれないかもしれないんだよ」

「でも、ガツンという事が出来た。それだけで十分だ。それにお前の話を聞いて戦ってみたいとか思ったし」

俺が笑うと燈夜は溜め息をつき頭を抱えた。

「あーもう!!どうしてポジティブでいられるのかなー」

「おいおい、知ってるだろ?俺がいつもこんなだってことを」

「そうだけど、多分教室行ったら多分この事でてんやわんやだと思うから覚悟しておいて」

再び燈夜が溜め息をついて俺達は教室に向かった。

教室へ行くと案の定先ほどの話で持ち切りだった。

「おい、噂をしていたら来たぞ!!スゲーな雨龍、あの東條千代に喧嘩売ったって本当かよ!!」

同じクラスの友人が俺を見て直ぐに朝の話を持ち掛けてきた。

「俺はただ燈夜が強いって言ってたから勝負を挑んだだけだ」

「勝負っていつだよ、早めに謝ってその勝負取り消して来いよ」

俺はその言葉に怒りを覚えてしまった。

「知ってるよ、相当強いらしいな!!だから挑むんだよ」

去年の俺の行動を知っている友人もいるので俺の言葉を聞いて少々戸惑っているように見える。

「お前ってさ、いつからこんな熱血キャラになったんだ?」

「違う、俺はただ、退屈な時間が一番嫌いなだけだ」

「そういうことだからこの話を終わりにしよ」

燈夜が間に入って一旦は収まり友人達は戻っていった。

「だから言ったでしょ、こうなるからやめておけって言ったんだ」

「ま、面白いからいいじゃねーかよ」

ここから俺の退屈しない高校生活が始まった。

今回からシェアワールドする前の作品の投稿を始めます。

私以外にマイナス白さん、崇宮ナツメさんの作品を一緒に見ていただけると幸いです

駄文だったり、誤字脱字があった場合はご了承ください。

第二話以降はなるべく早めの投稿を心がけます。

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