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さて、仲良くできるかな?

えっちらおっちらと歩いて、ようやく頂上付近まで来た。

ここは、洞窟が密集しているエリアでもあるんだが、以前来たときとは光景が変わっていた。

そうか、登ってくる途中で見かけた畑みたいな場所は、こいつらのせいか!


洞窟の周辺は、なんと言うか、生活感が出てきていた。

開けた場所に、(かまど)のようなものが作られており、その上では鍋がグツグツしている。

木々の間には、ロープが張られて、洗濯物がたなびいている。

家っぽいものはないが、物置のような小屋がぽつんと建っている。

まだ、十日くらいしか経っていないのに、ちゃんと生活の場として機能しているようだ。


「シシリーおねーさん!」


緑の氏長(うじおさ)と何か話しているお姉さんを発見!

声をかけ、お姉さんがこちらに来る前に、上から降ってきた。


「ネマ様っ!」


またか!!

上から降ってきたのはスピカ。

彼女と激突する前に、森鬼が回収してくれました。私を……。

違くない??


「小娘、いい加減にしろ」


およ?

森鬼、どうしたんだろう?


(あるじ)(しもべ)なら、主に怪我をさせてしまう行動はひかえろ」


淡々とした口調だが、それがまた恐ろしく感じるのは気のせいか?


「…ごめんなさい」


スピカが耳をペタンとしおれさせた。

なぜ怒られたのか、理解したのかな?


「スピカ、星伍(せいご)陸星(りくせい)はどうしたの?」


スピカがいるのに、あの二匹が見当たらない。


「草の氏長と特訓してるよ」


ほうほう。ちゃんと頑張っているようでなにより。


「スピカちゃん、ご機嫌よう」


お姉ちゃんがニコニコ笑顔でスピカに声をかけた。


「カーナ様っ!」


スピカは尻尾をブンブンと振る。その尻尾が森鬼に当たっているが、スピカは気づいていない。


「あるじ様、あいつ何?」


鈴子が険しい顔をして、スピカを指す。


「このコボルトの群れの長の妹さんだよ」


あれ?何かおかしい?

…意味が通じてるならいっか。


「あるじ様になれなれしい。あいつ、しめる?」


鈴子さんや、なぜ物騒な発言になるのかね?

さて、スピカのことをどう説明するべきか。

私の仲間として考えるなら、鈴子たちの方が先輩だ。

だが、スピカは魔物ではなく獣人なので、名前に縛られていない。

将来的には、私の護衛兼侍女として側にいてもらうつもりだし。

うーん、どっちも群れで生活しているから、縦社会の序列とか気にしそうだしなぁ。

うーん、とりあえず。


「シシリーおねーさん、温泉つかわせて」


疲れていると、イライラもしやすくなるだろうし、まずは温泉だよね。


「私に断らなくてもいいのだぞ。ネマ様の好きなように」


そうは言ってもね。この集団だし、やっぱり一言かけておかないとさ。


と、いうわけで、ゴブリンたちの温泉初体験に行ってみよう!


温泉がある洞窟も少し変化があった。

階段の一部が、淡く光っているのだ。

一緒について来たお姉さんに聞いてみる。


「これ、どうして光っているの?」


「セイレーンの洞窟にある、バールライトを使わせてもらった」


「…バールライト?」


「私も詳しくは知らないが、賢者の氏長が言うには、発光する石だとか」


うーん、セイレーンの洞窟にあった、光る鍾乳洞の石かな?

発光すると言っても、かろうじて足元がわかるようになるくらいなので、日常生活には使えないか。


階段を下りきると、温泉の湿気と熱気が感じられた。

そして、温泉も増えていた。

大元の温泉を大浴場とするなら、そこから枝分かれするように、いくつか小さめの温泉が作られていた。

寝転がって入れる浅い温泉や、打たせ湯まである。

そして、お姉さん曰く、火と水の魔法が使える賢者の氏を交代で常駐させ、熱い温泉とぬるい温泉、水風呂の温度調節をしているとか。

…めちゃくちゃ温泉が気に入ったんだね。

もう、健康ランドみたいになってるよ。


森鬼がゴブリンたちに温泉の説明をする。

奥は深く、溺れることもあるから行くなとか、温泉の中で暴れるなとか言っているが、ゴブリンたちは温かい水にビビりまくっていた。

いっこうに入る気配がないので、森鬼がゴブリンたちを温泉に突き落としていった。

ギーギーと悲鳴が上がるが、それもすぐに収まり、突き落とされたゴブリンたちは惚けた顔になる。

それを見て、危険はないと判断したのか、残ったゴブリンたちもおっかなびっくりではあるが、温泉に入っていく。

ゴブリンたちが入ったのを見届けてから、鈴子、闘鬼、森鬼も湯船に浸かる。

闘鬼なんかは、目を閉じて、ぽけーとし始めた。

うん、まぬけな顔も愛嬌があっていいけど、口は閉じようね。牙が見えて怖いからさ。


さて、ここから温泉会議といこうか。

まずは、ゴブリンたちのテリトリーをどうするかだな。

さすがにコボルトと一緒ってわけにもいかないから、雨風をしのげる、大きい洞窟があればいいんだけど。


私とお姉さんは足湯をしながら、森鬼も含めて話し合う。

洞窟群がある一帯をコボルトがテリトリーにしているので、他の洞窟となると、セイレーンの洞窟がある一帯しかないらしい。

そこは、セイレーンのテリトリーだからと、コボルトが避けたのだ。

確かに、そこにコボルトやゴブリンがいては、お姉様たちが獲物をゲットできなくなってしまう。

悩んでいると、お姉さんが山の下の方に洞穴があることを教えてくれた。


「そこまで大きくはないし、奥行きもここら一帯の洞窟に比べると浅い。さすがにこの群れを収容できるとは思えないが…」


まぁ、実物を見てみないことにはなんとも言えないが、よさげであれば魔法で拡張工事してもいいだろうし。


「ネマ様〜!見て見て!!」


離れたところから、スピカの声が聞こえた。

視線をやると、大浴場の温泉の奥の方にスピカがいるではないか。


「泳げるようになったよ!」


スピカよ、温泉で泳いではいけません。

あと、足がつかないところは危ないからやめなさい。


「スピカ、もどってきて!」


私がそう言うと、スピカは一生懸命犬かきで泳いでくる。

狼の獣人なので、犬かきでも間違ってはいないとは思うけど、スピードがいまいち遅い。

今度、クロールか平泳ぎでも教えようかな。


さて、戻ってきたスピカにはお説教だ。

温泉のマナーがいかに大事か、しっかりと言い聞かせる。


「あるじ様にめいわくかけるな」


鈴子がスピカを睨んでいる。

さて、困ったぞ。


「ふふっ。スズコちゃんも可愛いわね。スピカちゃんにネマをとられると思って、嫉妬しているのね」


お姉ちゃんが笑いながら言っているが、笑い事ではない。


「鈴子、あとでスピカとお話しようか」


「…あいつとですか?」


「そう。スピカは私が名前をつけたの。だから、スピカもなかまなのよ?」


鈴子は不満気であったが、渋々頷いた。


「闘鬼、あなたもよ?」


側で温泉を満喫している闘鬼にも声をかけるが、うつらうつらしていた。


「…森鬼、闘鬼を起こして。温泉で寝ちゃうとおぼれるから」


すると、森鬼は闘鬼に拳骨をした。

ゴキンッていう、すごい音がしたんだが、闘鬼は生きているだろうか?


(あるじ)の前で寝るな」


いやいや、別に寝てもいいんだけど、温泉では危ないからやめようねって。

結局、闘鬼にも温泉でのマナーというか、寝ると危ないことを説明し、あとで私が名付けた子たちだけで話し合いをするぞって伝えた。


このあとは、洞穴を見に行きつつ、ゴブリンたちには夜ご飯を調達してもらう。

森鬼とお姉さんには、それぞれのテリトリーを相談してもらうことも追加しよう。


温泉でリフレッシュしたら、またみんなで山を下る。

狩りも一緒にやるよと言えば、すぐに鈴子が指示を出す。


「ギーギッギー!」


相変わらず、ゴブリンにはギーなのね。

鈴子の指示に従い、ゴブリンたちが四匹から五匹のグループになる。

そして、森の中に散って行った。

鈴子と闘鬼も、私に一声かけると、ゴブリンたちのあとを追った。


「あ、あの子たち、ほらあなのばしょ、わかるかな?」


「大丈夫だ。ナノに声を届けさせればいい」


森鬼の言葉が、一瞬理解できなかった。

ナノってなんだっけ?

…あぁ!精霊だ!!

自分でナノって言うように言ったの忘れてた!


残ったゴブリンたちは、ほとんどがおちびさんだった。

おちびさんたちは、いつの間にか騎士さんたちと仲良くなっており、肩車とかしてもらっている。

…ちょっと羨ましい。

私も班長さんに肩車してもらいたいな。


「なんだか不思議な光景だね」


お兄ちゃんがそう呟くと、お姉ちゃんも同意した。


「そうですわね。ネマが起こした奇跡ってところかしら?」


「我らが妹は、神の御使いってとこかな?」


「あら。それは素敵ですわ!」


ヲイ!そこのシスコンども!!

変なことを言い出すんじゃない!


「みつかいはちょうちょでしょ?」


「ネマとして産まれる前が、御使いの蝶々だったのかもしれないわよ?」


そんなことはない。

前世は立派な純日本人だったさ!

ちょっと神様に会ったことがあるだけだよ。

…あ、ソルやラース君の聖獣組ですら、神様には会ったことはないんだった。


「おねー様のいもうとじゃなかったの?」


「ネマッ!」


しまった!

話を逸らそうとして、お姉ちゃんの琴線に触ってしまったようだ。

ギブギブ!お姉ちゃんのぎゅーは苦しいんだって!!


「もちろん、過去も未来も、ずっとネマのお姉様よ!」


「カーナ、ネマが苦しがっているからやめなさい」


ぷはぁっ!

お姉ちゃんのぎゅーは、命がけだぜ。


「ごめんなさい、ネマ」


なんて、兄妹でふざけ合っていると、洞穴が見えてきた。

一応、入口は大きい。

森鬼が中に入って確かめてみると、狭いと一言。

土の魔術師でもある騎士さんに、拡張は可能かどうか確認してもらう。

まぁ、土の精霊に聞いた方が早いのだが、まだ森鬼が精霊使いであることを隠しているので、お願いした。


騎士さん曰く、岩盤が硬いので、大掛かりにやっても大丈夫とのことだった。

ふむ。ならばやってもらおう。

というわけで、洞穴を大きくしてもらった。

ゴブリンたち全員が雑魚寝できる程度に。

あとは、騎士さんたちがいなくなってから、森鬼が自由に変えていけばいいさ。


「では、案内役を決めた方がいいな」


お姉さんが言ったのだが、なんの案内役だろう?


「我々のなわばりには、魔法による罠を仕掛ける予定だ。ゴブリンたちが用があったり、温泉を使いたいと来て、誤って罠に引っかからないようにだな」


なるほど。

あの子たちなら、確実に罠に引っかかるな。

ぜひとも、お願いしますよ。


そして、テリトリーの問題は、すぐに解決した。

山の上がコボルト、下がゴブリン。中央は共同の狩り場と言ったところかな。

スライムたちにはテリトリーを決めていない。森鬼もお姉さんも、スライムは自由にしてていいとのことだったので、山のすべてが遊び場だ。

セイレーンのお姉様方がいる洞窟は、絶対に手出し無用。セイレーンに用事があるときは、(かい)を通すようにすること。

決まったのはこれくらいかな?


さて、そうこうしているうちに、ゴブリンたちが戻り始めた。

いつの間にか、森鬼が洞穴の場所を連絡していたようだ。

仕事が早いな、森鬼は…。


最初のグループが持ち帰ったのは、魔蟲(まむし)だった。

うん、美味しいよね。

次のグループは果物だった。

どこにあったのかな?

鈴子、闘鬼が率いるグループは、ジャイアントボアとマルを狩ってきた。

いやいや、鈴子。ズルズルとジャイアントボアを引きずるホブゴブリンとか恐ろしいから。ビジュアル的にも討伐対象になっちゃうから!


「あるじ様!ジャイアントボア、つかまえた!」


闘鬼が牙をカッと出して笑う。

威嚇にも見えるけど、たぶん笑顔だ。ぱっと見では笑顔に見えないけれど…。


「闘鬼、すごいね!一人でつかまえたの?」


「…スズ子に手をだされた…」


怒られるとでも思ったのか、闘鬼が俯いてしまった。


「お前がよそみした!」


闘鬼が危ない状況だったのかな?

それで、鈴子が助けに入ったと。


「闘鬼、強くなったね。偉い偉い」


俯いた闘鬼の頭を撫でる。

闘鬼には髪の毛がないので、ツルツルした感触だった。

ハゲ…ではないと思う。スキンヘッド…でもないか…。やっぱり、ハゲ?

闘鬼の頭も気になるが、狩りの最中によそ見をするのはいけない。


「でも、てきの前でゆだんはダメよ!鈴子がいなかったら、闘鬼が死んじゃってたのかもしれないんだから」


「………」


(だんま)りしているが、それもダメだぞ!


「こういうときは、ごめんなさいって言うのよ」


「ご、めんなさい?」


「そう。そして、鈴子にはありがとうって言える?」


「…あり、がとう?」


「悪いことしたと思ったら、『ごめんなさい』。助けてもらったり、してもらったことがうれしかったら『ありがとう』って」


「わかった。あるじ様、ありがとう」


おぉ。ちゃんと理解してくれたみたいだ。


「どういたしまして」


そして、鈴子にもちゃんとありがとうを伝えた闘鬼。

鈴子はプイッと顔を背けたが、それが照れているのだとわかった。

微笑ましい光景にほっこりしていると、森鬼が声をかけてきた。


「主、話し合いとやらはいつするのだ?」


そうでした。

もう、今やっちゃえ!


「みんなしゅーごー!」


森鬼、鈴子、闘鬼はもともと私の側にいたけれど、スピカが来て、ノックスも木から降りて来た。そして、珍しいことに、森鬼の肩にとまったのだ。

森鬼がいなくて淋しかったのかな?

グラーティアも肩の方に移動してきた。

お前は、私の髪の中でいつも何をしているんだ?

謎多きグラーティアなのである。


(はく)?」


白の姿が見えず、キョロキョロ見回すと、お姉さんに捕まっていた。

お姉さんも癒しが欲しいのか…。


気づいた白は、お姉さんの手元から逃げ出し、私のところへやって来た。


「みゅ〜」


助かった〜と言っているように聞こえるのは気のせいかな?

あんな美人なわんこにもみもみされて、羨ましいぞ、白。

そんな白を撫でると、ひんやりした感じがまた気持ちいい。

この間、グラーティアが白の中に入っているのを見てから、私には密かな野望ができた。

雫の中に入ったら、どんな感じなのだろうかと…。

きっと、どんな極上ベッドよりも素晴らしいに違いない!


さて、全員揃った…あ、星伍と陸星がいない。

(かい)(しずく)は…仕方ないか。


「鈴子はスピカと仲良くしたくないの?」


「…そいつは、あるじ様を危険にする」


「森鬼は?」


「主が側に置くと言うなら、躾が必要だろうな」


子供だから落ち着きがないっていうのもあるんだけど、躾ってどうすれば…。


「スピカはどうしたい?」


「みんなはネマ様の群れなんでしょう?私も入りたい!」


スピカが予想外の発言をした。

群れって…。なぜだかゴブリンのボスではあるが、実際は森鬼任せだから何もしていない。

森鬼や鈴子が私を主と仰ぐから、他のゴブリンたちもそれに倣っているだけだと思う。


「群れとは違うかもな。群れは家族で、主は主だろう」


「私はみんなのこと、なかまだと思っているよ?あ、ノックスは家族だけど…」


そう言うと、白とグラーティアが悲しそうにこちらを見ている。


「うっ…」


白は目がないくせに、めちゃくちゃ視線を感じる。グラーティアもカチカチと牙を鳴らして、何かを訴えてきた。

ぼくたちは違うの?という声が聞こえてきそうだ。

いや、だって。ノックスはペットみたいなものなんだよ。ディーと同じというか…。

つか、この中で唯一の動物なんだよ!君たちみたいな特殊能力は持ってないの!!


「ピュイッ!」


ノックスが一鳴きし、森鬼の肩から足元へと下りると、グラーティアは私の肩から飛び降り、ノックスの方へと行く。

そして、ノックスの前で、前脚を揺らしたり、反復横跳びをやったりと、奇妙な行動をし始めた。

今度は白がそれに合わせて、縦や横に伸びたり、ポチョンポチョンと飛んだりしている。

君たち、急にどうしたの?


「ピュイピュイ!」


「こちらはどうやら決まったようだな」


「なにが!?」


森鬼はこの一連の謎の行動が理解できたのか?


「序列だな。ノックスの方が上だということだ」


え?いつ、決まったの?どうやって??


「えーっと、ノックスがおにーちゃんってこと?」


「主がノックスを家族と言うなら、その下についた二匹は弟になるかもな」


いや、自分で言っておいてなんだが、ならないだろ!

…あれ?兄弟って言うよりは、兄貴分と弟分ってこと?


「順番で言うなら、コボルトたちが下になるべきだが…」


ふむ。赤ちゃんスライムたちもいるので、コボルトが下だとは言えないか。

ただ、上下を決めた方が円滑になるなら、それもありなのか?


「じゃあ、森鬼がみんなのおにーちゃんだね!」


森鬼が長男で、ノックスが次男だな。ノックスが長男だったら締まらないし。鈴子が長女で、闘鬼が三男。雫が次女で…。

白もグラーティアも、スピカも海も、なんとなく末っ子属性なのは気のせいかな?

星伍と陸星は、まだお兄ちゃん的な部分を持っている。実際にお兄ちゃんだし。

まぁ、一番の末っ子は、生まれたばかりの赤ちゃんスライムたちだろうけど。


「白とグラーティアはどっちがおにーちゃん?」


聞いてみると、二匹の動きが止まった。

お互い見つめ合い、ビクともしない。

ちょっとばかし気まずい空気が流れ出したとき、白が突然大きくジャンプした。


「みゅっみゅみゅぅぅぅ!」


「白が兄だと言っているな」


あの間に、どんなやり取りがあったのか…。

とりあえず、白が四男に決まったようだ。

こりゃ、グラーティアは下の子だな。末っ子を赤ちゃんスライムたちとしたら、そのすぐ上の子。

グラーティア自身も、まだまだ幼体だし、母親と大きさを比べるとかけ離れているもんね。

ってことは、星伍と陸星はこちらでも五男と六男になるのか。

スピカは星伍たちの上の三女で、海が七男、グラーティアが八男。末っ子は、赤ちゃんスライムたちっと。

…そして今さらだが、白とグラーティアの性別は雄でいいのかな?

白は大きくなったら親スライムになって、子供を生むんじゃなかろうか?

そもそも、スライムに性別ってあったっけ?


「白は男の子?女の子?」


「主、スライムに雌雄はないぞ」


ですよねー。だと思ってました。

だったら、男の方が多いので、女の子枠でお願いするよ。

白が三女で、スピカが四女っと。

こうして考えると面白いね!


「と、いうことで、鈴子はスピカのおねーちゃんです!」


「「お姉ちゃん!?」」


綺麗にハモったな。

表情は正反対だが。

鈴子はビックリしていて、スピカは嬉しそうにキラキラしている。


「スピカがあぶないことしたら、鈴子がおねーちゃんとして、ちゅういしてあげて」


「…お姉ちゃん…」


鈴子は考え込んでいるのか、その後黙ったままだった。


「あるじ様、おさは?」


大人しく話を聞いていた闘鬼が質問してきた。


「森鬼はいちばん上のおにーちゃんだよ!」


「おにーちゃん?」


ぷっ!闘鬼がお兄ちゃんって似合わない!!

強面な顔なのに、お兄ちゃん!!


「闘鬼はあにきって呼んであげて。おにーちゃんの別の呼び方なんだ」


「アニキ?」


そうそう。

森鬼と闘鬼が並んだときに、呼び方がお兄ちゃんだと私の腹筋崩壊の恐れがあるから、アニキの方がいい。

やのつく自由業ではないが、強面とイケメンならアニキの方が似合う。


「新しいお姉ちゃん!スズコお姉ちゃん?」


「そう、鈴子おねーちゃん。森鬼おにーちゃんに闘鬼おにーちゃんだよ」


お兄ちゃん、お姉ちゃんという響きが嬉しいのか、尻尾がものすごい勢いで振られている。


「シンキお兄ちゃん!トーキお兄ちゃん!」


闘鬼はお兄ちゃんと呼ばれるのが満更でもないようで、照れ臭そうにしている。

森鬼はおでこに手を当てていたが。

なんだ、その頭痛いみたいなポーズは!

変に序列を作るより、兄弟みたいに仲良くする方がいいでしょ!

まぁ、世の中には仲の悪い兄弟というのも存在するが…。逆に血が繋がらない方が、上手くいくこともあるのだよ。


「お姉ちゃん…妹?」


「そうだよ。スピカも白もグラーティアも、鈴子の妹、弟だよ!」


グラーティアはみんなに、よろしくと言うように謎のダンスを踊っていた。

付き合いよろしく、白も合わせるもんだから、妙に気が抜ける。


「スズコお姉ちゃん、よろしくね!」


「っ!別に、スピカのためじゃない!あるじ様のためだ!」


うーん、顔がニヨニヨしてしまう。

そんなことを言いつつも、ちゃんとスピカと呼んでいるあたりが、素直じゃなくて可愛いな。


「次は、星伍と陸星、海と雫と赤ちゃんたちも呼ぼうね!」


みんな揃ったら、さぞ壮観だろうな。

うん!今から楽しみだ!!



皆様のご支援もありまして、重版していただけました。

本当にありがとうございますm(_ _)m


さて、ネマと愉快な魔物たちですが、何とか仲良くしてくれそうです。

兄弟設定考えるの、楽しかった!


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