事情聴取よりも精霊さん!
マーリエに、事情聴取のときに一緒にいて欲しいって手紙を送ったら、外出を禁止されているから無理だと返ってきた。
マーリエも狙われているのではないかと、母親が凄く心配しているらしい。
他にも、事件を起こした犯人への怒りや勉強やお稽古ごとを増やされた愚痴もびっしりと書かれていた。
とりあえず、聴取の詳細をまた手紙で知らせるねとだけ返事を送る。下手なことを書くと、あとが怖いから。
で、肝心の事情聴取だけど、ダオの安全も考慮して、ダオの部屋で行うことになった。
今日の護衛は、事件当日もいたパウルにお願いした。私が忘れていることや気がつかなかったことなど、パウルの証言も必要だと思ったからだ。
それに、パウルの方でも動いているみたいなので、お互いに得られる情報が多いんじゃないかなって。
「ネマお嬢様、一つお耳に入れておきたいことがございます」
「ひょっとして、交遊会に関すること?」
ダオのところへ行く前に、パウルが畏まった様子でそう告げてきた。
「はい。交遊会で狙われたのはネマお嬢様ではないかという噂が、宮殿において広まっております」
そういう噂が立つのは不思議ではないのに、わざわざパウルが言ってくる意味がわからない。
「それで?」
「噂の広まり方が不自然であること、なぜネマお嬢様だけが噂になったのか。それを踏まえると、何者かによる作為だと思われます」
あの場で一番身分が高いのはダオだったし、他にもマーリエやマーリエ母といった皇族に連なる者も出席していたのに、なぜ私だけピンポイントで噂が流れたのかってことね。
「うわさの出所はつきとめたの?」
「出席者たちからです。しかも、実際に毒を食らった者たちがそのようなことを言っていたとか」
うーん、私の暗殺に巻き込まれたと恨み言を言っているだけなのか、皇族相手には言えないから代わりに槍玉に挙げられているのか……。
「その噂を広める理由はわかる?」
「おそらくですが、ネマお嬢様の排除かと……」
パウルの説明によると、私が何者かに狙われているとなれば、親しくしている皇族の皆様にも危険がおよぶから、ガシェ王国に帰そうという企みではないかって。
「つまり、私がライナス帝国にいると都合が悪いってことよね?なんで?」
「一番の要因は、お嬢様方に嫁いできてほしいと、皇帝陛下が仰っているからでしょう。皇族と同じように聖獣様の加護を受けているネマお嬢様が選んだ相手が、次代の水の聖獣様と契約されると思われているようです」
事情を知らない人からしたら、私ってばそんなふうに思われているの!?
愛し子であることを抜きにしても、聖獣は他の聖獣の契約者を尊重するよ!聖獣と契約できたってことは、他の聖獣も好む資質を持っているってことだからね。
私がソルの契約者(仮)であることは隠していないのに……。
先帝様と皇太后様という聖獣の契約者カップルがいるから、そんな考えにいたったのかなぁ。まったく……こちらは嫌だって言っているのにねぇ。
「噂に便乗して、本当に暗殺者を送り込んでくる可能性もありますので、これまで以上に警戒をしてください。うっかり、なんて言い訳は聞きませんよ」
「はいっ!」
ヴィやパパンたちは、ルノハークは私の『神様の愛し子』の力が必要だから、殺すことはないと読んでいる。
本来、宮殿といった警備が厳しい場所では、暗殺よりも誘拐の方が難易度が高いらしい。
まぁ、殺すのは一瞬だけど、誘拐はあとが大変だもんね。
「では、ダオルーグ殿下のところへ参りましょうか」
白とグラーティアはいつものごとく、私の肩に乗ってスタンバイしているが、パウルは森鬼にもついてくるようにと声をかける。
スピカと星伍、陸星に見送られ、事情聴取へ向かった。
◆◆◆
ダオは昨日よりも顔色がよくなっていた。
でも、ちゃんとご飯を食べたかと確認すると、はにかみながら答えてくれた。
「フルカを作って食べたんだ」
フルカとは、いわゆるおかゆだ。作り方はシンプルで、塩か香草を入れる場合が多いけど、アレンジもしやすいらしい。そのため、その家ならではの味付けがある。
ちなみに我が家のフルカは、ブイヨンのような煮出し汁で作っているので洋風おかゆっぽい。
「美味しくできた?」
「作るのは凄く楽しかったけど、味はやっぱり作ってもらったものの方が美味しいよ」
「きゅうでんの料理人たちは職人だもの。あれだけ美味しい料理が作れるようになるまで、大変な努力をしてきた人たちだからね」
プロの味と並び立てるのは、お袋の味しかないと思う。まぁ、貴族のご夫人が料理することはほぼないけど。
「うん。だから、今日は料理人に来てもらうことにした。お昼はここで作ってもらって、夕食はラルチャーの作り方を教えてもらうんだ」
ラルチャーはスープカレーもどきで味はカレー、見た目は黄色が強めのコンソメスープみたいな料理。
このラルチャーの一番の特徴は、鉱物の粉を入れることだ。鉱物が食べられることに驚いたけど、地球で言うミネラルとかの栄養が豊富なんだって。で、その鉱物の粉がスープの中でキラキラと輝くので、貴族にもウケがいいんだそうな。
でも、ラルチャーは私の黒歴史の一つでもある。
だって、スープカレーがあるなら、カレーライスもできると思うでしょ?実際、カレーのルーを作ることはできたんだけど、見た目がアレだから食事として出すことはできないって我が家の料理長に却下されてしまった。
確かに庶民派料理だけどさ、スープカレーが許されるなら、カレーも許されると思うよね?
色を濃くしたのがいけなかったのか?それともとろみか?あの、とろっとした状態がアウトなのか!?
「お昼、ネマも一緒に食べる?」
私が黒歴史を思い出して遠い目をしていたのを勘違いしたのか、ダオがランチのお誘いをしてくれた。
私、そこまで食いしん坊キャラではないよ?
それともまだ不安なのかな?それなら、私が毒味をしようではないか!
「食べる!」
ダオと食べ物の話で盛り上がっていたら、捜査班のエルフたちが来たと告げられた。
いつものお茶の部屋はダオの私室にあたるので、今日は応接室でやるらしい。
応接室に入ると、交遊会の現場で指示を出していた緑のエルフと赤のエルフがいて、ダオの姿が見えるやいなや、敬礼をする。
「どうぞ、楽に……」
ダオは命令口調というか、皇子らしい尊大な態度を取るのが苦手なようで、尻すぼみに声が小さくなっていった。そして、手で着席を促し、私たちも彼らの前に座る。
「ライナス帝国軍諜報部捜査班指揮官のレイリウス・ジュダ・エグラルゼンと申します」
「同じく指揮官補佐のカルンステ・ジュゼ・セイルスターンです」
緑のエルフがレイリウスさんで、赤のエルフがカルンステさんね。相変わらず、エルフの名前は覚えにくいなぁ。
早速、交遊会で事件が起きる前後、何をやっていたのかを聞かれた。
ダオは、マーリエ母に付き添われての挨拶回りをしていたそうだ。
誰々伯爵や誰々子爵だの、挨拶を交わした全員をダオが覚えていて、これには私も驚いた。
なんとか伯爵とその子息と話していて悲鳴が上がり、何事かを確認する間もなく警衛隊に囲まれたらしい。
そんな中で私の姿が見えたから合流したと。
指揮官補佐の赤のエルフさん……カルンステさんがいろいろとメモを取っていて、参加者名簿と思われる書類にチェックを入れているのも見えた。
ちょっとその書類を読んでみたい。あとで、お願いしてみようかな?
次は私の番かと思って、何から話そうか考えていたら先に質問された。
「確認ですが、そちらの彼は精霊術師ですか?」
穏やかな表情ではあるが、わずかに険のある声だった。
精霊に森鬼のことを聞いていないのだろうか?
森鬼は表向きには觜族の獣人で精霊術師だが、本当は元ホブゴブリンで愛し子の騎士だから精霊に力を借りることができる。
「森鬼は私の護衛で……」
私がどう説明しようかと悩んでいると、森鬼は自分で何か伝えたらしい。緑の……レイリウスさんもカルンステさんも納得したと頷いている。
さらに森鬼が何か言ったと思ったら、お二人の様子が変わった。
まなじりを下げて、締まりがない顔で森鬼を見つめている……。それが、愛しい人を見つめているように見えてしまう。
突然の変わりように、そりゃあダオも驚くよね。
たぶん、精霊たちが何かやっているんだろうけど、一部の嗜好の方々からしたら妄想が捗る光景である。
「精霊様を名で縛る方でなくて安心いたしました」
二人のエルフは精霊に何か言われたのか、クスリと声を出して笑った。
なんか、私たちは置いてけぼりなんですけど?
「あぁ、すみません。ネフェルティマ様が『ナノ』と名付けてくれたと教えてくれたのですが……」
「シンキさんが虫と呼ぶと、プンプン怒っています」
カルンステさん、真顔でプンプンって……言葉と表情が合っていないよ!
精霊も可愛いかもしれないけど、精霊にデレデレなエルフも可愛く見えるから不思議。
精霊トークで場が和んだところで、私の番となった。と言っても、ほとんどパウルが説明してくれたけど。
つか、パウル。ミーティアちゃんの家名とか、あの兄妹の家名とか調べたの?
「パウルさんは不審な動きをする人を見かけたのですよね?」
「えぇ。ダオルーグ殿下が到着される前でした。配膳をしていた人物が、一度置いたお皿を別の場所へ移したりしていましたね」
私はその場面を見ていないんだけど、本当だったら確かに怪しい。
カルンステさんが小さな声で精霊に話しかけて、何かを書き込んだ。
その行動をした人物が誰なのか教えてもらったのかな?
「でも、なんで場所を変えたりしたのかな?席は決まっていなかったから、誰がどこの席のものを食べるかわからないのに」
「基本、派閥同士で固まりますから、席に誘導する共犯者がいたかもしれません」
レイリウスさんは、毒を口にしなかった人たちも監視をしていると言った。
「あの……出席者の中で僕の警衛隊の者と接触した人物はい……なかった?」
「警衛隊にですか?」
カルンステさんが書類をめくり、精霊に聞き、いないようですと答えた。
「何か気になることでもありましたか?」
「……当日、配置されるはずの治癒術師がいなかったことは知っているよね?」
ダオは、昨日の作戦会議で調べようと思ったことをレイリウスさんに伝えた。
「警衛隊の隊員たちからも聞き取りをしましたが、明確な証言はいただけていません。隊長のレクス殿からは人員の配備に不備があったとだけ」
警衛隊の人たちが捜査協力を拒んだと思ったのか、ダオが申し訳なさそうな表情で口を開こうとしたのをレイリウスさんが遮る。
「警衛隊と軍部は別組織です。いくら捜査のためとはいえ、そう簡単に内部情報を告げることはできません。なぜなら、ダオルーグ殿下御身の安全に関わるからです」
レイリウスさんの言葉に、ダオは何かに気づいたようだ。
「その件は僕が調べるよ」
はっきりと言い切るダオに、お二人は面食らったようにポカンとしたが、すぐに真剣な眼差しをダオに向けた。
「わかりました。こちらから無理に協力を要請することはいたしません。ただし、我々は我々の方法で捜査をいたします。また、殿下に危険がおよぶ場合は、陛下の命を盾に強行することをお忘れなく」
レイリウスさんの言い方はきつく感じるけど、ダオを尊重し、何かあれば自分たちが守るから安心して欲しいと言っているようなものだ。
「それと、証拠が揃わなくとも、疑わしい人物が浮上したらすぐに報告すること、早まった真似はしないことを約束してくださいますか?」
「もちろん、約束する」
ダオの決意に満ちた表情はキリッとしているものの、やっぱり可愛いが勝っている。
エルフのお二人もすぐに表情が柔らかくなったので、ダオの魅力にやられたのかな?って思ったら、カルンステさんが思わぬ発言をした。
「精霊様も殿下の頭を撫でて、応援してくださっています」
ん?精霊が、ダオの頭を撫でている??
精霊のちっさいお手てで、一生懸命頭をなでなでしているの?
ナニソレ!物凄く見たいんですけど!可愛いと可愛いのコラボとか最強でしょ!!
「私も見たいのにぃぃぃ……」
いつになったら本契約になるの?
私が嘆いていたら、ダオが僕も見ることできないからと慰めてくれ、レイリウスさんは私のことも精霊が頭を撫でていますよと言ってくれた。
うーん、そういうことじゃないんだよ!って思いながら、ありがとうと返事をする。
「よろしければ、これをどうぞ」
いきなり差し出されたのは、何かが描かれた紙。
絵のタッチは漫画の下絵のような雑さはあるものの、精霊だけは精密に描かれているものだった。
本当に凄いよ。精霊の翅の模様、翅脈までしっかりと描写されているのだ。
「えっ!?これ……」
「私の拙い絵ですが」
ダオの顔ではなく、俯いたダオの頭が描かれているは、許可なくダオだと判別できるものを描くと不敬になってしまうからかな?
精霊が頭をなでなでしている姿が凄く可愛いので、ダオの可愛い表情がないのはもったいないよね。
しかし、これで拙いって言われたら、髪の色と長さでかろうじて判別できるであろう私の絵とか、恥ずかしくて人に見せられないな……。
そういえば、私がお絵かきした絵はいつの間にかなくなっているんだけど、捨てられていたら、それはそれで悲しいぞ。
「カルンしゅてさん、すごくお上手です!」
くっ……ちゃんと発音できなかった。
勢いで誤魔化したけど、誤魔化しきれて……ないよね。パウルの視線が冷たい!
「ありがとうございます。まぁ、趣味と言うか、手慰みですけど、長くやっていればそこそこ描けるようになりました」
カルンステさんは気にすることなく会話を続けてくれた。
ただ、筋肉……じゃなかった、火の精霊と仲良しのエルフなので、絵を描くのが趣味と言われて意外だった。
カルンステさんの外見は戦闘タイプで、休みの日でも剣を振り回していそうだし、レイリウスさんは理系っぽいので、白衣を着て研究していそう。宰相のゼアチルさんはこれぞエルフって見た目なので、湖畔でハープを弾いてて欲しい。土の精霊と仲良しなエルフは……ぜひともとんがり帽子をかぶってもらいたい!
精霊に関する雑談をして、エルフのお二人は帰っていった。
別れ際に、事件が解決したら捜査班にも遊びにきてくださいと社交辞令を言われたが、私は遠慮せず押しかけようと思う。
「それで、どうやってけいえい隊のみんなを調べるつもりなの?」
「……シンキに協力してもらいたい」
「でも……私が関与すると問題になるんじゃないの?」
昨日の作戦会議では、私やヴィが動くと外交問題になりそうだから大人しくしておくべきだって言っていたのに。
「うん。だけど、おじい様がわざわざあのときに来たってことは、そういうことなんだと思う」
そういうこと……って、どういうこと?
はっきりと言わないダオに首を傾げつつ、先帝様との会話を思い返してみるが心当たりがない。
「おじい様の権限で、ネマが干渉してもどうにかできると教えてくれたってこと」
力になるとは言っていたけど、鍋のことじゃなかったの!?ダオが料理することに対してのことだとばかり思っていたよ。
「いや、私のことだとは言っていなかったよね?」
「捜査班以外の者が精霊術を使って調べるとわかったら、あそこにいた隊員から報告されてしまうから、あの場では言えないよ」
あ、そうか。共犯者、もしくは協力者の耳に入らないようにするためだったのか。
今は、捜査上の機密ということで、警衛隊の人たちは部屋の前で警護しているし、声も聞こえないようにしている。
「これからおじい様に手紙を書くよ。怪しまれるから、部屋を移ろう」
とりあえず、ダオに従うことにする。
先帝様にお礼の手紙を書くからと言ってレターセットを用意させ、私の前には果実水が置かれた。
ダオがお水を飲んでいるからそれに合わせたんだろうけど、もうすぐお昼ご飯だからお菓子もなくて、テーブルの上が淋しい。
しばらく、ダオがお手紙書くのを眺めていたけど、お昼ご飯のメニューが気になって落ち着かない。
「お昼は料理人さんが来てくれるんだよね?何を作ってくれるのかなぁ。ラルチャーも食べたいなぁ……」
ダオの夕食がスープカレーもどきと聞いていたので、お昼にラルチャーが出てこないのは確実だ。
でも、すでにお口の中はカレーの気分なんだよね。カレーライスは夢と化したので、せめてスープカレーにはありつきたい。
「そうだ、パウル!私も夕食はラルチャーにする!」
「昼食を召し上がる前から夕食の話ですか」
呆れた様子を装っていても、パウルのことだからちゃんとラルチャーを用意してくれるだろう。おやつに関しては口うるさいけど、食事の要望は受け入れてくれることが多い。
「イートンブルのチャーだって言っていたよ」
さらりと会話に加わってきたダオは手紙を書き終えたようで、その手には印璽用の魔道具があった。
蝋を加熱して溶かす魔法と瞬時に冷やす魔法が組み込まれていて、スタンプを押す感覚で封蝋ができてしまう優れものだ。
私はこの魔道具も持っているけど、昔ながらのろうそくの火で蝋を溶かしてっていうやり方を好んでいる。
でも、火や熱い蝋が危ないからと、その方法では印璽を押すことしかやらせてもらえないのは大いに不満だけど!
「目の前で作ってもらうのに、チャーなの?」
地球の料理に例えるなら、牛肉の赤ワイン煮込みが一番近いと思う。こっちのワインっぽいお酒が地球のワインと同じなのかは知らないけど。
我が家でも前日から仕込むほど時間のかかる料理なので、ダオの目の前で作って食べるって無理じゃない?
「すぐに作れるからチャーにしたんじゃないの?」
料理の知識がまだ乏しいからか、どの料理がどれくらい手間暇かかるのかわからないようだ。
「魔法を使って簡略化できる工程もありますから、宮殿の料理人ができると仰るのであれば大丈夫ですよ」
私の料理の知識は前世によるものがほとんどなので、パウルが言うように魔法でどうにかできるのを失念していた。
時短のために電子レンジを活用するのと同じだ。長時間煮込まなくてもいい火の魔法があるのかもしれない。
考えてみれば、魔法を使いながらの調理を見せてもらえるってめったにないことだ。
「どんな魔法を使うのか、すごく楽しみだね!」
有名なレストランなどでは、客の前で派手な魔法を使って料理を出すところもある。
炙ったり、軽く焦がしたりするのに、花の形や動物の形をした炎を出したりが特に多いらしい。帝都の有名なお菓子屋さんは、大きなオーブン魔道具の中でお菓子が踊りながら焼かれていると聞いた。
焼く工程のお菓子が踊るとか意味不明すぎるけど、怖いもの見たさはある。
そんなこんなで楽しみにしていたお昼ご飯。ある意味で期待は裏切られた。
時短のために使われたのは魔法ではなく魔道具。
先帝様が用意したお鍋一式だと思っていたものが、魔道具だとわかったときの驚きよ。
だって、お鍋の蓋が魔道具だとは思わないじゃん!?
お鍋の蓋の裏側に複数の魔法が使える魔法陣が描かれていて、蓋のつまみを取り替えることで用途別に魔法を発動させるらしい。
今回は圧力鍋のようにできる複合魔法が使われた。
パウルの説明では、鍋と蓋の隙間から中の空気が漏れないようにする風の魔法と中の具材が焦げないように液状のものが流動する水の魔法なんだって。
加熱するのは鍋敷きのような見た目の魔道具の役目なので、蓋につけられているのは密閉や流動、冷却といったものが多いとのこと。
地球でも家電の進化は凄い勢いなので、便利魔道具の家電化は避けられないことなのだろう。
ちなみに、イートンブルのチャーは大変美味しくいただきました!
お肉もお野菜もほろほろのとろとろで、パンとの相性も抜群だったよ!
裏のサブタイは「ビーフシチューとカレー」です(笑)
まぁ、厳密に言えば、牛肉の赤ワイン煮込みとビーフシチューは似て非なるものですが。