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★発売お礼小話 忙しい一日

今日はお出かけの日です!


王都に有名な旅興行の一座が来ているんだって!

初日は明日からなんだけど、今日は王族たちを招待した特別公演をやるらしい。

そこで、王様が王族と仲のいい人たちを一緒に招待してくれたのだ。

我が家はもちろんのこと、大臣たちや将軍の家族も呼ばれているし、王妃様と仲良しのご夫人方もいるらしい。


私は朝も早くから、着せ替え人形よろしく、準備に追われていた。

お姉ちゃんを筆頭に、使用人たちがああでもないこうでもないとお出かけの服を選んでいる。

私の服は、竜玉(オーブ)なうさぎさんに合わせてデザインされているので、どれもメルヘンというかふわふわした可愛らしいものばかりだ。

決まったのは、ピンクとオレンジといった暖色系の紗のようなものを重ね合わせたドレスだ。妖精の羽みたいな小さなマントがついているのが珍しい。

羽があるから、うさぎさんは手に持つことにした。

髪飾りはお誕生日にもらった、竜舎の子たちの鱗で作られたやつ。

完成した私を360度確認して、お姉ちゃんたちはご満悦な笑顔で可愛いと褒めてくれた。


会場は商業地区の南側。サンテンス広場の一画にテントを建てている。

この広場は旅興行に使ったり、お祭りのときのメイン会場に使ったりする。


ステージがある大きなテントの側にある馬車寄せで下りると、ヴィがいてエスコートしてくれた。


「ヴィ、ラース君、ごきげんよう」


スカートの裾を軽く持ち上げて挨拶をする。

今日は非公式な場だし、堅苦しくしなくていいと、事前にパパンに言われていたので、いつも通りの挨拶にした。


「見ての通り、俺もラースも息災だ。ネマは偉くめかし込んで来たな?」


「おねー様がえらんでくれたの!」


「相変わらずの甘やかしだな」


こらこら!褒め言葉はないのかよ!?

紳士の嗜みはどうした!!

まぁ、別に褒めてもらいたいわけじゃないからいいけどさ。


「今日は大人しくしておけよ?」


失礼な!行く先々で問題起こしてないでしょ!ほとんどがたまたまだよ、たまたま!


ヴィに案内されて向かった席の周りには、知った顔ばっかりだったので安心した。

オリヴィエ姉ちゃんとその両親。ユージン兄ちゃんの両親。サンラス兄ちゃんは奥さんと一緒で、ゴーシュじーちゃんと長男夫婦に孫一同。ゴーシュじーちゃんとこが一番大所帯だな。

ゴーシュじーちゃんとこの末の孫のリリアーナは私の一歳下だ。私をお姉様と慕ってくれる、凄くいい子なのだ!

今も私を見つけると、満面の笑みで手を振ってくれている。私も嬉しくて、ブンブンと大きく振りかえしてしまった。

おっと、いっけね。おしとやかおしとやか…。

これを見終わったら、王宮で交流会があるって言ってたから、そのときおしゃべりしようね!と、念を送っておいた。うん、絶対通じてない!



私の席順おかしいよ!!

右から王様、王妃様、ヴィ、私、お兄ちゃん、パパン、ママン、お姉ちゃん。

私、なんか挟まれてますけど。ヴィの隣って、婚約者候補のお嬢様方では?

つーか、お姉ちゃんもその一人だったはずなんだけどなー?

不満気な顔をしていたら、王妃様が「わたくしの膝の上にいらっしゃる?」なんて言ってきたので、遠慮なくお断りしておきました。いろいろとあとが恐ろしいことになりそうだからな!



気を取り直して、そろそろ始まりそうなステージに集中しよう。


徐々に暗転していくステージ。

真ん中にスポットライトが点くと、そこには一人のダンディなおじ様がいた。

数ある礼服の中でも年配の人が好む、詰め襟の軍服に似た礼服を粋に着こなしている。

私は一瞬、学ランに見えてビビったのは内緒にしておこう。

学ランに肩のびらびら…紐じゃなくて(ふさ)のやつね。銀色のやつが付いているんだけど、違和感拭えない…。

私が学ランの先入観があるからなんだろうけど、視界に入るとあのびらびらが気になってしょうがない!

ダンディなおじ様が口上を言ってるっぽいけど、ちぃーっとも頭に入ってこなかったよ!びらびらのせいで!!


座長と思われるダンディなおじ様がステージから下がると、小さな女の子が出てきた。女の子を認識した途端、周りがざわついた。


鼠族(そぞく)の獣人とは、珍しいな」


ヴィが呟いた言葉に私はビックリだよ!

獣人だって!?しかも、超珍しいネズミさんだと!!

私はステージに出てきた鼠族の獣人をガン見する。

薄茶色の丸い耳が頭の上にちょこんと乗っていて、口元は前歯が少し出ている程度。出っ歯って感じではないので、顎の仕組みが人とは違うのかもしれない。お尻には細く長い尻尾がついていて、ゆーらゆらと揺れている。

女の子だと思ったが、鼠族であるならば成体だろう。つまりは立派な女性。身長は私よりも高いが、それでも120センチくらいしかないのではなかろうか?

一言で現すなら「合法ロリ」だな!

小っちゃくて可愛い!!


「皆様はじめまして。私はチュリと申します。私のお友達を紹介しますね!」


これまた声も可愛らしいアニメ声だ!

合法ロリにロリヴォイス…最強だな!!


「フィーちゃん!リュー君!」


ステージの両側から出てきたのは、アナコンダ級のでっかいヘビだった。

シューシューと、舌を出し入れする音がここまで聞こえてくる。

全長は10メートルほどだろうか。あちらのヘビと違うのは胴体の太さ。たぶん、直径にすると1メートルは余裕で超えている。人も丸飲みできる大きさだ。

向かって右のヘビは薄い黄色でストリムボアだと思われる。

この種類は半水棲で、昼は川縁などの湿地帯の巣に篭っていて、夜になると川に入り餌を捕る。こちらの爬虫類もどきは変温動物ではないので、習性も変わっているものが多い。

もう一匹はフォレトボア。こちらはモスグリーンに濃い茶の模様が入っている。木の上が主な活動域で、アミメニシキヘビに似ている。


にしても、小さな獣人と大きなヘビが同じステージにいるっていうのが凄いな。

あまりお目にかかれない大きなヘビに、客席は騒然となっている。

そんな中で、ストリムボアが音もなく鎌首をもたげた。その先にいるのはチュリさん。客席のあちこちで、危ないっ!という声が上がる。

その声でチュリさんが後ろの様子に気づいたようだ。


「あら?フィーちゃんってばヤル気満々ね!」


気のせいかな?「殺す(やる)気」って聞こえたような…。


「フィーちゃんも張りきってるので、早速二匹の凄いところをご覧ください!」


チュリさんが勢いよく尻尾を床に打つ。チュリさんも張りきってますね!


ここからはハラハラドキドキしっ放しだった。

チュリさんがヘビの口の中に入ったり。そのままゴックンされないか心配で。

棒にぶら下がった二匹をブランコにして遊んでみたり。テントが壊れないか恐怖した。

ヘビの力を見せるために、岩を粉砕させてみたり。でっかい破片が飛んできてマジでビビったよ。客席に防御魔法がかけてあって、魔法の世界でよかったと思ったのは言うまでもない。


出だしのインパクトを狙ったのか、他の()し物はサーカスと言っていいものだった。

ワイルドベアーの玉乗りとか。まぁ、玉が巨大だったけど。

双子ちゃんの空中ブランコや綱渡りとか。双子ちゃんが猫の獣人の子供で萌え死ぬところだったけど。


一度幕が下り、休憩時間となる。

ほぅっと息を吐いて、落ち着こうとするが、興奮冷めやらぬとはこのことか。

誰かと先ほどの感動を共感したくてしかたがない。

休憩中は、お兄ちゃんやお姉ちゃんにすごいね!を何度連呼したことか。

できればリリアーナのもとへ向かいたかったが、王様たちがいるのでできなかったのだ。

お兄ちゃんもお姉ちゃんも、ちゃんと相手してくれたので助かったが、感想がチュリさんすごいね!双子ちゃんすごいね!とワンパターンだったのは申し訳ない。


間もなく開演しますというアナウンスが流れると、席を立っていた人たちが戻ってくる。

幕は上がっていないが、音楽が流れ出した。

こっこれは!!

耳に優しくも、ジーンと体がしびれる感覚。

まさか、プープガーなのか!?

女神様が愛した楽器と呼ばれるプープガー。

球体を平行に三分割した真ん中の部分という、一風変わった形をしている。

演奏のしかたも変わっていて、筒状になった部分に、風の魔法を入れる。

この魔法の種類も演奏する曲によって変わるらしい。

その魔法を、指に(まと)わせた風の魔法で共鳴させて、美しい旋律を奏でるのだ。

女神様に愛され、風の上級魔術師であるチートなお兄ちゃんですら奏でることができなかった楽器だ。

これぞ、天上の音楽!鳥肌たったよ!!


まだ幕も上がっていないのに、会場には感嘆の声が漏れる。

プープガーの演奏が、穏やかなものからリズミカルなものに変わると、ゆっくりと幕が上がった。


幕の向こう側は、世界が変わっていた。

ステージだったものが、美しい海の世界になっている。

たとえるなら、水族館にあるパノラマ水槽に近いだろうか。

そんな青いステージを背景に、スポットライトが当たる。

プープガー奏者だ。

どんな人が演奏しているのかと、観客の視線が集まる。

そして、再び感嘆の声が漏れるのだ。

これまた初めてお目にかかる種族で、顔面偏差値の高い我が国の者たちですら見惚れてしまう美貌。

魔族である。

魔族の中の、どういった種族なのかはわからないが、真珠のような艶めく白銀の髪、閉じてある瞳は何色だろうか?女性も嫉妬してしまうであろう、白磁の肌。

魔族のイメージである黒を払拭してしまうくらい、白という色がとても似合う男性だった。

しかし、魔族の象徴でもある背中の翼は漆黒で、そのコントラストがまた美しい。


その魔族が奏でる音楽と共に、ステージの海では鮮やかな衣装を身に纏った男女が出てきた。

女性の足は、魚のようになっていて、最初は人魚かと思ったが、それも衣装の一部分みたいだ。

その男女が優雅に舞う姿は、正しく芸術品だった。

長く息継ぎをしていない様子から、彼らは魚族(うおぞく)の獣人であると思われる。

ほぼ人型である魚族は、水かきを持ち、水中でも呼吸ができるらしい。

羨ましい能力である。

舞手がいなくなると、演奏も止まり、ステージの袖から男性が出てきた。


「南の海に、ホーゼルド国の水軍が現れたか…」


「陛下、敵軍がソユン平原に集結しております!」


ん?んん??

えーっと、演劇っすか?

わけがわからず、首を捻っていると、ヴィが耳打ちしてきた。


「初代国王ギィの、デルニアの戦いだ」


そう教えてくれた。

ほうほう、初代国王の逸話の中でも、トップ3に入るくらい人気のある話ですな。




今は滅びたデルニア帝国。ラーシア大陸の南にあり、肥沃な大地のお陰で黄金の国と呼ばれていたらしい。

しかし、平和だった国にも戦国の世の波が押し寄せてくる。

そんな時代に即位した皇帝は、民を守るために戦いを選んだ。

しかし、戦いの日々は皇帝の精神を狂わせていく。

のちに、デルニア帝国最後の皇帝、狂帝とも呼ばれたモルダー・ジュ・デルニア。

いつからか彼は、大陸統一を称え、ラーシア大陸の強国であるライナス帝国進軍への足がかりとして、ガシェ王国へとその牙を向けたのだ。


陸上からは何万という兵を送り、海からは同盟を組んだホーゼルド国の水軍を送った。

国王ギィは、仲間を集め、デルニア帝国と戦うことを決めた。

しかし、この時代のガシェ王国は海で戦える(すべ)を持っていなかった。

そこで、私のご先祖様の宰相が、ギィへと助言する。

西に住まう、海の民に力を借りてはどうかと。


場面が変わり、海の民はギィに力を見せろと言ってきた。

力とは、武力のみにあらず。海の民が認める、何かしらのものを見せろと。

そんな海の民に対して、ギィがとっておきの技を見せると告げた。

すると、ステージだけでなく、会場全体にキラキラと光るものが降りだした。


「わぁー」


水の中でもキラキラ光るそれは、ダイヤモンドダストのように儚く、幻想的で、ときたま虹色に輝くこともあった。


「ほう、上手いな」


ヴィが何やら呟いていたが、それどころじゃないのだよ。

キラキラを取ろうとしても、手の中には何も残らない。

一体、なんの魔法を使っているのだろうか?


キラキラと降っていたものが、海の中で集まっていく。

まるで、海の中に天の川があるみたいだ!


「すごーい!!」


会場から、拍手が湧き上がる。

キラキラの集合体は、さらに形を変え、蝶となって上へ舞い上がる。

パーンと一瞬で弾けると、会場には優しい光の余韻だけが残った。


ステージに視線を戻すと、ギィの側に一匹だけ蝶が残っている。

その蝶はギィの周りを羽ばたき、今度は海の民の頭上を舞う。

蝶は海の民の女性に止まると、すぅっと溶け込むように消えていった。


海の民の者たちが、ギィの前で(ひざまず)く。

海が貴方を受け入れると告げた。我ら海の民は友を見捨てぬ。

こうして、海の民が盟友となり、海での戦いに勝利することができた。

蝶が止まった女性が先陣に立ち、のちに海の戦姫と呼ばれるようになった。


拍手喝采の中、演目が終わったと、みんなが気を抜いたときだった。


「キャーッ!」


あちこちで悲鳴があがり、頭上に大きな蛇のようなものが現れた。

蛇のようであり、ワームのようでもあり、私はなんとなくリヴァイアサンを思い出した。


「皆を守れ!!」


ギィが叫ぶ。

ギィの仲間たちや海の民たちが、いっせいに魔法を放つ。

リヴァイアサンもどきはその魔法を受け、断末魔のような鳴き声を残し、破裂した。


ひらひらと、色とりどりの花びらが舞う。


「ありがとうございました!!」


ステージに出演者が総揃いして、頭を下げていた。

…演出のうちだったのか。ビックリしたぁ。


「危うく、攻撃するところだったわ」


お姉ちゃんの声が聞こえて、別の意味で安心してしまった。

お姉ちゃんが魔法ぶっ放さなくてよかったと。


さて、最後のカーテンコール。


海のステージは、どういう魔法なのかわからないけど、水が七色のオーロラのように輝いている。魔族が奏でるプープガーの音色とともに、魚族の人たちが舞い、歌う。その歌にあわせて、オーロラも変わっていき、歌詞の情景が再現される。これぞまさに光と水のファンタジアだ!

最後の最後でこれとは!!


「…水の聖獣の力か」


隣のヴィがボソッと呟いたのが聞こえて、私はどこどこ!?と客席から身を乗り出した。


「舞台には出ていないようだ」


むぅ。ソルとラース君以外の聖獣を見てみたかったのに…。


「このあとの交流会には、この一座の者たちも来る。そのときには会えるだろう」


そうとわかれば、早く王宮に行こう!

早く交流会やろう!!


パパンたちを急かそうと思ったら、ママンとお姉ちゃんが魔法談義で盛り上がっていた。

意味不明な単語が多くて、内容はまったくわからない。

はーやーくー!気になるなら、演出した人に聞けばいいじゃん!!


そわそわしすぎて、挙動不審になっていたのか、王様に抱っこされてしまった。


「交流会が楽しみなのか?」


「はい!ヴィが水のせいじゅうさんがいるって!」


「それは私もお会いしたいな」


でしょでしょ!

だから、早く行こう!


王様の一声で、会場にいた人たちが、ぞろぞろと移動を始めた。

これぞ、鶴の一声!



交流会は王宮の中庭で、ガーデンパーティー形式でやるようだ。

テーブルの上に軽食やスイーツ、果物などがたくさん載っていた。

美味しそう!

でも、今は水の聖獣に会う方が優先だ。

聖獣はどこだと見回しても、それらしき姿はない。

ふむ、それならば。


「ラース君、水のせいじゅうさんはどこ?」


陽当たりのよい場所で寝そべっていたラース君に聞く。

聖獣のことは聖獣に聞くのが一番だろう。

しかし、ラース君は興味ないのか、ぷいっと顔を背ける。

むぅぅぅ。


しかたないので、中庭を探し回るか。

トボトボ歩いていると、生垣の迷路の入り口が目に入った。

…まさかねぇ。

……うーん、ちょっと行ってみるか。


迷路のお約束、右手を壁に当てたまま進む。

これなら、出口に出られるから、迷子にもならないだろう。

意気揚々と迷路を進むと、生垣の壁の上で二匹のポテが追いかけっこをしていた。

走る動きに合わせて、ふわふわな尻尾が上下に揺れてかわゆす!

二匹のポテを追いかけると、いつの間にか広いスペースに出た。

真ん中には小さな噴水があって、ポテたちは水を飲みにきたみたいだ。

噴水があるってことは、ここが迷路の中心かな?

あっ!手離しちゃってる!!


広場を一周してみると、通路が三つあった。

一つは私が通ってきたもの。となるとだ、ここから右手の法則を使っても大丈夫なんじゃね?

あー、焦った。

少し休んでからにしよう。

お菓子も少し持ってくればよかったなぁ。失敗した。


噴水に腰かけて、ついでに足も入れる。

ちょっと冷たいか、歩き疲れた足にはちょうどいい。

お天気もいいし、ノックスも連れてくればよかったなぁ。

ふんふふんと鼻歌を歌っちゃったりしていると、コポリと音がした。

ん?空耳??

また、コポッと音がしたので、聞き間違いではなさそうだ。

何の音だろうと噴水をガン見していると、ザバーッと何かが出てきた。


「うわっ!」


水飛沫が飛んできた!

一瞬目を閉じて、反射的に手で顔を庇う。

おそるおそる目を開けると、そこには見たこともない生き物がいた。

いや、前世の知識としては知っているか。

青い、真夏の海のような青さの毛並みを持ったペガサスがいた。

そう、ペガサスである。翼を持ったお馬さんだ。


「はじめまして。あなたは水のせいじゅうさん?」


「ブルルルッ」


どうやら当たりだ!


「あのね、今日のぶたい、すごかったの!キラキラしてて、あんなにきれいなのはじめて見たのよ!」


ヴィは何も言っていなかったが、あの海のステージの演出に、この子が関わっているのは間違いないだろう。

ママンですら魔法を解読できなかったってことは、魔法以外の力、精霊たちが何かの現象を起こしていたんだと思う。


「水のせいじゅうさん、すごいね!」


水の聖獣が、顔を私に押しつけてきた。

触っていいってことだよね?

…えっ!?嘘でしょ!!

馬ってこともあって、ワズやヒューのような固めのスルッとした感じを想像していたんだけど、手に伝わるのは水だ。

水に感触なんてないだろって思うかもしれないが、ウォーターベッドに寝ると、水の動きが伝わるでしょ?

そんな感じ。でも、柔らかいわけではない。

なんなんだ!この矛盾する感触は!!

他の部分、翼も尻尾も同じ感触だった。

これ程までに、表現しづらい感触は初めてだな。


水の聖獣を撫で回していると、水の聖獣が遠くを気にし始めた。

何かあるのかと視線を向けると、マントを咥えられ、ポイッと放り投げられた。

水の聖獣の背中に落ちると、そのまま翼をはためかせ、空へと飛び立つ。

どうなってんのぉぉぉ!?

とりあえず、落ちないよう首にしがみつく。

ソルのときもそうだったが、風を感じることはない。

あっという間に、ガーデンパーティーの庭に降り立った。


「ガウッ」


今度はラース君に咥えられ、水の聖獣の背中から降ろされた。

…なんなの?私の扱い…。


「ネマッ!」


駆けつけたお姉ちゃんにぎゅっとされ、目を白黒させる。


「もう、探したのよ!」


あれ?知らない間に迷子扱い!?


「大人しくしていろと言っただろう?」


ヴィにも怒られた…。

大人しくしていたよね?


「タータ、お嬢様を見つけてくれたのね」


異国の衣装を身につけたお姉さんが、水の聖獣を撫でている。

お?彼女が水の聖獣の(あるじ)さんなのかな?

周りをよく見ると、近衛騎士さんたちも大勢いたり、ひょっとして、大捜索されてた?


「あー、ごめんなさい…」


ぺこりと頭を下げる。

そんな私の頭をわしゃわしゃしてくるのは、タータと呼ばれた水の聖獣だ。

わしゃわしゃというよりは、はむはむか。

私の髪、食べちゃダメだよ!


まぁ、このあとママンの恐怖の説教をくらい、王妃様に慰めてもらったり、ラース君とタータ君に囲まれてうはうはしたり、忙しい時間だった。

結局、疲れて寝てしまい、パパンに抱っこされて帰宅したらしい。


そうそう、タータ君の主さん、サグーシャさんって言うんだけど、お友達になったよ!

お友達と言っても、文通友達だけどね。

また、王都にいる間に招待してもらうんだ。いいでしょー!!



無事に出版されましたー(≧∇≦)

活動報告にコメントくださった皆様、ありがとうございますm(_ _)m


ゴブリンたちの可愛いさに、皆様驚かれたようで。私もラフ画をいただいたときはびっくりしました(笑)

ソル、ラース君は出番が多いのでイラストも多いですが、ディーやノックス、グラーティアまでカラーで描いていただけて幸せです!

みんな、可愛いでしょ!←親バカ


改めて、これからもネマ共々、よろしくお願いいたします。

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