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5話 女神エルミナル!

 私は始まりの三女神である、創造神クロト様、再生神ラケシス様、破壊神アトロポス様にとある任務を受けました。


 その任務というのは《破力》の回収


 遥か昔に、世界がまだ造られて間もないころ、世界の外側から、やって来た物体。その物体には世界を滅ぼすほどの強力な力が宿っていました。


 その物体は、地下深くへと埋まり、時が立ち、地殻変動などの様々な要因により、場所は分からなくなっていました。


 そのような物体がなぜ今まで見向きもされず、無害と判断されたのか。それには様々な理由があったそうで、力が宿っている金属の物体が封印の役割を果たしていた事と運命神様が時が来るまでほっておけと言ったのが主な理由だそうです。


 その物体、いえ《破力》を今になって、回収しろと命令が出てから、数年が立ち人界では何の情報も掴めずにいた時、遂に行きたくなかった、魔界に入る事になり、いつものように【女神の力】を使い、地下を調べていました。


 魔界の大地は酷く泣いており、聞くに耐えられませんでした。ですが私には神法により救うことができません。ので、これも任務だと切り替え探し続けました。


 そして、私の力が届く範囲ギリギリに反応がありました。そこは地下100㎞も深くにありました。


 なので、今度は【大地神の力】を使い、その数㎞下にあった、溶岩を操り、上に向かって打ち上げました。


 なかなか大変でした。途中固い岩盤があった為、少しどいてもらいましたが、それ以降は何の問題もなく、その物体は打ち上げられました。


 使った溶岩はしっかりと元に戻し、突き抜けて来た場所もしっかりと元に戻しました。


 そして、力の根源に向かって。


「これが、あの《破力》ですか。やっと見つけました。」


 ◇◆◇


 隆司は、美人女神に掴まれじっと見つめられていた。


(あのー、あなたも女神ですよね?)


 美人女神は考え事しているのか、聞こえていないようだ。


(あのー、聞こえてますかー? あなたも女神ですよね?)


(返事がない。ただの屍のようだ。なんつって!)


 隆司がふざけていると、女神が口を開き。


「あなたは、なぜ自我を持っているのですか?」


(えっ、聞こえてたの。あ! さっきはちょっとしたジョークで、決してあなたが屍というわけではなく……)


 隆司が聞き間違いをして、謝っていると


「いえ、その事は怒ってません。私が聞いているのはなぜ、あなたが感情を持っているのか、と聞いているのです。」


 それを聞いた、隆司は


(そうゆうことか、じゃあ、この状態だとあなたも疲れると思うので置いてもらいますか?)


 この前のことがあった為、隆司はあくまで紳士的に接した。


「いや、駄目です逃げられては困るので。」


 しかし、その思惑は奇しくも崩れ去る。


(何で!?)


「あなたの能力を覗かせてもらいましたが、面倒な能力や知らない能力があったので、それに私はあなたを回収するのが目的なので」


(何それ、いつ俺の能力覗いたんだよ、それに回収って、今のでスゲー逃げたくなったんだけど)


 そう心の中でおもっていると、女神は眉をしかめ


「逃がしませんよ?」


(うわっ、違うシチュエーションでもっと甘え声の上目遣いだったらドキッとしそうな言葉なのに!)


 隆司が文句を心の中で言うと女神は、さらに眉をしかめ、睨み付けてきた。


「どうでもいいことを言っていないで、質問に答えないさい! どうせ、逃げられないのですから!」


(じゃ、降ろしてくれよ。そうしないと何も喋らないからな)


 頑固な隆司の態度に、女神はこめかみをピクピクとさせて怒りの表情を露にする。だが、当然女神は降ろす気などなく「降ろしません」と答え、その答えに対して隆司は「じゃ、何も喋らない」と答える。

 そういった押し問答を数十分続け、ついに女神が折れた。


「はぁ、分かりました。逃げないでくださいよ。」


 と注意した後、女神は小声で「どうせ、逃げられないのに」と言った。そして、呆れた様子で隆司を地面に置くと、隆司は【千変万化】を使い、すぐさま人になった。


(まあ、逃げるんだけどね)


 と心の中でつぶやく、そして、隆司は猛ダッシュで逃げようと、スタートダッシュをきったのだが、少し走っただけで息切れをし、地面に突っ伏した。


「だから、言ったでしょう? どうせ逃げられないって」


 と女神は呆れた表情をしながら、女神は【大地神の力】を使い、土を触手の様に自在に操り、隆司の手足を掴み空中に持ち上げた。


「あなたって馬鹿ですよね? 自分の体の状態も把握出来てないのですか?」


「うるせぇ、こっちはなぁ、この世界に、馴れてないだよ……」


 隆司は息を切らせながら、女神を軽く睨み付けて答えた。

 しかし、女神はそんなことも気にもせずに、手元にいきなり現れた羽ペンで、これまた、いつの間にか持っていた手帳に何かを書き込んでいた。


「なるほど、あなたは前世の記憶を持った者ということですか……」


 体力がとても低く「この世界」と言ったことから転生者と気づいた女神はその事を書き終わると、こちらをちらりと見て


「では、次の質問に……」


「待って、少し、休ませて……」


 女神は手を止めて手帳を閉じる。すると、その手帳と羽ペンは一瞬にして消えた。


「そうですね。私も連絡しなければならない事があるので休んでて下さい。」


 すると、女神は目を閉じるだけだった。


(連絡って、テレパシーみたいのでするのかよ)


 そして、女神が連絡を始めてから1分が経過した頃、疲れが取れたのか隆司は触手から脱出しようとする。だが、すぐに疲れてしまい項垂れてしまう。


(チクショー! 絶体に逃げてやる! あ、そうだ)


 何かを思い付いたのか隆司は【千変万化】を使い石になった。そして、そのまま地面に落下し、また人に戻った。ここまで順調に脱出できたのだが、嬉しさのあまりに


「よっしゃー! 脱出できたぜ!」


 と両手を挙げて大声で喜んでしまったのだった。


 その声に当たり前のように女神は気づき、目を開ける。そして、数秒間二人は目を合わせたまま硬直していた。


 隆司がやばい! と思い一歩踏み出していたときには、女神は二つの銀色の手錠を投げつけていた。


(投げたって意味ないだろ)


 隆司がそう思ってたのもつかの間、銀色の手錠はまるで蛇のように動き隆司に向かった。


「マジかよ!」


 そして、隆司の手足は拘束されてしまい。盛大に顔から地面に転んだ。


「なんだよこれ!」


「それは拘束具です。」


「そんなこと、分かってるわ!」


 と隆司はわめき散らす。ガチャガチャと外そうとしたり、能力を使って抜け出そうとするもなんの反応もなく、意味がなかった。


「いやー、持ってきていて良かったです。今度こそ逃げないでくださいね。」


 と女神は笑顔を向けてくるが、冷や汗が止まらない笑顔を向けてきた。


「は、はい……」


 そして、女神はまた目を閉じて連絡し始めた。その間、さすがの隆司も大人しくしていた。数十分後、女神は連絡が終わったのか目を開けた。


「今すぐ天界に来てもらう事になりました。本当は魔族は天界に入れないのですが今回は特別らしいです」


 そう言った女神は魔族が天界に入るのが嫌なのか顔をしかめていた。


「あー、あの、それは俺に拒否権はないの?」


 女神は間髪入れずに


「あなたにそんな権利はありませんよ?」


 と冷めた目で女神は答えた。


「ですよねー」


 と隆司はにやけた表情をする。


「では」


 そう言うと、どこからともなく青く透き通った美しい宝石を取り出した。その宝石の中には丸や四角の魔法陣が幾重にも重なって描かれており、その中に細かく文字のようなものも書かれていた。


 すると、次の瞬間には宝石が光りだし、足元に魔法陣が出現する。足元の魔法陣は宝石よりもまばゆい光りを放つ


「いきなりかよ!」


「うるさいです。行きますよ」


 そう言うと目の前が、光りに包まれ真っ白になる。


 光が収まった頃には、目の前には青い空が広がり、その空には大小様々な島々が浮かんでいた。そして、かなり距離が離れているが、その島々の間を女神や天使が飛び交っていた。

 そして、女神と隆司が立っている島の石畳の地面には巨大な魔法陣が浮かび、周りには白色の綺麗な花が咲き誇っていた。


(すごいな、天界って。)


 心を読んだのか、女神は少しだけ本当に少しだけ上機嫌になっているように見えた。


「行きますよ」


 女神は魔能拘束具についてる鎖を持ち、島の縁まで続く石畳の道を歩き、隆司をそのまま引きずっていった。


「おい! 馬鹿! しかも、お前片手で引きずるって、どんな馬鹿力してんだよ!」


 隆司は足をじたばたとさせながら言うと、女神は足を止めずに


「あなた女性、しかも神にに向かって失礼な人ですね。」


 隆司が少しだけ文句を言おうと口を開くが、女神はそれを遮り


「後、自己紹介が遅れましたが私の名前はエルミナルです。十二神柱の一人で大地神をやらせてもらっています。決してお前などではないので」


 と少し怒り気味で言ってきた。気にしていたのかと思った隆司がそのことだけは謝ろうとする


「その、それは、すまなかっ……」


「謝らなくていいので」


 ときっぱりと断られた。そして、島の縁に付くとエルミナルは翼を広げ島の外に隆司ごと飛び出す。突然の浮遊感に戸惑う隆司を尻目に女神は


「心の準備をしてください」


と遅すぎる忠告をした。


「言うの遅すぎだぁぁぁぁぁ!」


 と隆司の声は天界に響き渡った。


「うるさいですね」


 と小声で文句を言った。そして、隆司とエルミナルはそのまま落下して行った。


 エルミナルと隆司が落下している先には巨大な浮き島があった。その島の上にはこれまた巨大な都市が形成されていた。

 島の中心には白を基調とした美しい城があり、そこから城を囲む城壁があり、街が広がり、巨大な塔が街を四方八方囲む形で都市が形成されていた。


そして、隆司とエルミナルは島の中心。そう、城に向かって落ちていっていた。


落ち着きを取り戻した隆司が空中でエルミナルにとある質問をする。


「あのー、これ着地どうすんの?」


だが、エルミナルは聞こえてないのか答えない。

その間にも、地面はどんどん近づいてくる。


「着地どうすんだよ!」


焦った隆司は大声で、エルミナルに声をかける。だが、エルミナルは何も答えない。焦燥感をあらわにする隆司、近づく石畳の地面。もう、駄目だ! と腕で顔を隠し、目をつぶる。


そして、数秒、落下の衝撃がまったくこない。というよりは、まだ浮いてる感覚が隆司にはしていた。


恐る恐る目を開けると地面からギリギリの所で浮遊していた。そして、「もう、いいですか?」という知らない声と共に浮遊感がなくなり、地面に着く。


見上げると、そこにはニヤリと笑うエルミナルと白いフードを深く被った身長が小さい女性がいた。


突然の登場に隆司は硬直していたが、その小さい女性が何か呪文のようなものを唱えると隆司に真っ白な服が着せられる。そして用事がすんだとばかり目の前の城の中に消えていってしまった。


「さぁ、私たちも行きますよ」


とエルミナルは言うと、また隆司を引きずる。


「引きずるなよ!」


と文句を言うが、無視され、そのまま城の中に入っていった。

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