はじめての温もり 真異視点
白夜に真異と呼ばれている神は、今も覚えている。白夜に出会ったあの日をずっと。
大切な思い出としてずっと抱えているから。どれほどの長き刻が流れても白夜は真異を責めることはなかった。
だけれど苦悩し続けていたことを真異は知っていた。だけれど白夜が失われることが真異には耐えられなかった。
その想いが執着が呪詛になるほどに白夜を真異は求めてしまった。はじめて触れた優しい温もりを今も覚えている。
真異は魔の神として生まれた。だけれど強すぎる力で同族からも恐れられた。近づくものは誰一人としておらず何時も独りだった。
そんな自分に白夜は微笑みかけ歌を詠んで聞かせそして自分のために舞もした。
だけれど白夜は人の子で何時か死に呑み込まれる。自分の前からいなくなる。それがただひたすらに真異は怖かった。
その恐れが呪詛へと変わり白夜を縛った。人としての死を望んでいたのにそれでも白夜は真異を責めなかった。
責めてくれたら楽になるのに。そう思いもした。でもどこまでも白夜は優しかった。
真異は真名を明かしてはいない。それでも何時か自分を心貴より選んでくれたらずっと共にいよう。そう思いっている。
それは今だ秘められて明かすことはないけれど。愛し愛しとこの心は叫ぶ。それすらも温もりに変わる。
それに真異は涙する。嬉しくて幸福でずっと続けばいいそう今も望んでいた。