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1歳になりました。

このお家にきて1年。早かったねぇ。

今日は私の誕生日ってことで、家族だけでお祝いしてくれたよ。

春だけど、肌寒さもないポカポカ陽気だから、広いお庭にテーブル出してプチパーティー。


まだ上手く咀嚼できないから、柔らかい料理オンリーだけど、こっちのご飯うまー。


「ネマ、あーんして」


食べやすいように細かく切った野菜とミンチを煮込んだミネストローネ風のスープをお兄ちゃんが食べさせてくれる。


「あーぅ」


もぐもぐ…うまー。


お兄ちゃんはお母さん譲りのハニーブロンドの髪と紺碧の瞳を持つ美少年。名前はラルフリード。愛称はラルフ。私とは10歳年が離れてるけど、眉目秀麗で文武両道という将来有望な跡取り息子だ。


「こぼしてるわ、ネマ」


そう言って口周りを拭いてくれるのはお姉ちゃん。

カーナディア、愛称はカーナ。年は7歳上だから、誕生日がきたら8歳になる。

こちらはお父さん譲りの赤髪と翡翠のような瞳。

顔立ちもお父さんに似てるから、将来は壮絶美人決定!


ちなみに私は赤銅の髪と黒い瞳だ。

こっちの世界では黒という配色が珍しいんだって。色素薄そうだもんね。

黒と言っても、日本人のような濃い茶じゃないよ。本当に夜の空のような黒だった。初めて見たときは違和感バリバリだったけど。

顔立ちは普通。と言っても、北欧系のコーカソイドっぽい。でも、鼻は低い…。大きくなったら、高くなるといいな。

両親といろいろと比較してみた結果、まるっきり似ていない。

美人で上級貴族だと、いろいろ大変そうだからよかった。

家族みたいハイスペックはいらんです。はい。


「ねーねありゃう」


語彙はあるのに、舌が回らないので、まだ上手くしゃべれません。てか、幼児ってどれくらいからしゃべり出すんだっけ?


「ネマはお利口だな」


そう言ってお父さんは相好を崩した。

親バカですねぇ。

パパン、イケメンなんだから、顔はしっかり作ろうね。



ご飯を食べたあとはお庭で遊ぶ。

お兄ちゃんは花壇のお花の名前や花冠の作り方を教えてくれたり、お姉ちゃんはちょっとした魔法を見せてくれた。

なんか男女逆じゃね?とも思ったが、お姉ちゃんはお転婆だからって容認されているみたいだ。


見せてもらった魔法は、炎でできたハトくらいの鳥がお姉ちゃんの手から飛び立つと、パンッと小さな破裂音と共に花火みたいな火の粉となって消えるものだった。

お兄ちゃんの解説によると、魔力を好きな形に留め、術者の制御を離れると無効化する訓練用の魔法らしい。

魔力の供給と遮断を覚えるためだけの魔法なんだって。

ある意味一発芸だな!


次は一人でお庭の散策だ!一人と言っても、私の側にはディーが着いてるので安心だ。

お庭には意外と動物が多かった。

まだ種類がわかんないけど、鳥とかリスみたいなのとか、池に魚もいた。


池の魚を観察したいけど、ディーが池に行くことを良しとしないので我慢する。

落ちないよ。そこまでマヌケじゃないよ、と思いながら木の下に向かう。


ドテッ―――


木の根っ子に足を取られて転けた。

地味に痛い。


「ぅわぁぁぁん…」


条件反射で泣いてしまった。

まだまだちっこいから仕方ないよね。

ディーがすぐに来てくれて、顔をなめなめしてくる。

くすぐったいよ。


泣き声に気づいて、お兄ちゃんも来てくれた。

私を抱っこすると、怪我を確かめて治癒魔法をかけてくれる。


「もう痛くないよ。大丈夫、大丈夫」


優しいお兄ちゃん大好きです!

感謝を込めて、お兄ちゃんにギュッと抱きついた。


パパンよ、後ろで羨ましそうな顔するのヤメテクレ。

イケメン台無しだから。



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