うちの庭師は鳥類特化型!
みんなでってことだったので、ウルクもなんとか部屋から出すことに成功した。
稲穂は、ママンが作ってくれたショルダーバッグにイン!
廊下にいた竜騎士と獣騎士も引き連れて……。
「ほ……本当にムシュフシュだぁぁ!生きている間に見られるとは……」
ちょっと竜騎士のテンションがおかしくなっちゃった。
まぁ、竜騎部隊は竜種大好き人間の集まりなので、珍しいムシュフシュを近くで見られて興奮するのは仕方ない。
獣騎士も、竜騎部隊と一緒に行動することがあるからか、ウルクに怯えることなくマジマジと観察している。
「不思議ですよね。これで竜種だなんて……」
ムシュフシュは竜種っぽい特徴がほとんどないからね。しいて言うなら、鱗が原竜にちょっと似ているくらいか?
中庭への移動中も侍女などの姿はなく、見かけるのは立番している近衛騎士だけ。
その近衛騎士らがムシュフシュを見てぎょっと驚き、えっ?えっ?と二度見、三度見する様子は面白かった。
「こっちだよ」
お兄ちゃんについていくと、誰かがいた。
その人物に近づこうとしたとき――。
――バ、バギャーーーッ!!
大きな鳴き声とともに、大きな翼を広げてバタバタと走り去っていく鳥。
「プルーマ!?待てっ!あれはネマお嬢様だぞ!!」
鳥を追いかける人物がこちらに向かって叫ぶ。
「竜種に怯えているんでどうにかしてください!ネマお嬢様!」
私はハッと覚醒し、日当たりのいいところで待っているよう、ウルクにお願いする。
念のため、パウルが側についてくれると言うので、お言葉に甘えることにした。あと、稲穂のことも託す。
急いでアイルとプルーマの後を追ったのだが……。
「プルーマ!アイル!」
なかなか追いつけない!
プルーマ、鳥なのに走るの速いな!それと、翼をバタバタさせるだけって、飛び方を忘れたんじゃなかろうな!?
――がうっ!
「ディー!」
ディーが追いかけてきて、私の前に回り込んでから伏せる。
どうやら乗れと言っているようだ。
「ありがとう!」
ディーの背中に跨り、再びプルーマとアイルを追う。
ディーに乗ったら、あっという間にプルーマに追いついた。
というか、ディーに気がついたプルーマが、自分から止まったのだ。
プルーマはいつもより弱々しく鳴き、ディーに何かを伝えている。
ディーも返事をするように鳴く。
通訳の森鬼は追いかけてこず、側にいないので、自分で一羽と一頭の会話を訳してみた。
プルーマは竜種に食べられると悲観していて、ディーはウルクはいい奴だよって説明してくれているんだ!たぶん……。
「ディーの側は安全だからな。少しは落ち着いたか?」
アイルがプルーマの背中を撫でる。
しかし、プルーマはひょいっと一歩前に出て、アイルの手から逃れた。
プルーマから避けられ、手を宙に浮かべたまま固まるアイルの姿が、なんともいたたまれない。
「プルーマ、びっくりさせてごめんね」
プルーマの頭を撫でると、プルーマは甘えるように私の肩に嘴を載せ、うりうりと擦りついてきた。
よしよし。私がいない間、ちゃんと元気にしてたかな?
うりうりされながら、プルーマの全身を触っていく。
羽根は艶やかだし、筋肉も衰えてなさそう。だけど、ちょっと太った?成長というにはふっくらして……。
プルーマの胸から腹部にかけて、ちょっとふっくらしている部分を触ると、驚きのあまり手を離してしまった。
もう一度、確かめるためにおそるおそる触ってみる。
表面の羽根は艶があり、サッと撫でればするりと滑るが、じっくり触ると羽軸っぽい、わずかなぽっこり感も楽しめる。
そして、プルーマといえば羽毛!
少し押しただけでも、羽毛布団のような弾力を手のひら全体で感じられる。
指を入れてみると、どこまでも沈んでいくような深さ!肌に触れるダウンは柔らかく、羽根の感触とは思えない!ラース君のふわふわ胸毛に近いかもしれない……。
「プルーマ!あなたの羽根は世界一よ!!」
この羽根なら、女神様をメロメロにできるかもしれないレベルで素晴らしい!
私がプルーマを讃えると、それに賛同する者が現れた。
「ネマお嬢様ならわかってくれると思っていました!プルーマの羽根艶、最高でしょう?」
プルーマの羽根を堪能していたのにアイルに両手を取られ、上下にブンブン振られる。
「以前の羽質も悪くはなかったのですが、プルーマならもっとよくなると思って、餌を試行錯誤しまして!換羽期に入る前に栄養が高い餌にして、新しい羽根に栄養が行き届くように適度な運動もさせて……」
すっごい勢いで、プルーマの羽質改善の取り組みを説明された。
プルーマの換羽周期は二年に一回で、秋頃に始まるそうだ。だいたい三十日から四十日かけて、全身の羽根が生え変わる。
鳥の種類によって、換羽周期、時期、期間、生え変わり方が異なる。
年一回だったり、季節ごとに変わったり、全身だったり、部分的だったりと、生息環境に合わせて様々なパターンがあるらしい。
また、全身生え変わる種類は換羽中は飛べないのだとか。当たり前だけど。
そして何より、換羽は凄くエネルギーを消費する。
短期間で新しい羽根を生成して生やすのだから、たくさん栄養を蓄えて挑まなければならない。
だから、アイルは特に魚の種類にこだわったそうだ。
まぁ、前世でも魚は健康にいいって言われていたし、赤身魚と白身魚では含んでいる栄養も違う。
アイルは料理長と一緒に市場に行き、魚の目利きを教わりながら自分で魚を選んでいたとか。
アイル……君の職業、庭師だったよね?
「それでアイル、その格好はどうしたの?」
いつもは庭仕事がしやすい作業服に帽子スタイルなのに、今はパウルと同じ執事服を着ている。
「さすがに作業服で王宮に入れないですから」
「でも、その服じゃなくてもいいんじゃ……」
庭師の印象が強いからか、アイルと執事服がマッチしていないんだよなぁ。なんというか、コスプレ感がある。
「ネマお嬢様がいらっしゃる間は、お嬢様の護衛兼プルーマの世話係としてお仕えしますので、これじゃないと駄目だとオルファンさんに言われたんです」
ん?今なんて言った?護衛……!?
「アイル、ごえいなんてできるの!?」
「僕、これでもオスフェ家の庭師ですよ?」
いや、そうなんだけどさ。
我が家の使用人、みんなスーパーマルチで多才な人が多いのは知っているよ?
執事や侍女は家人の側につく職業なので、多少の戦闘スキルを持っている人を雇っているお家も多い。
なので、我が家はみんな戦う執事と戦う侍女ばかりだ。
しかし、だからといって、庭師までもが戦う人だとは思わないじゃん!
「アイルが戦っているとこ見たことないけど?」
「鍛錬はお嬢様方が見ていないところで行っていますからね。屋敷が襲撃されたら、戦う姿が見られるかもしれません」
そんな状況になるなら見なくていいや。
アイルが言うには、アイルの師匠であるケービィーは土魔法での防御が得意らしく、パウルやオルファンでも敵わないんだって。
ケービィーの息子でアイルの先輩庭師も、土と水の二属性持ちで害虫駆除が得意とか。
ちなみにその害虫って、人間は含んでないよね?
そんなこんなで、アイルからプルーマの近況を聞いていると、お兄ちゃんたちが合流した。のんびり歩いてきたみたい。
「プルーマもネマに会いたいと思って、陛下にお許しをもらったんだ」
プルーマが王宮に入れたのは、お兄ちゃんのおかげだった!
お兄ちゃんにお礼とハグをして、プルーマにみんなを紹介する。
白、グラーティア、ノックス、森鬼は一緒に暮らしていた時期があるので、プルーマも警戒することなく受け入れていた。
「……へっくちっ!」
急に鼻がむずむずして、大きなくしゃみを放つ。
――にゅっ!にゅぅぅにゅっ!
黒が私の体から出てくると、嬉しそうにプルーマの周りを飛び跳ねる。
私が女神様の力で眠っている間、黒や灰たちが体から抜け出してプルーマと遊んでいたと、お兄ちゃんが教えてくれた。
お兄ちゃんに寄生している灰たちは、今もたまに抜け出してプルーマと遊んでいるらしい。
私についてきた黒だけが、ずっとプルーマに会えていなかったから、久しぶりの再会を喜んでいるようだ。
じゃあ、他のスライムはどうかなと、プルーマが初めましてな青と葡萄を見せてみた。
双方とも興味を示し、プルーマは嘴で青を転がしたりして、仲良くできそうな感じだ。
ちなみに紫紺はウルクと一緒にいるので、あとで紹介するつもり。
次は星伍と陸星だが、二匹が近づいたとたん、プルーマがゆっくりと後退りし始めた。
ウルクほど怖くはないけど、近くにいたら落ち着かない感じかな?
星伍と陸星でこの反応なら、稲穂はもっと無理だろう。
星伍と陸星の方は、新しい友達ができると思ったのに避けられてしまい、しょんぼりしてしまった。
「星伍、陸星。プルーマはノックスみたいな訓練は受けてないの。だから、プルーマの怖いって気持ちもわかってあげて」
星伍と陸星も最初はウルクを怖がっていた。
森鬼の方が強いと判明したことと、同じ空間で過ごすことで、今は同居人くらいの距離感になっている。
「星伍と陸星は怖くないよってこと、時間をかければわかってもらえるからね」
今回は無理せず、本当にお家に帰れてからゆっくり慣れさせることにしよう。
星伍と陸星の次はスピカを紹介したんだけど、先ほどとは逆で、スピカの方がビビっていた。
「ネマ様、あの鳥、すっごく怖い顔していますけど、突っついてきたりしませんよね?」
「失礼だろ!プルーマは凄くいい子なんだぞ!」
私じゃなくて、アイルが答えた。
そんなアイルの頭の上に、ノックスが留まっている。
どうもノックスは、パウル以外の大人の男性なら、頭に乗ってもいいと思っているみたい。
森鬼がほいほい頭の上に乗せるから、男性の頭の上は休憩所って認識になったのかな?
まぁ、アイルにとってはご褒美だから放っておくか。
「スピカ、大丈夫だよ。プルーマ、人を見る目はあるから!」
プルーマがアイルにそっけないのは、アイルが度を越した鳥好きで、鳥になら何をされても構わないという、ちょっと変わった嗜好の持ち主という部分が大きいと思う。
ちゃんと好意を寄せてくれる人には、プルーマも友好的だ。
「ネマ様の専属侍女のスピカです。プルーマさん、よろしくお願いします」
ぺこりとお辞儀をするスピカ。バギャーと返事をするプルーマ。
なんでプルーマに丁寧語?もしかして、プルーマの方が先輩だと思ってる?
「名付けたのはスピカの方が先だから、プルーマよりおねえさんだよ?」
「そうなんですか?じゃあ、私の妹分?」
……プルーマの性別、確かめたことなかったかも?
アイルにプルーマの性別を知っているか聞いてみたら、雄だと言われた。
「バンドゥフォルヴォステの雄は脚の色が鮮やかで、雌は色味が薄いんです」
バンなんちゃらの雄雌の見分け方は脚の色なのか。
確かに、プルーマの赤い脚は発色がいいと思う。雌を見たことがないから、どれくらい鮮やかさが違っているのかわからないけどさ。
「プルーマは男の子だって」
「では弟分ですね!」
ちょっと怖がりながらも、プルーマを弟分として受け入れようとするスピカは本当にいい子だ。
いい子いい子と褒めてあげてると、スピカは尻尾を振って喜びを表現する。
スピカの次は海の番だけど、意外なことが起きた。
海が近づくと、案の定プルーマは怖がっていた。しかし、よろしくと海が一声かけただけで、プルーマもよろしくといったふうに鳴いたのだ。
海も一応魔物だから、星伍と陸星のときのようになると思ったのに……。
「なんで??」
「主、僕、セイレーンだよ?」
うん、知ってる。セイレーンから生まれた伝説級の雄のセイレーンで、なぜか四つの形態に変化できる、ある意味スライムレベルで謎の多い魔物だよね。
「セイレーンは声で惑わせて、ご飯食べる」
惑わせてご飯……間違ってはないけど、なんか違う気がする。
この世界のセイレーンは、海と同じく形態変化の能力を持つ。一つは人魚の姿、もう一つは女面鳥身な姿。
美しい歌声で他の生き物を惑わし、業と呼ばれる魂の成分……ある種の生体エネルギー的なものを食らう。
ミューガ領に生息しているセイレーンは気に入った人をさらったりもするそうだ。
神様が面白がって、地球産のセイレーンやハルピュイア、ニンフなどの性質を混ぜて創った魔物だと思われる。
地球じゃない世界に同じような生き物がいる可能性もあるけど……。
「つまり、プルーマをまどわせたと?」
「警戒しなくなる。主、仲良しだとうれしい?」
私が仲良くして欲しいと望んだから、仲良くするためにセイレーンの能力を使って懐柔したってこと?
「仲良くしてくれるのはうれしいよ?でも、能力を使ってプルーマの気持ちを変えるのは違うと思う。ちゃんと、海はいい子で、小さい子思いで、海のいいところを知ってもらって、仲良くなれたらいいなって」
みんなのお兄ちゃんとして、稲穂やスライムたちの遊び相手をしてくれたり、私のためにいろいろ動いてくれたり、海がプルーマを害する存在ではないと理解してもらいたい。
もし、生き物としての本能で、プルーマが海の存在を受け入れられなかったら、そのときはそのときだ。
ウルクのように適度な距離を保ちつつ共存はできると思う。
「僕、いい子?」
「海はいい子だよ?」
よしよしと頭を撫でてあげれば、海は嬉しそうに目を細めた。
海の声で惑わされたプルーマも、時間が経てば元に戻るということだったので、様子を見ることにした。
「そういえば、プルーマはどこで過ごすの?」
私がライナス帝国に戻るまで一緒にいるってことは、プルーマも王宮で過ごすことになる。
私とお姉ちゃんが使っている部屋はまだまだ余裕あるけど、ウルクと稲穂がいるので寝泊まりはさせられない。
「護衛たちの控室として一部屋もらっているので、そこで僕と一緒に生活します!」
アイルがそう返答するも、僕と一緒にの部分にやたらと力がこもっている。
彼女と初めてのお泊まりデートみたいなテンションだな……。プルーマ、雄だけどさ。
◆◆◆
「プルーマ、あーん……」
プルーマは大きな嘴をパカッと開けて、私はその中に向かって魚を投げ込む。
小刻みに頭を動かして魚を丸呑みすると、プルーマは再び嘴を開けておかわりを要求してきた。
森鬼に支えられながら、プルーマにせっせと魚をあげているが、これがなかなかに楽しい!
前世でも、ペンギンやイルカの飼育員さんが餌をあげているのを羨ましく思っていた。私も餌をあげてみたいと。
「あ……ごめん」
コントロールが上手くいかず、魚の向きが横になってしまった。
プルーマは一度吐き出すと魚の頭を咥え、上を向いて器用に呑み込んでいく。
◆
私にとっては楽しい給餌タイムだったが、あとでちょっとした異臭騒ぎになった。
夜の護衛をする面々が出勤し、控室に使っている部屋に入ってくるなり、第一声が……。
「……この部屋くせぇ!」
我が家の護衛係であるマックスが鼻を摘みながら叫ぶ。
「魚のにおいですね」
一緒に来た獣騎士と竜騎士は平然としている。
やはり職業柄、こういったにおいには慣れているのだろう。
とはいえ、部屋が生臭いのはいただけないので、森鬼に部屋の換気をお願いした。
「あぁ、バンドゥフォルヴォステの食事時間でしたか」
さすが獣騎士!プルーマの種類をさらりと言ってきた。
「バン……なんだって??」
マックスは上手く聞き取れなかったのか、私が初めて聞いたときと同じリアクションをする。
「バンドゥフォルヴォステですよ。バンドゥフォルヴォステ!」
マックスに言い聞かせるようにプルーマの種類を連呼する獣騎士に、なぜかアイルが無言で握手を求める。
夜番の獣騎士は鳥好きなのか、獣騎士も無言で力強く握手を交わす。
一瞬で意気投合した二人は、鳥談義に花を咲かせた。
知らない鳥の名前ばかり出てくるのはさすがだなって思うけど、どんどん専門的な話になっていってついていけない。
「プルーマ、身の危険を感じたら、すぐに私や森鬼に言うのよ?」
――バギャー!
好きって気持ちがいきすぎて、プルーマに変なことをしないとも限らない。
私自身、人のこと言えないが、プルーマは私が守る!
プルーマの食事が終わったら、今度は私の食事タイムだ!
ということで部屋に戻り、夕食が届くのを待っていると、ご飯より先にパパンが来た。
「ネマ!カーナ!今日は私が一緒に泊まるからね」
仕事終わりのせいか、テンション高めのパパン。
私たちと過ごすために、大急ぎで今日の分の仕事を終わらせてきたらしい。
そんなパパンと楽しくおしゃべりしながら夕食を食べ、お風呂上がりに髪を乾かしてもらい、さぁ寝るぞってなって問題が発生。
「さすがにお父様とご一緒というわけには……」
お姉ちゃんがちょっと気まずそうに言葉を濁す。
「私たちは親子だ。問題ないだろう?」
パパンは娘二人と一緒のベッドで寝たい。お姉ちゃんはママンが一緒ならまだしも、この歳になってまで父親と添い寝は遠慮したい。
お姉ちゃんの反応はもっともだろう。パパンにとっては、お姉ちゃんも小さい頃と変わらない感じなのかもしれないが。
「おとう様は、私と一緒に寝よう?おねえ様は……」
この部屋にはベッドが一つしかないので、お姉ちゃんが別に寝るとしたらソファーくらいしかない。
「そういうことでしたら、カーナお嬢様はシェルの寝台をお使いください。シェルは隣の部屋で休ませますので」
パウルがそう提案してきたが、そうしたらシェルが男ばっかりの部屋で休むことになるが大丈夫か?
不安要素を伝えると、パウルは問題ないと言い切る。
隣の部屋だけでなく、この階の警備をしているオスフェの使用人たちが寝ずの番をやるし、シェルもそこそこ強いので簡単に襲えないだろうって。
襲われないじゃなくて、襲えないというのがミソだ。
「お父様、それでよろしくて?」
「……仕方ないな」
パパンはお姉ちゃんからの拒絶がショックだったのか、肩を落としてしょんぼりしている。
「おねえ様は立派な淑女だもの。おとう様も紳士の対応をするべきよ!」
パパンの肩をポンポンしようと思ったが、手が届かなかったので腰をポンポンしておく。
「それは理解しているが、子が離れていくのは淋しいことだ」
パパンは当分、子離れはできそうにないな。
「私がいっしょに寝るから、淋しくないでしょ?」
私がお姉ちゃんの分まで甘えるから、それで我慢しておくれ。
パパンを介抱しながらベッドに移動する。
お姉ちゃんから感謝の眼差しを受けたが、私としてはお姉ちゃんを追い出すようで申し訳ない。
パパンと二人でたわいもない話をしながら、いつの間にか寝ていた私だが……起きたらパパンを下敷きにしていた。
自分のことながら、どんな寝相でこうなるんだろうね?




