白衣の嘆き 真異視点
白夜のなかに何かが宿っていることに心貴も真異も気づいていた。
それを白夜に問いかけると白夜は内緒そう言うように唇に人差し指をあてた。
だからこそ二人はそれ以上は問いかけなかった。そして鎮めの儀式は今はじまるのだ。
白夜は白いただ白い着物を身にまとっていた。帯の部分だけが黒かった。
手にしている扇は黒い表には白い桜が描かれ白い裏には黒い桜が描かれていた。
白夜は息をはくと舞い始めた。はじめの一歩は軽やかにふわりと着物の裾が舞う。
纏う空気は大人びた少女の如くだけれど今だ彼女は無垢だった。
穢れを知らぬ少女は舞う。そして徐々に舞は緩やかになっていく。
白夜は扇をかえすとその纏う空気をがらりと変えた。
大人びた少女は鮮烈な色を纏う大人の女性へと変化し舞は激しさを増していく。
何かに彼女は焦がれている。そう思わせるほどに舞はただ激しかった。
そしてひたりと白夜は舞を止め言の葉を零す。
愛し愛しと誰かを求める言の葉をその紅をひいた紅い唇からただ零す。
「ただ時を連ねれど彼方は何処にもいない」
「どうしてとそう思うのにそれでも愛しいのです」
「ただ彼方が愛しい。もう私の言の葉には応えてはくれぬのですか?」
「ずっと待っていたのに彼方をずっと……」
その言の葉に応えるかのようにその場の空気は揺れた。
そして姿を現した白貴野命は白夜へと手を伸ばした。
ふわり白夜のなかから少女は姿を現し二人は抱きしめあった。
そして二人は微笑みあいその姿を消した。それに白夜は微笑み気を失った。
倒れいく彼女の体を二人は支えた。そして微笑む。
頑張ったな。そう真異は囁き無理をしたのですね。そう心貴は囁いた。
これにてこの一件は終わることとなる。後日三人はこの一件について話し合うものの
今は眠る白夜の傍に二人は寄り添った。早く目覚めてそう祈りつつ。




