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★番外編 ガシェ王国の正月的な一日

色々詰め込みすぎて、長くなっちゃいました(笑)

なんだろう、この一杯食わされた感は…。不完全燃焼でもやもやする不快感は。

ママンにしてやられたー!!


起きたとたんに不機嫌MAXなのに、使用人たちに容赦なく引き立てられ、簡単な食事を急かされつつも腹に入れ、私室で念入りに手入れをされた。


あまりにも(せわ)しないので、不機嫌だったことも忘れ、使用人たちにされるがままポケーっとしていた。

そう言えば、去年も起きたときには家族は誰もいなかったな。

私は使用人のみんなと、新年のご馳走をいっぱい食べて、遊んでもらって、お庭に遊びにきた子たちと戯れてってしてたら一日が終わってた。

一般的に新年の初日、元日は家族で過ごすものなんだけど、王侯貴族には当てはまらないようだ。

パレードだ、パーティーだと忙しいことこの上ないってパパンが言ってたな。


「ネマお嬢様、申し訳ございませんが、急ぎます!」


パウルがそう言って、他の使用人たちにテキパキと指示を出し始めた。

パウルも成長したなぁとか思っていると、豪華なドレスが登場し、お化粧までさせられそうになった。

ドレスは白がベースでレースは黒。腰にある大きなリボンは両端が長く、ギリギリ引きずらないくらいだ。

胸元に豪奢な刺繍がしてあり、クレシスチェリーがモチーフのようだ。

本来なら、クレシスチェリーは七色で表すのだが、この刺繍には精霊色しか使われていない。

つまり、このドレスは新年の今日のために用意されたものだということだ。

なんと無駄な…とか思っちゃいけないんだろうけど、元庶民としてはね。

このドレスの一番凄いところは竜玉(オーブ)なうさぎをドッキングできるのだ!背中にリュックの肩紐が見えない様に取り付けることが出来る。

うさぎにもお揃いの白いドレスを着せて、耳に大きなリボンをつけてある。

違和感ないのがすげぇ!

お化粧は全力で回避しました。

化粧水とかスキンケアはいいけど、やっぱりお肌に負担をかけるのはよくないよね。若いうちは素っぴんで十分!


髪型もパウルに決められてしまった。

ハーフアップ風に上の部分を複雑に編み込まれ、残りの髪は毛先だけを軽く巻く。

髪飾りは白と黒の大きめのコサージュ。なんか頭重いっす。


そして、ほぼ同時に準備が終わったお姉ちゃんと共に、馬車に乗せられパレードへと向かう。

お姉ちゃんのドレスもめっちゃ豪華!

私と対になっているようで、黒がベースの大人っぽいデザインだ。ロングスカートで、レースではなく白銀の糸で刺繍が施してあった。

精霊色の宝石を使った髪飾りがクレシスチェリーになっていた。

たぶん、オリヴィエ姉ちゃんあたりが、王都の有名なデザイナーに作らせたんじゃないかと思っている。

同じ職人の作品だとすぐにわかるデザインだが、私の方は幼い可愛らしさでお姉ちゃんの方は大人への変貌がテーマと見た!


なんて考察に夢中になっていたら、馬車の外が騒がしくなってきた。

きっと、パレードをやる大通りにでも出たのだろう。

窓の外を覗いてみると、人人人の人だらけ!

おぉ!出店もいっぱいだ!見て回りたいけど、パウルが許してくれないだろうなぁ。


馬車は商業地区の大通りに面しているサンテス広場に入った。

ここは王都で一番大きな広場で、いつも様々な催し物をやっている。

ここに、上級貴族用の特別席が用意してあり、大通りの両側に長大な雛壇がある風景は体育祭を思い出してしまった。

オスフェ公爵家の席は雛壇の一番下。

でも、パレードの列に一番近い特等席なのだ!

私たちの席の周りには、見知った顔ばかりなので、猫を(かぶ)る必要はないな。

見知った顔は、大臣ズの家族とゴーシュじーちゃんとこの大家族だ。


「カーナさん、ネマさん、こちらよ!」


真っ先に気づいてくれたのは、サンラス兄ちゃんの奥さんのユディさん。

温かみのあるオレンジ色の髪が素敵なお姉様だ。


「ユディおねー様!」


てててっと駆け寄って、サンラス兄ちゃんのご両親、つまりミューガ公爵家の当主夫妻とユディ夫人に挨拶をする。

領主と財務大臣の仕事はサンラス兄ちゃんが継いでいるが、公爵家の当主はいまだ父親がやっている。

まぁ、ミューガのおじ様はまだ若いからね。


ジーン兄ちゃんのとこはご両親だけ。まだ結婚していないから、ジーン兄ちゃんは大臣の仕事しか任せてもらっていない。てか、領地にもめったにいないから、大臣やっている間は領主も当主も任せられないって言われてる。


オリヴィエ姉ちゃんのとこもご両親だけだが、すべてをオリヴィエ姉ちゃんに任せているので、今は領地でのんびりカントリーライフを満喫している夫婦だ。


ゴーシュじーちゃんとこは、跡取り夫婦と子供が三人。ついでに嫁にいった娘の子供も二人連れてきている。


「リリー、ごきげんよう。今日もすてきなドレスね」


末の孫であるリリアーナは私の一つ下で、栗毛のウェーブがかかった髪に明るい茶色の瞳と貴族の中では地味な配色だが、幼いながら整った顔立ちをしている。ゴーシュじーちゃんに似なくてよかった。


「ネマおねぇさま!」


そう!私を姉と慕ってくれる、貴重な妹分なのだ!妹分ってとこ、重要だからね。

可愛い可愛いとリリアーナを愛でていたら、他の子供たちも気づいて近寄ってきた。


「ぶさいくなネマ、今日も変なかっこうだな!」


息子さんの方の長男ガッシュは、誰もが認めるガキ大将だ。末っ子で待望の男子とあって、かなり甘やかされている、8歳のクソガ…失礼。お子ちゃまにしておこう。


「ネマはぶさいくなりの格好をした方がいいよ」


こいつはリリアーナの兄、ヒューイだ。私の認識としては、ガッシュの腰巾着。まぁ、同い年だがガッシュは本家、ヒューイは分家だから逆らえないっていうのもあるかもしれないが。

何にしろ、このお子ちゃまどもは会う度に私に絡んでくる。相手にしてほしいのなら、紳士の心得を身につけてからくるんだな!


「リリー、そろそろ始まるみたいよ。せきに行きましょう?」


お子ちゃまどもは無視するのが一番。相手する方がつけ上がるからね。


「ネマおねぇさま、ごめんなさい」


「リリーがあやまることはないわ。悪いのは…しつけができなかったおじ様たちね。ガッシュもヒューイも、そろそろきぞくとしてのじかくを持たないと、がくいんに行ってからくろうするんじゃないかしら」


二人とも将軍家の子供なので、武器の扱いや体術なんかは英才教育をすでに受けている。

ただ、そちらを優先したばかりに、上級貴族の子息としては残念極まりないことになったのだ。

これはもう、ゴーシュじーちゃんを筆頭に大人たちの責任だと思う。


無視された二人が後ろで騒いでいるが聞こえなーい!


ようやく席につくと、お城の方から花火みたいな物が打ち上げられた。

パレードの始まりの合図のようだ。

にしても、魔法ってなんでもアリだな…。というか、科学並みに発達しているのか。


音につられて見上げたお城は、なんともカラフルなお城に変身していた。

あれ、どうやってお城の壁に色を塗ったのだろうか?昨日までは普通のお城だったのになぁ。

お城の壁には新年を祝う六色を使って、羽ばたく蝶の群れが描かれている。


ガシェ王国では蝶を創造の神の御使いとしている。それは、ギィという青年の数ある物語の中でも有名なお話。


ガシェ王国の成り立ちはたくさんの国々が争っていた戦国時代に、産業の乏しい小国のただの騎士にすぎなかった青年ギィがまとめ上げできた国だ。彼はいろいろやらかしたこともあり、ちょくちょく命を狙われてもいた。

偵察と称した冒険で案の定襲われ、返り討ちにしたときには闇夜の深い森の中。仲間ともはぐれ、どこかで野宿でもするかとあたりを調べ始めた。

ふと、視界を横切った光る物体。よくよく見るとそれは蝶で、どこかへ(いざな)うようにギィの周りを舞った。

蝶に導かれた先には、蝶に似た光が無数に漂っていた。

それらに気にもとめず、蝶が舞う先に行くと、サイの群れが仲良く身を寄せ合って眠っていた。

繊細なサイが眠っているならばここは安全な場所だと、ギィも体を休めることにした。

朝になり、ギィを起こしたのは一匹の若い雄のサイだった。

これがのちに、戦国時代最強の騎獣と呼ばれたロイとの出会いだった。


ギィは3日ほど精霊の住処に滞在し、ロイを連れて仲間のもとへと戻った。

ギィとロイはたくさんの戦場を駆け巡り、勝利し、国を治めるにいたった。

ギィは創造の神がロイと出会わせてくれたのだと語る。そして、光る蝶に幾度となく助けてもらったとも。

創造の神が自分を助けてくれたのだと信じ、蝶を御使いとして敬った。

そして、自身の紋章に蝶を使うようになったことから、王族の紋章は蝶のモチーフなのだ。


この物語を読んだとき、ギィ青年は神様のお気に入りだったんだと思った。

きっとチートに違いない!

で、調べてみたら、ギィこと初代国王は土属性の特級魔術師で、自ら魔法で武器を造ったり、砦なんかも建設したりしていた。

武器って属性魔法で造れるのか!?

ママンに聞いたとこ、造れるらしい。

さらに詳しい内容をサザール老から手紙として受け取った。あまりにも専門的すぎて、ほとんど理解できなかったがな!


やはり、使えないとわかっていても魔法学は勉強しておくべきか…。

などと悩んでいるうちに、徐々に歓声が近づいてくる。一際歓声が大きくなったとき、人々が空を指差した。

その先を追いかけると、お城からリンドブルムたちが飛び立ったところだった。

先頭にいる、一回り大きなリンドブルムはギゼルだろう。誰も騎乗させず、悠々と羽ばたいているが、綺麗な編隊を保っていることから、司令塔として頑張っているのかも。


ギゼル率いる飛翔隊はパレードの間、様々な形の編隊飛行をしながら上空の警備をするらしい。

リンドブルムで構成される飛翔隊はその名の通り、飛ぶことが任務のチームだ。有事の際には偵察や伝令といった後方支援がメインだが、遊撃飛翔隊は魔法が得意な竜騎士を集めた特攻隊だ。

巡回のときには青い装飾を着けているリンドブルムたちも、今日は祝いの六色をまとっている。


ギゼルが近づいてきたので、大きな声で名前を呼んだ。

聞こえるわけないと思ったが、ギャッという返事がきた。

竜玉(オーブ)の力により、鳴き声は言葉として聞こえるのだが、「いた!」って私を探していたのか!?


再び一鳴きして、ギゼルが高度を下げてこっちに来るではないか!

他の子たちもギゼルの後ろに一列に並んでいる。

お前たち、何をするつもりだ!!

私の上空を、建物にぶつからないスレスレを通りすぎるとき。


-ちゃんといたな。

-ネマだー!

-ヒャッホー!

-遊ぶぞー!

-見ててねー!


と、一匹ずつ声をかけてきた。

そのとき見えた竜騎士たちの顔が、かなり慌てた感じだったのは見なかったことにしよう。


「みんながんばるんだよー!」


私が手をブンブン振ってみんなにエールを送ってる後ろで、ギャーギャー騒いでいるお子ちゃまが一人。


「すっげー!ヒューイ見ろよ、マジ竜騎士かっこいいな!!」


「こんな近くまで来るなんて珍しいね!」


ガッシュにつられて、ヒューイのテンションも上がってきている。


「リンドドレイクの近くに行ってみようぜ!」


「急ごう。もうすぐ通るよ!」


こらこら。危ないから大人しくしておきなさいってば。

周りの大人も止めようよ!

周りを見渡せば、それぞれがおしゃべりに夢中だった。肝心の大人たちはお互いの近況報告だったり、お姉ちゃんはガッシュの二人の姉たちと学院の話をしている。

世話係として連れてきた使用人たちは口を出せる立場にない。それぞれの家令や上級執事は屋敷にいるか、パレードの準備で王宮にいる。


「リリーも行くぞ!」


そう言って、ガッシュはリリーを引っ張っていった。

この野郎、私の可愛い妹分に何をする!


「パウル、私もガッシュたちと行ってくるから、目をはなさないでね?」


「危ないのでおやめ下さいと言いたいところですが…」


「あぶないのはあの三人よ。リンドドレイクたちは私にはやさしいもの」


「はぁ。畏まりました。ですが、危険な場合はすぐにお止めしますから」


最初の溜息は余計じゃ。だけど、パウルなら何かあっても対処してくれるだろう。

っていうか、警備の騎士が止めてくれよ!


期待も虚しく、警備の騎士たちは厳しい視線を送りながらも止める様子はない。三人が将軍の孫なのを知っているからなのだろうが、職務怠慢だぞ!


「きたきた!」


「リリー、見える?」


「うん。でも、ちょっとこわい」


兄と妹の光景は微笑ましいがリリーが恐い思いをしているのなら、すぐに連れ戻そう。


「それ以上前に行くとあぶないですわよ」


「大丈夫だって。リンドドレイクは竜騎士たちが操ってんだぞ」


いや、それが安全な理由にはならないから。

正攻法じゃ通じないか。

そうこうしているうちに、先頭のリンドドレイクの姿が見えてきた。

およ、先頭はエリアの姐さんではないか!

うむー、竜騎士たちにここに子供がいることを認識してもらって、リンドドレイクたちに注意を促した方が早いかも。


「エリア!」


すぐ私に気づいてくれたエリアは、「みんな、ネマが見に来てるよー!」と他の子たちに伝えてくれた。

そして、エリアに騎乗している竜騎士さんに三人を示して、腕でバツを作った。竜騎士さんはわかってくれたようで、ハンドサインで後方の竜騎士に伝えた。それがリレーされて全員に伝わる。


「なんだよ、ネマも好きなのか?でも、勝手に名前は付けるなよな」


…このお子ちゃま、どうしたらいいですかね?


「あ、おじい様!」


リリーの声で気づいたが、リンドドレイクにゴーシュじーちゃんが乗っていたよ。

リンドドレイクは武器で接近戦を得意とする武走破隊(ぶそうはたい)と魔法による攻撃の魔走破隊(まそうはたい)がある。

ゴーシュじーちゃんは現役のとき、武走破隊だったと聞いたことがあったような。

リンドドレイクの長老ドラルに騎乗しているゴーシュじーちゃん。その背中に担いでいるでっかい長剣は、今も現役たちには負けないという気合いですね!


「お祖父様!」


しまった!

ガッシュがゴーシュじーちゃんを見つけた勢いで、警備の騎士たちがいるラインを越えちゃった!!


「ガッシュ!リリー、ヒューイのそばに!」


リリーをヒューイに託すと、私もガッシュを追いかけた。

ガッシュの目の前にはリンドドレイク。列を乱していないとはいえ、歩く度に揺れる尻尾がガッシュに届きそうだ。


「ギール、ユーア、止まって!!」


ガッシュのそばにいたリンドドレイクは比較的大人しい兄妹で、私の言うことを聞いて止まってくれた。

しかし、歩みは止められても、無意識に動いていた尻尾まではどうにもならなかった。


そこからは無我夢中でよく覚えていないが、走って、ガッシュを突き飛ばして、尻尾が迫ってくるときにソルと森鬼を呼んだような気がする。


ボフッと空気の塊を叩きつけられたような衝撃があり、思わずぐぇって言ってしまったのは乙女としてあるまじき失態だった。

まぁ、私の体は反動のせいか、ポーンと効果音がつきそうなくらい綺麗に飛んでったけどね。


周りから、きゃーっていう悲鳴が上がったが、私はそれどころではない!

きゃーきゃー言っている暇があるなら、受け身の一つでも取らねば!!

なーんて、余裕があるわけもなく、かったい筋肉に受け止められた。

むっ、この感触は森鬼か。


「主、無茶をする前に呼んでくれ」


「あれ?森鬼が助けてくれたの?」


「正確にはソル殿だが」


空気の塊みたいなのはソルの魔法でしたか。

で、現状はどうなっているかというと、パレードは停止していて、ガッシュが大泣きしている。

えーっと、私のせい?


「とりあえず、もうおろして」


森鬼からおりて、すぐにパウルを呼ぶ。


「パウル、ガッシュのことお願い」


警備の騎士に助けられながら、ガッシュが下がってきたのをパウルに押しつける。

大人たちはまだ状況がわかっていないのか、近くには来ていない。


ちょうどそのとき、ソルの声が届いた。


-無事か?


-ソル、ありがとねー。今、どこにいる?


-お主に何かあったと思って、王都の上空まできておるぞ。


おぉ!ナイスタイミングじゃないか!てか、速すぎじゃないかい?実はお祭り見たくて出てきてたって言われても納得なタイミングだぞ。

それはいいとして、急いでゴーシュじーちゃんのもとへ向かう。


「ゴーシュじーちゃん!」


「おぉ、ネマ。孫が迷惑かけてすまなかったな」


「その話はあとでね。それより、今からソルが上をとおるから、一言かけてれつをすすめてほしいの!」


止まったのはアクシデントではなく、あくまで演出の一環だと思ってもらうためだ。


「炎竜殿が来てくださるのか。皆、さぞ喜ぶだろう。では、儂は口上(こうじょう)を格好よく述べて、ごまかせばいいのだな?」


「うーん?…ま、そんなとこかな?ドラル、ゴーシュじーちゃんをおねがいね」


たまにこのじーちゃん、よくわからないことを言い出すな。こんなノリの人が将軍って、ある意味平和だってことなんだろうな。うん。

そうだ!ついでだから、ドラルをなでなでしておこう。

歳を重ねれば重ねるほど頑丈になるドラゴンの鱗。約100歳になるドラルの鱗はギゼルともエリアとも違った手触りで、生き物というよりは金属に近いかもしれない。これはこれですべすべして気持ちいい。

ドラルも任せておけとばかりに、勢いよく鼻息を飛ばす。

鼻水も一緒に飛んでくるからやめてくれ。


-ソル、お城から大きな通りに沿って飛んでくれる?


-かまわんぞ。


-動物たちを驚かせない程度でお願いね?


上空を確認すると、赤い点が徐々に大きくなり始めていた。

竜だとわかる距離まで来ると、ソルはお城を一周して、大通りに沿う。


ゴーシュじーちゃんがドラルの上に立ち上がって、手を高く上げた。


「見よ!ガシェ王国の繁栄を祝いに、創造の神が炎竜を遣わした!!」


ゴーシュじーちゃんの言葉に、人々が空を見上げ、感嘆の声が上がった。

さらに驚いたことに、ソルと共にラース君が空を駆ける。

…なんと羨ましい…。じゃなかった、ラース君には何が起こったのかバレてんだろうな。ってことは、ヴィにもバレバレってことで、あとが恐ろしいぞ!


「さぁ、聖獣たちに続けぇ!!」


ゴーシュじーちゃんの号令で、再びパレードが動き出す。

よかったよかった。これで、誤魔化せればいいけど、パパンやママンはムリだろうなぁ。

さてと、私も席に戻ってパレード見ようっと。


席に戻ると、そこは修羅場だった。

鬼の形相のガッシュの両親。大泣きしているガッシュと怯えているヒューイとリリー。

私、普通にパレードを見たいだけなんですけど。


「パウル、森鬼、ありがとう」


とりあえず、手助けをしてくれた二人にお礼を伝えておく。


「ネマお嬢様、お怪我はございませんか?」


「私はだいじょうぶ!ソルが助けてくれたし」


ぐぇっとはなったが、傷一つない。

ちょっと髪が乱れたが、これぐらいならパウルに直してもらえばいい。


「お小言はお屋敷に戻ってからにいたします。御髪を直しますのでこちらに」


えっ!?

お小言決定ですと!お屋敷に戻ってからって、両親の他にもれなくマージェスもついてくるじゃないか!!

納得いかないが大人しく座ると、ガッシュの両親が謝罪に来た。


「ネフェルティマ、息子を助けてくれてありがとう。そして、すまなかった」


「かんしゃは受けとりますが、あやまってゆるされるはんいをこえましたわ」


私は笑顔で冷たく言い放つ。イメージはママンの説教タイムの冷たさだ。


「このことはおとー様にほうこくします。ばあいによってはへいかまでお話がいくかもしれませんが、よろしいですね?」


「それは…」


「この子が罰せられるってことなの?」


父親はいい淀み、母親は青ざめる。

だって、王太子にはバレてるっぽいから、そこから王様に話がいってるかもしれないしさ。


「たしかにガッシュは王族のれつを止めました。しかし、子どものせきにんは親がとるものでしょう?」


上級貴族の者が、例え子供であろうと、公式行事で王族の行く手を邪魔したのだ。しかも、国民の目の前で。

王様が寛容な方だとはいえ、処罰しなければ他の者に示しがつかない。

そこら辺は、秘技パパンに丸投げを使うことにしよう!


「ごじつ、話し合いのせきをもうけますので、ゴーシュじーちゃんもどうせきしてもらってくださいね」


このパレードが終わったら王宮でパーティーで、お家に帰ったら恐怖のお説教タイムと、私は自分のことで精一杯だ。

ひとまず問題は先送りして、パレードを楽しむべし!!


竜騎部隊が通りすぎると、次は宮廷近衛師団だ。式典用の正装姿は初めて見たが、各部隊ごとに色が決まっているようだ。

最初の集団は混合部隊なのか、赤や青、黄色に緑とカラフルだ。

騎馬と歩兵にもわかれているけど、彼らの何が凄いかって、剣をバトントワリングのようにクルクル回したり投げたりしながら行進していることだ。

ただ、雰囲気的にマーチングバンドっていうよりは、自衛隊や軍隊のドリルみたいな物々しさなのはやはり武器を扱っているからなのか?


そして、紫の第一部隊と銀の第二部隊に囲まれて進んで来たのは、我がガシェ王国の国王と(きさき)並びに王太子だ。

街頭からの声援がより一層高くなる。

三人とも、衣装が豪華で派手で高そうだ。うーん、いい表現がないな。

王様は白い軍服に紫紺のマント、王妃様は薄紫のドレス。豪華絢爛な王様に比べると、露出もなく、体のラインも強調しないゆるやかなデザインだが、それが散りばめられたダイヤモンドのような宝石を(きわ)だたせている。

華奢なティアラには、王妃様の瞳と同じ紅水晶(ローズクォーツ)の色に似たピンクの宝石が煌めいていた。

相変わらずのスーパー美人さんである。王様と並ぶと絵になるなぁ。しっかりと拝んでおこう!

最後にヴィだが、私からしたら誰ですか?って聞きたい。

鮮やかな青の軍服に、王様とお揃いの紫紺のマント。さらに、爽やかな笑顔付き!大事なのでもう一度。

爽やかな笑顔付き!!


「ヴィルヘルト殿下っ!!」


貴族席からも黄色い声援が凄い。

ガッシュの姉たちもうっとりしてるし。


「相変わらず見事な外面ですこと」


ボソッとだけど、お姉ちゃんの声が聞こえた。

まぁ、国民向けの外面って大事だよね。


黒の第三部隊と白の第四部隊に囲まれているのは、宰相と大臣たち。

つまりはパパンだ!

おぉ、いつもより3割増くらいは格好いいぞ!


「お父様ー!!」


お姉ちゃんがパパンに声援を送る。

さすがに距離があるから気づかないだろうと思いきや、パパンは私たちを見つけて満面の笑み。

…恐るべし、地獄耳。

あ、久しぶりにジーン兄ちゃん見たな。あとで旅のお話聞かせてくれるかな?


すぐ後ろは、王位継承権を持つ人たちのようだ。

王弟は初めて見たが、ちょっとがっかり。普通のおじさんなんだもん。王様の弟だからイケメンに違いないと思ってたのに、そこら辺にいそうなぽっちゃり中年。でも、その地味顔には親近感がすっごくわく。

そして、我が兄よ。隣りにいる元王子より王子らしいってどうなのよ。

水色よりも薄い青の正装に、嘘偽りのない慈愛に満ちた笑顔。誰しもが思い浮かべるであろう王子様そのものと言っても過言ではない気がする。

身内贔屓、ブラコンと言われようが、お兄ちゃんは王子様だ!!


「おにー様!」


私がお兄ちゃんに声援を送ると、前方でパパンが項垂れたように見えたが、見なかったことにしよう。地獄耳すぎるのも考えものだな。

パパンの悪口はやめておいた方が賢明ですよ、皆様!


ちなみに、第三部隊は国外からの賓客といった要人警護担当で、第四部隊は国内の要人警護担当らしい。第四部隊はあまり需要はないって誰かボヤいてたけどね。


次は王国騎士団のお偉いさんのようだが、知っている人はいないなぁ。

あ、またリンドドレイクたちだ!

おぉ、ダンさんがいたー!

(まさかり)じゃなかった、ハルバートを持った勇ましい姿だが、顔が緊張で強張ってるね。今度会ったとき、からかうネタにしよう!


リンドドレイクがすぎると、辺り一面に花びらが舞った。

それだけではなく、風に吹かれた花びらはいくつもの蝶を描いた。

その幻想的な光景に、一瞬だけ静けさに包まれる街頭。その後すぐワッと大きな歓声で空気が揺れた。

花びらを魔法で操っているのは、王国騎士団の特殊部隊魔術隊だ。

彼らは武器の他に、魔力を増幅・安定させるロッドを持っているのですぐにわかる。魔女っ子や魔法学校の子供たちがよく振っているアレだ。

そんな彼らに守られているのは、王立魔術研究所のお偉いさんたちだった。


「セルリア様ー!!」


あちらこちらで、ママンの名前を叫ぶ国民たち。

ママンってば実は有名人?


「どうしてみんな、おかー様をよぶの?」


「お母様は国民にとっても慕われているのよ」


「おとー様より?」


そう、パパンのときは名前を呼んでいる国民はいなかった。というか聞こえなかった。領主様ってのはあったけど、オリヴィエ姉ちゃんもサンラス兄ちゃんも領主だしな。


「そうね。国民にとってはお母様の方が身近に感じるのかも。お母様が作った魔道具が生活になくてはならない物になっているみたいだし」


なるほど。それでママンの名前は知れ渡ってるのか。


私たちの前を通りすぎるとき、研究所の魔術師が私たちに向かって魔法を放った。

一瞬、周りの大人たちが身構えたが、放たれた魔法は白い小鳥の群れとなり、私たちの真上に来ると純白の花びらに変わった。


「きれー」


私だけでなく、他の女性陣も淡い香りのする花びらにうっとりしていた。


「誰かしら、あの魔術師?なんにしても要注意人物ね!」


なぜかご立腹なお姉ちゃん。

研究所のお偉いさんなのは違いないが、パッと見若いお兄さんだった。でも、会ったことはないなぁ。


粗方知り合いは通りすぎたが、いまだ獣騎隊が来ていない。

レスティンも出るって言ってたのにな。


-アオォォーーーン


狼の遠吠えに似た、動物の鳴き声が響き渡った。

徐々に、わんわんキャンキャンと犬の鳴き声が近づいてくる。

解き放たれた犬の群れが、通りを埋め尽くす。

街頭の女性や子供たちから可愛いと声が上がると、愛想のいい犬たちは立ち止まり、その体を撫でさせたりと、サービスしている。

てか、獣騎隊にこんなにいっぱいわんこがいたっていうのが驚きだよ!


-ワンッ!ワンワン!!


ドドドっていう勢いで、白い塊がこちらに向かって来る。

たぶん、あの子たちだろう。


「セロ、セラ!」


名前を呼ぶと、嬉しそうに尻尾をブンブン振る。

親と変わらないくらいの大きさになった子犬たちも突撃してきた。


「とまれ!」


このままでは以前の二の舞なので、レスティンに教えてもらった獣騎隊で使っている命令を出した。

言葉とともに、腕を水平に胸の高さで止める。これが「止まれ」の合図なのだ。

先程の勢いが嘘の様に、私の前で整列してお座りをするわんこたち。

教えてもらっておいてよかった!

あとは順番に撫で回すだけだ。ドレスが汚れるのも気にしない。パウルに魔法を使ってもらえば、綺麗になるから大丈夫!


「ひさしぶりだね、みんな。いい子にしてた?」


まずはセロから。

頭を撫でてから、耳元、首へと移動させていく。

ふわふわな首の部分は掌が埋もれる程で、以前より艶の増した毛並みは滑らかだった。

セロだけでなく、セラも子犬たちも同じだったので、獣騎士たちがこの日のためにコンディションを整えていたことが窺える。

一匹ずつ声をかけ、私が満足するまでなでなでする。

この毛並み、我が家のディーに劣らない。

ディーもノックスも使用人たちの協力もあって、かなり上質な毛並みなのだが、獣騎隊はどんな方法で手入れをしているのかな?

これはレスティンを問い質した方がよさそうだ。


再びアオーンと鳴き声が聞こえ、わんこたちが一斉に移動を始める。

ふれあいタイムは終了のようだ。


「がんばってね!またあそびに行くからね」


名残惜しそうに見つめてくるセロたちだったが、渋々パレードに戻っていった。

わんこたちのあとには軍馬たちが。

軍馬はワズの群れの子たちなのだが、ボスであるワズがいない。

どうしたんだろう?


その後も、ベイ率いるワイルドベアー、ヨッシュ率いるワァッカと続き、街頭から大きな声が上がったのはサイが登場したときだった。

私が近づく許可をもらえない、唯一の騎獣。

でも、大丈夫なのだろうか?

彼らは凄く臆病だから争いごとには向かない。獣騎隊の象徴だから大事に飼育しているが、いざ有事の際には使えない。

一頭だけとはいえ、もしサイが暴れでもしたら、この人混みもあり大惨事になるだろう。

レスティンは何を思ってこの子を連れてきたんだ?


もやもやとしたまま、サイを見守っていると、街頭から何かが投げ込まれた。

のちの調べで、投げ込まれた物はパンだったことがわかったが、サイにとってはそれどころではない。

驚いたサイはブンブンと頭を振ると、前脚を引っ掻くような動作を始めた。

牛などが興奮したときに見せる動作そのもので、誰が見てもマズいと思わずにいられないだろう。


「ノックス!レスティンに『きんきゅう』をしらせて!」


席の側に用意されていた止まり木でのんびりしていたノックスに命令を出す。

私の命令を理解したノックスはピッと短く鳴くと、勢いよく飛び立った。


「森鬼、こっちに来て!」


次は森鬼をお供に、警備の騎士の近くまでサイに寄る。


「こえをけしてくれる?」


「いいぞ」


森鬼が精霊に伝え、私たちの声を届かないようにしてくれた。


「せーれーさんにおねがいして、あのサイをまもってほしいの」


「守る?」


「そう。もともとサイはせーれーのすみかにすんでいるどうぶつでしょう?だから、まわりにせーれーをあつめれば安心すると思って」


「まぁ、一理あるな。わかった、やってみよう」


精霊のことは森鬼に任せて、私はサイに声をかけることにした。


「だいじょーぶだよ。だれも君をきずつけないから」


あ、手綱を持ってた獣騎士さんが吹っ飛ばされた!

大丈夫かな?

それよりも、獣騎士が吹っ飛んだことで、周りが異様な雰囲気になった。

パニック寸前…って、サイをどうにか落ち着かせないと!


「せーれーさんが君のことまもってくれるよ!」


ピクリとサイが反応した。精霊って言葉がわかったのかな?

前脚を引っ掻く動作から、周囲を気にする動作に変わる。

そのとき、ようやく蹄の音が聞こえてきた。

レスティンとワズの到着だ!

よし!これで現場責任者はいるから、王様との約束を破らないですむぞ。


「きしのみなさん、いっしょにおこられてください!」


サイのもとへ行きたいのだが、警備の騎士さんたちに止められるのは目に見えている。ならば、共犯にしてしまおう作戦だ。


「お嬢様、どういう意味ですか?」


「サイのところに行きたいの。私がここをとおったら、みなさんがおこられちゃうでしょう?だから、いっしょにおこられてもらえないかな?」


この持ち場で一番階級が高いと思われる騎士さんが、他の騎士さんとアイコンタクトする。


「お嬢様は運がいいですね。我々は王国騎士団第一部隊パーゼス方面隊です。お嬢様にお願いされれば、嫌とは言えません」


苦笑しながらもOKを出してくれた騎士さん。

パーゼス代に駐屯しているってことだが、私は見覚えがない。

つまりは、レニスでの出来事が尾ひれどころか胸びれまでついて伝わっているのだろう。

誰だ、そんなことしたやつは!


それよりも、今はサイだ!

階級の高い騎士さんが念の為一緒について来てくれるということなので、森鬼と三人でサイに近寄る。


「危ないから下がってろっ!」


獣騎士から怒声が飛んできたが、ごめんなさい、無視します。


「もう、だいじょーぶだよ。レスティンも来てるからね」


初めて触ったサイ。うん、なんかザラザラしてる。粗いヤスリみたいだ。皮膚は予想通り硬かった。

じゃあ、角はどうだ!


「つのにさわってもいい?」


サイに尋ねると、どうぞっていう感じに頭を下げてくれた。

だいぶ落ち着いてきたかな?

角はツルツルとまではいかないが、細い溝のようなものがあり、面白い感触だった。そして何より、肌に吸いつく感じがクセになる。

やめられないし、手が離れない。


私がうっとりとサイの角を堪能していると、視界の隅に光るものがあった。

最初は魔法か何かかと思ったが、どうも違うようだ。

それは光る蝶。神の御使いとされるそれだった。


「なんでっ!?」


一匹だけかと思いきや、どこから湧いてくるのか、サイの周りで無数の光る蝶に取り囲まれた。


光る蝶の出現に、街頭の国民たちは誰に言われたわけでもなく(こうべ)を垂れる。奇跡だと、涙を流す者もいた。パレードの騎士たちも皆、立っている者はいなかった。そう、私と森鬼を除いては。


あんにゃろぉぉぉーー!!

心の中で雄叫ぶ。

いつもいつもいつも、私で遊んでんじゃねーぞ!!

…は、口が悪くなってる。私は令嬢。私は女優。うん、大丈夫。


「せーれーさん、神様に伝えてくれる?いたずらするなら、私にもかんがえがありますって」


神様にいいようにやられてばかりだが、反旗を翻すことだってできるんだからね!…今は無理だけど。


で、この状況、どうやって収拾すればいいんですか?

しばらく蝶に囲まれたまま、ボケーってしていたら、王様とヴィが登場した。


「ほんとお前は飽きないな」


笑いながら蝶の群れから救出してくれたヴィ。


「創造の神よ、今日という日に祝福を授けてくださったこと、感謝いたします」


サイと戯れる蝶に向かって、王様が膝を折った。

ヴィも王様に(なら)ったので、側にいる私もやらないと気まずい。

むぅ、あの神様を拝むことになるとは…。


ひらひらと一匹の蝶が王様の上で舞う。

神様が王様に加護でも与えているような図だな。

たぶんだけど、神様は王様みたいなタイプも好きなんだと思う。

類友ってやつ?子供がそのまま大人になった感じの。

森鬼は…逆に真面目すぎるところがツボだったのかなぁ?


えぇい、現実逃避しているんだから、私にまとわりつくんじゃない!

さっきから私やヴィにも蝶がちょっかいを出してきているのだ。

やがて、満足したのか、一匹また一匹と、空気に溶けるように消えていった。


-ヒギューーーン


んん?なんの音だ?

突如聞こえてきた、聞き慣れない音に顔を上げると、王様の目の前にあのサイがいた。


-ヒギューーーン


もう一度同じ音がして、それがサイの鳴き声だったことが判明。

やっぱりサイも鳴くんだ。


「王様、この子がのれって言ってるよ?」


サイが訴えていたのは、王様に背中に乗れってのことだった。


「しかし…」


「だいじょーぶだよ。ヴィがいるから、せーれーさんが王様のことまもってるし」


精霊の加護みたいなものが王様と王妃様にかけてあることはヴィから聞かされていた。

それに、王様がサイに乗ってパレードを続行してくれないと、この場は収まらないと思う。


なんとか説得して、獣騎士に手助けしてもらいながらも王様はサイに乗ってくれた。

王様がサイの背中に跨ると、再び街頭から歓声がわいた。

そう、初代国王ギィの再現だからだ。物語の中の光景を直に見れたのだから、国民たちの興奮ぶりもわかる。


そして、私はというと…。なぜかヴィとタンデムしております。それもラース君に…。

いやいや、目立ってるから!

私は席に戻るから下ろしておくれ!!


下りようとする度に、ヴィの拘束がきつくなる。

あのさ、言いたくないけど、ロリコンってレッテル貼られるよ?もう、遅いかもだけど。


結局、変態鬼畜王子から逃げることはできず、サイに乗った王様と聖獣に乗った王子と共にパレードするはめになった。

おっかしいなー。私はパレードを見る側だったのに、どうしてパレードする側になったんだろう?


王都を半周してお城に戻ったときには、精神的に疲れてぐったり。

お家に帰りたい!

が、ママンの監視つきで祝賀の宴に参加させられ、そこでもいろいろあって、オーバーヒートした私は、次の日ベッドとお友達になりました。

回復したら、両親とマージェスのトリプル説教で、新年早々ついてない。


そうそう、あのサイが獣舎のボスになったって!

それぞれ群れごとのボスはいたけど、獣舎全体のボスはいなかったんだよね。

やっぱりあの子、神様から何かしら恩恵でも受けたのかな?

あの子だけは人間に怯えることはなくなり、たくましくなったってレスティンが言ってた。

ロイの再来だと、獣騎士たちが色めき立ってるとも。

まぁ、王様以外は乗せようとしないらしいから、やっぱり獣騎隊の象徴なのは変わらないけどね。

こりゃ、私も乗るのは諦めた方が無難だな。あの子なら乗せてくれそうだけど、絶対騒がれるに決まってるし。

ただでさえ、あのパレードで噂になってるんだから、しばらくは大人しくしておこう。


あぁ、誰か私がヴィのお相手だって噂、消してくれないかなぁ…。




大変遅くなってしまいました(T_T)

2月が思いのほか忙しく、執筆に全然時間が取れませんでした。

雪に故障にVIP対応、終わったと思ったら月末で…。

来週友人の結婚式なんですが、頼まれたスピーチも今から準備するという有様。

何で一日は24時間しかないんですかね?


しばらくは本編を進める予定ですので、祝賀の宴の話は、リクエストが多ければ書こうかな。

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