★番外編 ガシェ王国の大みそか的な一日
遅くなってしまい、申し訳ありません(土下座)って、いつも言っている気が…σ(^_^;)
明日から、新年を祝うお祭りだー!
やっと、パパンとママンからお祭りに参加してもいいと許可がおりたんだよ。
去年というか、まだ今年?はダメだったから、ジゼルたちの晴れ舞台を見れなかったんだよね。
聞いた話によると、パレードは王族だけでなく、王宮のお偉いさんたちも参加義務があるんだとか。なんでも、ガシェ王国の政治を担っているのはこの人たちですよーっていう顔見せなんだと。
パパンはもちろん、大臣ズとゴーシュじーちゃんも出るし、ジーン兄ちゃんが確実に国内にいる唯一の期間と言ってもいい。
ママンも魔術研究所の代表として、サザール老と一緒に参加するし、お兄ちゃんも王位継承者として参加する。同じ理由で、他国に婿入りした王位継承権第二位の王弟も戻ってきている。
そうそう、この王弟の継承権は名誉職みたいなものだって。
なんで?って聞いたら、お祖父様(私にとっては曾祖父ちゃん)がうんたらかんたらって、耳タコな話だったからスルーしておいた!
とりあえず、私はお姉ちゃんと一緒に大人しくパレード見ておきなさいってことだ。
ふっ、私が大人しくしていると……。はい、大人しくしてます。だからママン、その笑顔やめて。恐いからさ…。
そんな感じで家族団欒やっているけれど、使用人のみんなは新年に向けて大忙しなのです。
昨日は我が家の大きなお屋敷の大掃除だったし、今日は新年の飾り付けの日なのだ。
これは市井でも同じだ。商家なんかはお店と自宅もしなきゃいけないからもっと大変だと思うけど。
飾りは、お家の外壁に赤・青・緑・黄と白・黒の六色の大きな垂れ幕を付ける。最初の四色は精霊色と呼ばれるもので、各精霊の属性を色で表したものだ。白と黒は光と闇、創造と破壊、生と死。つまりは神の力を象徴したものなんだとか。
まぁ、ファンタジーのお約束だよね、って思ったけどさ。あと、鯨幕…。
それは置いておくとして、お庭がある家庭は野菜や果物で作った飾りを置く。作物は精霊たちによる恵みなので、こんなに実りました、ありがとうございますの意味を込めて作るらしい。収穫祭も兼ね合わせた、ガシェ王国挙げての一大イベントなのだ!
ちなみに、我が家の目玉はママン特製氷の彫刻だ!
去年は超巨大な女神クレシオール像だった。女神本体がベリーのような甘酸っぱい味で、右手に持つ『この世界』が爽やかなミント風味、左手に持つ『死者の世界』がチョコレート風味という工夫がしてあった。
精霊たちに大人気で、ママンは一日に何度も作り直していたくらいだ。
実体のない精霊たちがどうやって食べているのかは謎だけどね。
あと、ここ数年の我が家恒例は、遊びにくる動物たちにもご馳走を用意してあることかな。
さてさて、家族団欒中ですが、私の前にはたくさんの野菜と果物があります。私が食べるわけではなく、これらで飾りを作るのは子供の仕事なのです。
うむ、困った。毎年のことだが、芸術的才能に見放されている私には、ものすっごく難易度の高いミッションだ。
ここは前世の知恵に頼るしかないが、かぼちゃもどきでジャック・オー・ランタンは前回作ったしな…。
きゅうりで馬となすで牛…はダメだな。てか、私の目の前にかぼちゃもどきが鎮座しているのは、今回もこれを使えってことなのだろうか?
かぼちゃねぇ、かぼちゃ…と言えばシンデレラ。他にネタもないからソレでいいか。
ということで、お兄ちゃんにお願いして、かぼちゃもどきの中身をくり抜いてもらう。中身はもったいないので、おやつの材料に使ってもらおう。
あとは魔道具を使って、切ってくり抜いて貼り付ける。
皮が固い瓜もどきをママンに輪切りにしてもらい、さらに水分も抜いてもらう。それを車輪として取り付けると、馬車に見えなくもない。
お姫様は人参もどきをベースにして、ドレスを白菜もどきで作る。この葉っぱ、緑のグラデーションが鮮やかだから、よくサラダに使われているんだけど、葉っぱなのに甘くて美味しいんだよね!
…ちょっと失敬。
モグモグ…うん、やっぱり美味しい!!
この世界、美味しいものばかりでご飯には飽きないから嬉しい。前世で美味しいって思えるの、お母さんの手料理くらいしか覚えてないしな。
白菜もどきをおやつ代わりに、お姫様の頭部製作にかかる。
この、ほおずきの実みたいなやつでいいか。カツラはみかんもどきの皮で作ろう!ティアラは…あ、いいのめっけ!このくるみもどきは、くるみよりは殻が薄くて、色が銀色なんだよね。光物が好きな鳥に運んでもらうためって図鑑には書いてあったけど。
馬は大根もどきを加工するしかないか。一本の大根もどきで、胴体と頭と脚を切り出して、組み立てる。
なんか、馬だけだとインパクトないな…。羽でも付けてみるか。
もう一本使って、今度は羽を作った。そしたら、ロボットみたいなシャキーンな感じになってしまったので、慌てて途中を折って関節部分を作った。
おぉ、なんかいい感じでペガサスになったぞ!
あとは、従者を付けるか、それとも王子様か…。
「まぁ、ネマ!今年も力作ね!」
自分の分は終わったのか、お姉ちゃんが私の手元を覗きにきた。
「おねー様、じゅーしゃとおーじ様、どっちがいいと思いますか?」
「もちろん、王子様に決まってるじゃない!」
ですよねー。でも、その王子様をなんで作るかが問題なんですよね。
「わたくしにも作らせてちょうだい!」
そう言って、お姉ちゃんはウキウキと製作し始めた。
「えっ?おねー様がおーじ様をつくってくれるの!?」
「そうよ。ネマとの共同作品ね!」
いや、作ってくれるならありがたいのだが、私が言うのもなんだが、大丈夫だろうか?ちょっと心配だ。
「ネマは少し休んできたら?結構長い時間作っていたでしょう?」
確かに肩が凝ってるけど…。うーん、甘えちゃおうっと。
「じゃあ、おーじ様のことおねがいします!」
「任せて。ネマに相応しい王子様を作ってみせるから!」
えっ!?私じゃなくて、この人参もどきのお姫様に似合う王子様を作ってくれ!!それに、王子なんて肩書きを持つ男は御免蒙る!
なんて言ってお姉ちゃんの意気込みに水を差すのもなんなので、笑って誤魔化しておく。
使用人にお茶を淹れてもらうと、おやつにかぼちゃもどきのパイが出てきた。
パイが作れるくらいの時間を没頭していたってことだ。そりゃあ肩も凝るよね。
かぼちゃもどきのパイを早速頬張る。
サクッという食感が口の中に入れても続いている。すげーな、このパイ生地!
かぼちゃもどきの味はじゃがいもに似ていて、塩気の強い干し肉が入っているこれは、コロッケの中身みたいな感じだ。あと、濃厚なチーズも入っていて、一言で言うなら美味い!だ。
あっという間に食べ終わってしまった。
「ネマお嬢様、もう少し召し上がりますか?」
私の食い意地をよく知っている使用人が聞いてきた。もちろんだとも!
「はい!」
って、すでに用意してあるし!さすが我が家の使用人だね。
2個目のパイにはソースがかかっている。飽きないように味を変える工夫とは…憎いね!このっ!
一口サイズにカットしたパイにたっぷりとソースを絡めてパクリ。
…うっまーい!
このソース、サーダの実だ!
サーダの実から作るソースはほのかな酸味と、種にはピリッとした辛みがある。ガシェ王国では日常よく使うもので、日本でいう醤油みたいなものだ。
私はサラダにかけたり、パンにつけて食べたりしている。
サーダの酸味と舌を刺激するピリッと感に塩気がいい具合にマッチしているし、ソースを吸ってしっとりとした中身も先程とは違う食感でまたいい。
2個目もあっという間になくなってしまった。
来年もまた、かぼちゃもどきで飾り作ってもいいな。
「ネマ、できたわよ!」
はやっ!もう王子様作っちゃったの!?
お姉ちゃんの手元を覗きに行くと、そこには正しくミニチュア王子様がいた。
深緑のタキシードの様な礼服を着た、オレンジ色のズッキーニもどきの王子様。髪の毛はりんごもどきの皮で青だ。ご丁寧に顔まで描いてある。それがまたイケメンだったりするからたちが悪い。
これを私の作った適当なお姫様と並べるのか!クオリティが違いすぎる!!
「かっこいいおーじ様!おねー様、ありがとー」
内心はどうあれ、お姉ちゃんには感謝の意も込めて、盛大にハグをしておく。
「そういえば、おねー様のかざりは何をつくったの?」
「ふふっ。わたくしのはこれよ?」
そう言って渡されたのは普通の木の実だった。見た目はどんぐりに似ているこの実は、一応食用にもなる。中身を炒って、パンやお菓子などに入れて焼くのだ。
「これ?」
「そう。精霊様に触るようお願いしてみて」
まぁ、よくわからないが、精霊が触れればいいんだな!
「せーれーさん、この実をさわってみて?」
と言った瞬間―――
パンッ―――
何かが破裂した。つか、マジでビビったわ!!
おそるおそる手のひらにある木の実を見てみると、パックリ割れていた。それだけではなく、湯気もたっている。
…どうしてこうなった?
「これはね、食べ物を内部から焼く魔法なの」
つまり、これは食べられるんだよね?じゃあ、食べてみよーっと。
焼きあがった木の実をパクリと口に入れてみる。
ふむ、香ばしい。香ばしいだけで、なんか味気ない。木の実だし、こんなものか。
次に渡されたのは青いりんごもどき。
さっきと同じように精霊にお願いすると、今度はポンッと軽い音がなった。
この効果音の違いはなんだろう?
早速、手のひらにはほくほくとした温かさが伝わってくる。
ツルツルだった表面は張りがなくなり、しおっていう感じになった。黒く焦げた部分は芸が細かいとでも言うべきか。
そもそも、焼きりんごって美味しいのか?と訝しみながらも一口。
クシャリ…こ、これは!!
柔らかいのに、りんごのシャリシャリ感が残っている歯ごたえ。熱が通ったせいか、甘みを増した果汁。
これは美味しい!!
夢中になってりんごもどきを食べる。これは温かいうちに食べないと、美味しさが半減してしまう!
りんごもどきが芯のみになってしまい、ほぅっと息をはいた。
「美味しかった?」
「とっても!!」
私のご満悦の笑みに、お姉ちゃんもキラキラ笑顔を返してくれた。
やっぱり私のお姉ちゃんは美人さんですなぁ。
「でも、どうしてせーれーさんがさわらないとはつどうしないの?」
「あら、簡単よ?精霊様には属性に関わらず、共通の波動があるの。魔法の発動条件にその波動を組み込めばいいだけだから」
本当に簡単に言ってくれたよ、このお姉ちゃんは…。
お姉ちゃんも精霊は見えない人だと思っていたのに違ったのか?なんで共通の波動とかわかったんだろう??
「おねー様、せーれーさん見えるの?」
だとしたら、私泣いちゃう。
私も見たい!なのに、ソルが精霊見えるようにしてくれない!!私にはまだ早いだって。理不尽だー!!!
「見えないわよ。でも、感じられるようにはなったわねぇ。ネマのおかげで」
「…私?」
「えぇ。ネマが炎竜様とお友達になったでしょう?そのおかげなのか、まず火の精霊様の気配みたいなのが感じられるようになって。コツを掴んでからは、他の精霊様のこともわかるようになったのよね」
…当の本人はその気配なんてものはこれっぽっちも感じられませんが。
これだからチートはっ!
パパン譲りの炎系チートだけど、新しい魔法を創っちゃうあたりはママン譲りだな。
さっきからママンの目がギラギラしているから、このあとお姉ちゃんは捕まって質問攻めにあうに違いない。
なんにしても、末恐ろしい12歳だな。
以前はよく一緒に悪戯して怒られていたのに。
お姉ちゃんの次はお兄ちゃんに突撃してみる。
「おにー様は何をつくったの?」
「僕のはこれだよ」
見せてくれたのはクレシスチェリーだった。サイズは小さいけど…。
牛蒡に似た細長い根菜を束ねて、幹や枝を再現し、何種類もの果物や野菜を小さくカットしたものが花になっている。
カットしてあるのに、花が瑞々しいのは水魔法でもかけてあるのかな?
お兄ちゃんにお願いして、余った花の部分を食べさせてもらうことにした。
お皿の上にあったのは1センチくらいの大きさで、つまみ食いにはちょうどいい。
まず手に取ったのはぶどうに似た実。これはラズベリーに近い味で、ジャムにするととっても美味しい。
甘い酸味を思い出しながら口に含むと、とてつもない衝撃が走った。
「…すっっっっっぱぁぁぁぁいぃぃぃ!!」
悶え苦しむというか、みかんの皮の汁が目に入ったときの苦しみに近い。
口がぁぁぁって、床をゴロゴロしたい!
「…っぷ…あははは…」
…お兄ちゃんに大爆笑された!!
ひどーいっ!マジ笑いすぎだってば!
ていうか、見た目と味が違うとか詐欺じゃん!
「ネマ、凄い顔になっているよ?」
お兄ちゃんのせいでしょうがっ!
あのお兄ちゃんが悪戯するとか、二重でショックだわ。
恨めしい目つきでお兄ちゃんを見やると、即座に謝ってきた。
「ごめんごめん。まさかネマがレーシ味に当たるとは思わなかったから…」
同じ言葉を二回くり返すときは嘘をついているって聞いたことがある。お兄ちゃん、本当は悪いなんて思ってないでしょ!
しかも、レーシとか凶悪な味、知りたくなかったよ!!
レーシって、見た目は柿みたいな果実なんだけど、ラーシア大陸で一番酸味が強いって有名なんだよね。
「これなら味がペシェだから美味しいよ?」
そう言って渡されたのは、オレンジ色のプチトマト。見た目はプチトマトでも、ピーマンのように中が空洞で、苦味にくせがある。どっちかっていうと獅子唐に近いか。
ペシェは桃に似ていて、果肉は柔らかくて、滴り落ちるほど甘い果汁を蓄えているのが特徴な果物だ。
どうでもいい話だが、ペシェは私の大好物だったりする。
おそるおそる、おっかなびっくりという感じでプチトマトを口に運ぶ。
目をぎゅーっと閉じて、いつ裏切られてもいいよう心構えも忘れない。
プチュッと独特な歯ごたえのプチトマトを潰すと、甘い甘い汁が口の中に溢れた。
おぉ!正真正銘、ペシェの果汁だ!
あとは何も考えず咀嚼して、甘みをしっかり堪能してから飲み込む。
もっとないのか!?
「ペシェの味はそれが最後なんだ。夕食にペシェを用意するようお願いしておくから、ごめんね」
そう言って頭をなでなでしてくるお兄ちゃん。
いいよ、いいよ。ペシェを食べさせてくれるなら許す!
「おにー様、大好き!!」
お兄ちゃんに抱きついて、ぎゅーってしたんだが、身長差というものがあったね。ちょっとこの位置は乙女としてはかなりマズイ。
マズイのはお兄ちゃんも同じだったのか、すぐに抱っこしてくれた。
よかった。さすがにこの歳で痴女扱いされたら泣いちゃうよ。
「おにー様、どうしてペシェじゃないのにペシェのあじがするの?」
「お母様の魔法を参考にね、果汁の味を変えてみたんだ」
いや、答えになってないよお兄ちゃん。味が変わっているのは食べたから知ってるしさ。
わかんなーいっと首を傾げてみる。
この仕草、何歳くらいまで使えるかな?大きくなって使うとぶりっ子みたいだよね。
「ここにペシェとレーシがあるとする。それぞれの果汁には甘い成分と酸味の成分が含まれている。それを『分析』して、入れ替えて『再現』すれば、見た目と味が入れ替わったペシェとレーシができるんだよ」
…そうでした。この人もチートでしたね。
『分析』は無属性魔法で、レベルによって分析できる精度は変わる。
上級の『分析』は、地球の科学分析と変わらないと思う。
『再現』は水魔法と土魔法にしかないもので、どちらかというと錬金術に近い。『再現』自体もかなり魔力を消費するので、中級以上でなければ使えない。
ん?…そうだ!
お兄ちゃんの魔法を使えば、アレを作れるんじゃあ…。
前世で、地味にハマっていたアレ。
牛乳をストローで飲むと味が変わるアレだ!
あと、濃縮してコーヒーポーションみたいにするとか?水に入れればすぐ飲める、みたいな。
ということで、お兄ちゃんに相談してみた。
「面白そうだね。ちょっと実験してみようか?」
残念ながら、こちらの世界にはストローが存在しないので、ある植物の茎を代用することになった。
細くてまっすぐで、中が空洞というお誂え向きな植物だ。
その中に小さな粒にしたペシェの果汁を入れてみる。
試しに水を飲んでみたが、何も味はしなかった。
「これだと、水に溶けないのか」
最初は面白がっていたお兄ちゃんだが、真剣な顔つきに変わった。
「でしたら、魔法に『特定条件』を付けてみたらどうかしら?」
おっと、ここでお姉ちゃんも参戦だ!
「何か液体に触れたら溶解する、ということかな?」
「ええ、無理かしら?」
「そうなると『再現』では無理だな。新しく魔法を構築した方が早いかもしれない」
「そうねぇ…『分離』『圧縮』してから、『形状複製』なんてどうかしら?」
お姉ちゃんは使用人に紙とペンを持ってこさせ、それにサラサラっと何かを書き始めた。
私にはアラビア文字にしか見えないソレは、精霊文字と呼ばれるものだ。
魔法を学問として研究する際に欠かせないが、話せばかなり長くなるのでやめておこう。
けして、私が理解していないとかではない!
さて、言い出しっぺの私だが、確実に置いてけぼり中だ。
お兄ちゃんもお姉ちゃんも、楽しそうに試行錯誤しているが、私はそれを眺めているだけ。ちょっと淋しい…。
しょうがないので、パパンとママンにでも相手してもらおうっと。
二人のところに行って、お兄ちゃんとお姉ちゃんが作ろうとしているものを説明してみた。
そうしたら、ママンの目が再びギラギラしだした。
どうしよう、ママンが怖いんですけど…。
結局、夕食までお兄ちゃんとお姉ちゃんは実験していたが、上手くいかなかったようで来年に持ち越しになった。
放っておくと夕飯を抜いてまで実験してそうな勢いだったので、みんなでご飯食べたーいっと言って二人を食卓に着かせた。
食後のデザートには約束のペシェを出してもらい、大変美味しくいただきました!
ご飯に夢中で気がついたら、庭には大きな氷の彫刻があり、ママンの魔法を見れずに不貞腐れる。
氷の彫刻は特殊な魔法を使うって聞いてたから、すっごく楽しみにしていたのに!
不貞腐れた私の様子が哀れだったのか、ママンが一緒に寝ようと誘ってくれた。いろいろ魔法について聞くチャンスだと思って、意気揚々とママンの部屋に向かった。
「明日はネマも忙しくなるわ」
「どうして?私はおねー様といっしょに見てるだけだよ?」
「あら、陛下主催の祝賀の宴にあなたも出席するのよ。近隣の王侯貴族の方々も出席されるからね」
うへぇ、そんなの聞いてないよ。
面倒臭そうだな…逃げられないよね?
祝賀の宴をどうやって乗り切るかを考えていたら、いつの間にか爆睡していた。
あ、ママンに魔法のこと聞くの忘れた!!
本当は11月にアップしたかったのですが、なぜかタイムリーな今になりました。
ネマが食べてばっかりで、働いてくれないのはどうしてなんでしょう?(´Д` )