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息子は母親に弱い。

本日二回目の更新です。

赤のフラーダを見送り、私を部屋まで送り届けると、ヴィは協議に戻らないといけないと言って、ラース君とともに去っていった。

ラース君は置いていってくれてもよかったのに。

つか、去り際の一言がなぁ……。


『任せたぞ』


何も任されていないが?と言いたいところだけど、ルティーさんのことだろう。

私の側にはルクス様もいるし、私が祈れば女神様のミラクルパワーが届くとでも思っていそうだ。

しかし、私が祈ったくらいで治るかな?


「ねぇ、ルクス様。私が女神様に祈ったら、心を病んでいる人を治せると思う」


『ふむ。先ほどの話だね?結論から言うと、わからない。祈りの声を聞いてどうするか、それを決めるのはクレシオールだからだ』


それはそうだろう。

女神様にだって、加護や手心を加える基準みたいなものがあるんじゃないかな?

でなければ、治癒魔法を使える人はみんな、欠損を修復できる伝説級が使えるはず。

お兄ちゃんも女神様の加護は強い方だけど、それでも治癒魔法は中級に留まっているし。


「じゃあ、女神様が治してもいいかなって思わせないとダメってことか」


『愛し子であれば祈りも届きやすいが、愛し子をつらい目に遭わせた者を治すとなれば、あの子は拒むかもしれないね』


「そこはルクス様の説得でなんとか!」


私が手を合わせて拝むも、ルクス様は腕組み姿で首を横に振った。


『この身では、クレシオールに意思を伝えることができなかっただろう?』


あ、そういえば……。

神様の分身がぬいぐるみに入ると、念話みたいなのができなくなったって言ってたような?


『私もあの子に慈悲を願うのであれば、祈らなければならないようだ』


……それって、神様も女神様も気まずいのでは?

ルクス様は分身とはいえ、神様でもあるので、娘にお願いするためにお祈りしないといけないっていうのは、父親の威厳(いげん)がねぇ。

女神様も父親である神様が祈ってきたら、えぇぇって困惑すると思うし。


「どうしよう……」


『ラルフリードに相談してはどうだい?あの子は治癒魔法のこともよく学んでいるようだ』


やっぱりここはお兄ちゃんの出番か!

これ以上、ヘリオス伯爵やその関係者に関わることを怒られる可能性はあるけど、そのときはヴィも一緒に怒られてもらおう。


お姉ちゃんとお茶をしたり、魔物っ子たちとお絵描きをしていたら、あっという間に夕食の時間になった。

パパンとママン、お兄ちゃんはまだ戻ってきていない。

パパンとママンで一部屋、お兄ちゃんで一部屋、客室を割り当てられている。

だけど、パパンの要望で朝食と夕食はみんなで摂ることになっているから、この部屋に帰ってくるはずなんだけどなぁ。


「もう少し待ちましょう」


先に二人で食べるよりはと、お姉ちゃんがそう提案してきた。

おやつを食べたので、まだ空腹は我慢できるが……早く帰ってきてー!


私の心の声が届いたのか、それからすぐに三人が帰ってきた。


「ネマ、遅くなってすまない!」


「待たせたわね。ネマ、お腹空いたでしょう?」


帰ってきたとたん、パパンに抱き上げられて、ママンに撫でられる。


「すっごく!」


パパンとママンはお姉ちゃんにも謝ると、食事をするテーブルへと向かう。

その後ろにお兄ちゃんが続くのだが……。


「おにい様、大丈夫?」


どこか疲れているように見える。


「大丈夫だよ。少し疲れただけだから」


お兄ちゃんが疲れた原因を知っているであろうパパンとママンは微笑みを浮かべるだけだった。

ママンがみんなに座るよう促し、夕食が始まる。

私はパパンの膝の上に座らされ、パパンがせっせと料理を口に運んでくる。


「さぁ、ネマ。お口を開けてごらん」


「あーん……」


過保護の悪化というか、私がさらわれていたときの心配や不安の反動が来ているんだと思う。

怖い思いをしたんだから、私が安心させてあげねば的な?

ただ、二、三歳児くらいの扱いをされている気がする……。


「デール、ネマができることはさせてあげないといけないわ」


「身内だけの、限られた場でならよいだろう?外では思い切り構ってはあげられないんだし……」


ママンに注意され、食べさせる手を止めるパパンだったが、なんとか言い訳を試みる。


「ネマ、わかっているわね?」


そうしたら、なぜかこちらに飛び火した。


「はい!」


元気よく返事してから、ママンの訴えるような視線の意味を考える。

あれか?パパンを手のひらコロコロしなさいってことか??

私に甘いパパンなら、私の思惑を理解して自ら転がってくれそうではある。


「おとう様もいっぱい食べてね」


パパンのフォークを奪い、お肉を刺してパパンに差し出す。

パパンは嬉しそうに頬張るも、すかさず次のお肉を差し出した。

わんこ蕎麦方式でパパンに食べさせつつ、合間に自分ももぐもぐ。お肉が美味しい!


「あら、今度はネマが食べさせてあげているのね」


お姉ちゃんが羨ましそうにこちらを見ている。


「おとう様はお仕事が大変だから、英気をやしなってもらわないと」


お肉ばっかりなのはよくないので、グラッセみたいなつけ合わせの野菜も食べさせる。決して、私が嫌いな野菜だから……ということはない。


「ネマっ……」


パパンは感動して、ぎゅーっとされてから頬ずりされた。

ちょ、お肉たべているときに頬ずりはやめてくれ……。ほっぺたの内側を噛んじゃうでしょ!


「確かに、デールには頑張ってもらわないといけないわね。明日も荒れそうだもの……」


ママンがそう言うと、お兄ちゃんもうんざりって感じで頷いた。


「おにい様も大変なの?」


「父上ほどではないけれどね」


パパンはガシェ王国の宰相として、ガシェ王国の王太子であるヴィのサポートをしているようだ。

ヘリオス伯爵が糸を引いていた事件は数多く、被害に遭ったガシェ王国民も多い。

とはいえ、ルノハークの中には我が国の貴族もいたことから、100%被害者という顔はできないとのこと。

お兄ちゃんはディーの能力を使って、事件現場を映したり、オスフェ家が握っていたルノハークの証拠の数々を説明したりと、なかなかこき使われているようだ。


「これも跡取りのお仕事だよ。各国の要人が集まる場で、家名を背負って発言する。いい経験だろう?」


「確かに、貴重な経験だけど……」


お兄ちゃん、ヴィだけでなく、パパンにも無茶振りされていたりする?

それとも、その要人の中に偏屈な人でもいるとか??


「ラルフはオスフェ家の代表として、堂々と振る舞えているわ」


ママンがお兄ちゃんを褒める。

だけど、お兄ちゃんの顔は晴れなかった。


「僕はまだまだ至らないと痛感しました。できる気でいた自分が恥ずかしい……」


お兄ちゃんが……お兄ちゃんが今までにないくらい落ち込んでいるぅぅぅ!?


「おにい様はじまんのおにい様よ!」


なんとか励まそうとするも、お兄ちゃんは弱々しい笑みでお礼を言うだけだった。

誰だ!うちのお兄ちゃんをこんなふうにした奴は!!

明日の協議に乗り込むべきかと考えていたとき、パパンが口を開いた。


「恥ずかしいと感じたのであれば、二度と同じ(てつ)は踏まないだろう」


しかし、お兄ちゃんはパパンの言葉に納得がいかない様子。


「幼い頃は何度も同じ失敗をして学んでいくが、大きくなってからの失敗はなかなか忘れないものだ。いや、恥ずかしかったという感情が伴うゆえに、忘れたくても忘れられないと言った方が正しいか」


パパン……それは黒歴史というやつではないのかな?


「私もラルフの年頃にはたくさん失敗したし、当主になった当初もやらかしたことがある」


パパンの失敗談とか、めっちゃ気になる。

この調子で語ってくれたりしないだろうか?


「わたくしたちの代やラルフのお祖父様たちの代の方々は、デールの失敗をご存じだから、ちょっとしたことなら見てみぬふりをなさってくれますよ」


ママンはクスクスと笑う。

パパンの失敗を思い出して、笑っているように見える。

思い出し笑いするくらい面白い失敗だったのか!?

気になる……すっごく気になる!

パパンをじっと見つめるも、頭を撫でて誤魔化された。


「だけど、父上は今日の僕のように、母上に助けられたりはしなかったのでは?」


「それは……今度デールから聞くいいわ」


パパンは表情を変えたりはしなかったけど、ママンの様子からして、パパンもお祖母ちゃんに助けられた経験がありそう。


「ラルフ。貴方は妹たちを守る立場だけれど、わたくしたち親から守られる立場でもあるのよ?でも、守ってあげられるのはわたくしたちがいる間だけ」


「母上……」


(おおやけ)の場での作法に厳格なママンが、オスフェ公爵夫人ではなく、ラルフリード・オスフェの母親として助け舟を出したのだとしたら……とんでもないことだ!

ママンが私的な面を出すなんて、協議の場で何があった!?

やっぱりお兄ちゃんをいじめる奴がいるのか?


「心配はいらないわ。わたくしたちが、ちゃんと育ててあげますからね」


子を思う親心。感動する場面なのは間違いないんだけど、ちょっと怖い感じがするのは気のせいかな?……気のせいってことにしておこう。


「ありがとうございます、母上」


ママンがそう請け負ったからか、お兄ちゃんは少しだけ肩の力を抜いた。

そして、ほとんど手をつけていなかった料理を口に運ぶ。

食欲が戻ってきたのなら大丈夫そうだね。


「おにい様、今日はアイスもあるのよ!」


食後のデザートに、お兄ちゃんも大好きなグワナルーンの乳で作ったアイスが用意されているのだ!

グワナルーンの乳で作ったアイスは、ランドブルの乳で作ったアイスより口当たりがよく、優しい甘さがする。果物のソースとも相性がいい!


「あいす!それは楽しみだね」


本当に嬉しいって笑みを返され、私も嬉しくなった。

アイスは、私が食べたくなって、お兄ちゃんを巻き込んで再現したことがある。

うろ覚えのレシピで作ったので、あのときは美味しいと感じたが、今思えばまぁまぁレベルだったな。

今では、我が家の料理人たちが魔改造を施し、前世の高級アイスより美味しいアイスが作られるようになった。

アイスのレシピと技法は、今のところオスフェ家が独占しているみたい。一般に公開するかは、我が家の料理人たちに任せている。

満足のいくレシピができたら、公開されるんじゃないかなぁ?


「グワナルーンの乳のあいすは久しぶりね」


お姉ちゃんの言葉に、私はうってなる。

グワナルーンの乳は、帝都のエルフの森にあるお店と定期購入の契約を結んでいるので、アイスを作ろうと思えばいつでも作れるのだが……。

グワナルーンの乳が美味しくて、アイスやシェークにする前にそのまま消費されてしまう。

まぁ、その消費の七割は私なんだけどねー。あるだけゴクゴク飲んじゃうから。


家族でグワナルーンの乳のアイスを堪能したあとは、それぞれ割り当てられた部屋に戻っていった。

スライムたちと一緒にお風呂に入ってから、私はルクス様と翡翠を連れて、お兄ちゃんの部屋へ突撃するぞ!


「パウル、おにい様のところへ行ってくるね」


「こんな時間にですか?」


まだ寝る時間ではないのに、パウルが難色を示した。

明日も協議に挑まねばならないお兄ちゃんを気遣ってのことだろう。


「翡翠が魔力を食べたいって。ちょっともらって、すぐ戻ってくるから!」


本当は、お兄ちゃんの部屋に行く口実にするために、翡翠を魔力で買収した。

お兄ちゃんは疲れているだろうから、魔力はお兄ちゃんの専属執事のジョッシュにもらおうと思っている。彼も風属性だからね。


「かしこまりました。念のため、シンキを同行させてください」


宮殿の中とはいえ、夜間なので危ないということらしい。


「シンキを連れて参りますので、少々お待ちください」


森鬼はもう使用人の部屋に戻っており、寛いでいるだろうに申し訳ない。

森鬼が来て、お兄ちゃんがいる部屋に向かう。

とは言っても、お兄ちゃんに割り当てられた部屋は、私の部屋の二個隣である。

私がさらわれていた間、お兄ちゃんはヴィの部屋でお世話になっていたそうだ。神様降臨の遺跡から戻ってきたら、聖獣がいるからという理由で、ヴィと相部屋にさせられそうになったらしい。

ディーが小さくなったことで回避できたけども。

お兄ちゃん曰く、我が家の屋敷でならともかく、王宮や、ましてや他国の宮殿で相部屋は無理だって。

王宮や宮殿は身分でしっかりと線引きされるから、気軽に友達とパジャマパーティーというわけにはいかないよね。


お兄ちゃんの部屋をノックすると、お兄ちゃん付きの侍女であるシェリーが出迎えてくれた。


「ネマお嬢様、いかがなされましたか?」


「おにい様に用事があってきたんだけど」


シェリーに室内に案内され、リビングっぽい部屋のソファーに座る。

すかさずディーが膝の上に乗ってきた。

そして、体を伸ばして、私の肩にいるルクス様に甘える。……重い。


「ラルフ様はただいまご入浴中ですので、しばらくお待ちください」


シェリーは、私と森鬼にホットミルクを用意してくれた。

森鬼にもホットミルクなんだと思いながら、ちびちび飲む。

お兄ちゃんを待つ間、シェリーが寒くないかとブランケットを持ってきたり、ミルクのお髭を拭いてくれたりと、かいがいしくお世話をされた。


「ネマ、お待たせ」


私が来ていることを聞いて、お風呂上がりの手順をすっとばしたのか、普段からは信じられないくらいラフな格好をしたお兄ちゃんが現れた。

髪はタオルで拭いただけなのか、まだしっとりしている。パジャマのボタンはいくつか留まっておらず、ガウンもどきも肩にかけただけ。

だらしないと注意されそうな姿だけど、お兄ちゃんにかかれば格好よく見えるから不思議だ。


「くつろいでいたのにごめんなさい」


「気にしないでいいよ。父上や母上には聞かれたくないことなんだろう?」


わざわざ部屋に来たことから察してくれたようだ。

話をする前に……まだしっとりしている髪が気になってしょうがないので、ジョッシュに乾かすようお願いした。

あと、パジャマのボタンも留めて、ガウンもどきもちゃんと腕を通して、前を閉める。

湯冷めして、風邪を引いたりしたら大変だからね。

お兄ちゃんの前にもホットミルクが用意されてから、私は今日のことを話した。

赤のフラーダのシャーリンさんに聞いたこと、ヴィに言われたこと、ルティーさんのこと。


「ゼルティール・ヘリオスがすべての取り調べを黙秘しているのは知っているよ。彼の様子から、心を病んでいるであろうこともね」


お兄ちゃんは、ルティーさんの状況を知っていたようだ。


「シャーリンさんが言っていたという、心の病いを治す方法は、学術的観点から言えば、偶然の産物だと思う。でも、女神様の加護を受ける者の観点から言えば、十分ありえると思っている」


お兄ちゃん的には、祈りは魔法ではないので、治したりする効果はないけど、治癒を使うときに祈ると効果が上がる事実から否定できないということか。


「治癒魔法では心の病いは治せないけれど、一つ、もしかしたらという詠唱があるんだ」


そう言って、お兄ちゃんは目を閉じて、胸の前で手を組み、女神様に祈ってみせる。


『ラ・レル・クレシオール』


聞いたことある詠唱だけど、どんな効果がある治癒魔法だったかなぁ?

特に魔法が発動した形跡もないし……うーん。


「これは、女神様へ加護を乞い願う詠唱で、特に何か現象が起きるものではないんだ」


創聖教では挨拶代わりに使われているとかいないとか。

創聖教で日常的に使われているのであれば、本当に何も効果がないのかも……と思ってしまうよね。


「何も現象が起きないのに、なぜこの詠唱は今でも残っているんだろうね?」


「あいさつ代わりにしたからじゃないの?」


さっきお兄ちゃんが自分で言ったじゃん。

そうしたら、挨拶なら詠唱じゃなくて、ご機嫌ようでもいいよねって。

それだと宗教感が出なくて物足りなくない?


「本当は何かしらの効果があるけど、今の世代は忘れてしまったとは考えられないかな?」


ここから、お兄ちゃんによる治癒魔法講義が始まった。

治癒魔法は魔力を消費することから魔法である。使える者に条件があるのは属性と同じである。

それが現代の捉え方だと。

だけど、治癒魔法は本当は魔術()だと言う。

魔術とは、魔力と他の力……世界に満ちる神様の力をほんの少しお借りして発動するものらしい。

だから、治癒魔法の詠唱には、女神様の名前が必ず入っているのではないかって。

念のため、ルクス様に確認すると、(おおむ)ね合っていると返ってきた。

治癒魔法は魔力と女神様の力が合わさったもので、祈りは女神様の力に作用し、治癒魔法の効力を上げている。というのが、お兄ちゃんの考えだった。


「ラ・レル・クレシオールは、祈りを大きくする……女神様へ届きやすくする詠唱だと、僕は思ったんだ」


ちょっと迷惑な魔法……じゃなかった、詠唱だなぁって感じるのは私だけじゃないはず。

だって、女神様からしたら、でっかい声でお願いされているってことでしょう?うるさってなるよね??


「もし、本当にそうであれば、治癒魔法の可能性は格段に大きくなる」


「どうして?」


意味がわからなかったので、治癒魔法の可能性とやらを説明してもらう。

祈りで治癒魔法の効果が上がるのだから、祈りを大きくする詠唱を同時に使えば、より効果が上がるのではないか。

つまり、バフのようになるんじゃないかってことらしい。

まだ理論上のことなので、実際に試してみないことにはなんとも言えないけど。


「伝説の大聖女が欠損をも治せたのは、この詠唱を併用していたからかもしれないよ?」


それを聞いたら、確かに治癒魔法の可能性を感じてしまうね。


「僕が詠唱するから、ネマはゼルティールの回復を祈ってみるのはどうかな?」


お兄ちゃん、もしかして……ルティーさんで臨床試験をやろうとしてない?

これ、やっても大丈夫なのかな?

心配になったので、ルクス様に聞いてみる。


「ルクス様、えいしょうといっしょに祈って、ルティーさんに害はないかな?」


『神罰以外で人を傷つけることはできないから、安心するといい』


いや、ルティーさんの置かれている立場って、ヘリオス伯爵の共犯で、愛し子に害をなした者って見なされるんじゃないの?

うーん、ヘリオス伯爵にも神罰は落ちなかったし、私が無事だからセーフ判定なのか??

神罰はないものと信じて、祈ってみることにした。


『ラ・レル・クレシオール』


お兄ちゃんの詠唱を聞きながら、私は手を合わせて祈る。

ルティーさんが元気になりますように――。


ヴィが何かを言ってくることはなく、祈りの効果があったのかわからない。

でも、ルティーさんには元気になってもらいたいので、毎晩あの詠唱を唱えながら祈った。




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