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★もふなでコミック4巻発売お礼小話 編み物チャレンジ!

発売日を過ぎてしまいましたが、もふなでコミック4巻発売です!

お庭で思いっきり遊び、おやつの時間になったので屋敷に戻る。

今日のおやつはなんだろうなぁと思いながら、パウルがいるであろう憩いの間へ向かう。

家族団欒する部屋なので、言葉としては居間やリビングが正しいけど、それにしては広すぎるから憩いの間と呼んでいる。


近くまで来ると、何やら華やかな声が聞こえてきた。

お姉ちゃんがはしゃいでいるのか。ママンの声もするので、また魔法談義で盛り上がっているのかもしれない。

こういうときは、ちょっと羨ましいと感じてしまう。

私は魔法が使えないから、基本的な知識しか知らず、専門的な会話には加われない。

邪魔しちゃ悪いし、おやつだけもらってお庭で食べようかな?

声をかけずに憩いの間に入り、カートに用意してあったお菓子に手を伸ばすと……。


「ネマお嬢様、その手をどうするおつもりですか?」


うん。やっぱり、パウルにはバレてた。


「えへ……」


しれーっと誤魔化そうとしてみたが、パウルにソファーまでエスコートされては逃げられない。

テーブルの上にはママンたちのカップの他に、小物が広げてある。

帽子に手袋、マフラーといった防寒具。ポーチのような小物入れに、花の形をしたアクセサリー、可愛らしい動物のぬいぐるみ。そして、美しいレース。


「どうしたの、これ?」


「ここにあるものすべて、マルサが作ったものですって。凄いわよね!」


お姉ちゃんの言うマルサは、我が家のベテラン使用人だ。

スーパーマルチな使用人の一人なので、ハンドメイドが得意でも驚きはしない。

まぁ、ハンドメイドと言うよりは職人レベルだけどね。


「それで、教わりたいってお願いをしていたところなのよ」


正直、意外である。

お姉ちゃんは、こういったご令嬢的な嗜みには興味ないと思っていたから。

小物の他に、道具も置いてあるので、本気なのだろう。


「初歩的なことなら、わたくしも教えることができるから、ネマもカーナと一緒にやってみてはどうかしら?」


えっ、私もやるの?

超ぶきっちょな私が??

ママンの提案に、お姉ちゃんが楽しそうと乗り気なので、嫌だとは言えないな。


流されるまま、マルサから説明を受ける。

先が尖った棒を使うことから、地球と同じ編み物だとわかった。

ただ私、編み物の経験ないんだよね。


「では、カーナお嬢様、ネマお嬢様、糸の持ち方は大丈夫ですね」


うん、指がつりそうだけどね。


「こういう風に輪を作り、この糸を下から通し、次に上から。親指の糸を棒に通します」


うぅぅーーん??

棒に毛糸を巻きつけていくんだけど、上手く棒に引っかからない。


「ネマ、こうよ。糸の右側から通すの」


私の手元を覗き、ママンが訂正してくれる。

おぉ、なんとかできた!


「それをあと三十八回繰り返しましょうね」


……先は長い。

地味にちまちまやっていると、お姉ちゃんは最初の作り目ってやつを作り終えたようだ。

マルサは次の編み方を教えているけど、私はまだ半分も終わっていない。

一つ一つ数えながら、なんとかママンに指定された三十八回をやり遂げたぞ。


「ネマお嬢様も外編みのやり方をお教えいたしますね」


なんか、編み方もたくさん種類があるらしく、その中でも一番簡単なものが外編みらしい。

棒に作った結び目にもう片方の棒を通して、糸を巻きつけて、引っかけて引き抜いて……。

指つったぁぁぁぁ!!!

手がビキビキするぅぅぅ!!!

痛みを堪え、プルプルしていると、パウルが手のひらをぐいぐい引っ張ってきた。

いーたーいー!お兄ちゃぁぁぁん!!

つったときの対処としては正しいんだけど、ジンジンする。


「痛みはどうですか?」


まだ違和感は残っているが、痛み自体は引いてきたので、パウルに大丈夫だと伝える。

パウルも編み物ができるのか、ちょいちょい口出ししてくるようになった。


「ネマお嬢様、焦らなくて大丈夫ですよ。ゆっくり丁寧にやれば、自然と指が覚えますので」


マルサはそう言ってくれたが、彼女の手元ではレースが物凄い勢いで編み上げられていく。


「この紗の模様、文様魔法なのよ。編み物で文様魔法を付与できるなんて半信半疑だったのだけど……」


お姉ちゃんの言葉に、私はマルサが作っているレースをガン見した。

これも文様魔法なのか!?


「簡単な文様ですから。市井でも流行っているんですよ」


へぇ。

子供が持つ物に文様魔法を施して、お守りみたいにしたりするのかな。


なんだかんだとおしゃべりをしながら、ひたすら編んでいった。

途中、編み目の数えを間違えて、解くはめになったけど。

さすがに、一日では終わらなかったので、次の日も、その次の日も、マルサとパウルに教わりながら進めた。

学院から帰ってきたお姉ちゃんも加わったり、王宮から帰ってきたママンが手助けしてくれたよ。

もうちょっとというところで、マルサの一言が。


「ネマお嬢様、二段下の列、目が足りていないのでは?」


「一個くらい、どうにかごまかせない?」


「できなくはないですが、ここは穴の終わり目ですので、この列が引っ張られて(いびつ)になりますよ?」


私としては初めての編み物だし、形が汚くても誰も困らないよって気持ちなんだが。

丁寧に教えてくれるマルサに悪いかなぁって思い、三度目の解いてやり直しをすることにした。

二段だけとは言え、三十分以上かけた作業が無と化していく。

虚しいよ……。


さらに二日かけて、なんとか完成させることができた。

同時に、お姉ちゃんも完成したみたい。

お姉ちゃんは、別のものを作っていたんだけど、学業やお稽古、人付き合いの合間にやっててこの早さである。



「おとー様、見てみてー!!」


完成したものを持って、憩いの間に突撃する。

私が丹精込めて作ったのだ。少しくらい自慢してもいいよねってことで、見せびらかしに来たのだ。


「セルリアが編み物をしてると言っていたが、上手くできたのかな?」


私が編んだものを見たパパンは、すぐに首を傾げた。

そうだよね……ぱっと見何かわからないよね……。

やり遂げた高揚感はあっという間に消え去り、不器用は治らないのかとしょんぼりする。


「旦那様、指ぬきです」


パウルがこっそり教えているけど、聞こえてますぅ。

指ぬきって、手袋の指がないやつなんだけど、地球風に言うならハンドウォーマーとかかな?

手首から手の甲にかけて覆い、親指のところだけ穴が空いている。


「よくできている。つけてみてもいいかい?」


「……うん、いいよ」


なんかすっきりしないけど、作ったからには誰かに使って欲しいって気持ちもある。

早速、パパンがつけようとすると、サイズが合わなかったのか、指先を通したところでつっかえてしまう。


「あら、小さかったわね」


ママンもあらあらと言った感じで、パパンの手元を覗く。


「デールの大きさにしたのだけれど……」


あの回数の指定、パパンのサイズだったのか!


「ネマお嬢様が強く編み過ぎたのでしょうね」


パウルに原因を言われ、確かに、棒を通すときにぐぬぬってやってたわ。

そのときに、強く引っ張っていたんだな。


「そうねぇ。優しく編めば、伸縮性が出るのだけれど。ラルフなら入るかもしれないわ」


ママンは慰めてくれたけど、これにはパパンが猛反対した。


「駄目、駄目!これは私のために作ってくれたものだろう!?」


「でも、おとー様の手に入らないよ?」


入らないものをどうやって使うというのか。


「大切に保管する!」


いやいや、作った意味ないじゃん!


「使ってもらいたいなぁ……」


パパンを見上げると、気まずそうに眉毛が下がった。

もう一押しだ。


「でも、せっかく、せっかくネマが私のために作ってくれたものをラルフに譲るなんて……」


そんなに嫌なのか!


「じゃあ、冬の間、おにー様が使って、そのあとおとー様にあげるのは?」


妥協案を出してみても、パパンはなかなか承諾してくれなかった。


「お父様、わたくしのものもございましてよ。お父様はわたくしが作った首巻きを使用して、お兄様はネマの指ぬきを。土の半ほど使用して、交換するというのはどうかしら?」


「なるほど。しかし、それだとネマのものは手に入っても、カーナのものはラルフに渡ってしまうな」


あー、お姉ちゃんのも欲しいのか。

パパン、ちょっとはお兄ちゃんに譲ろうぜ。


「デール、さすがにラルフが可哀想よ」


ママンもパパンを諌めるが、断固として譲らなかった。


「カーナとネマが初めて作ったものは、大切にしたいんだ」


ママンもお姉ちゃんも、これにはお手上げ状態だ。

どうしたものかと悩んでいると、お兄ちゃんが憩いの間にやってきた。


「父上のこれは、今に始まったことではないからね。父上が、僕のお願いを聞いてくれるなら譲りますよ」


ニコニコ笑顔でお兄ちゃんがパパンに取引を持ちかける。

どうやら、話の内容を聞いていたらしい。

もっと早く出てきてくれればいいのに……。


「そのお願いをまずは聞かせてもらおうか」


すぐにお兄ちゃんの言葉に乗らないあたり、パパンは冷静だなって思った。

お兄ちゃんのお願いの内容次第では、パパンが諦めることがあるかもしれないね。


「妹たちと一緒に、舞台を観にいきたいです」


えっ!?舞台だと?

見たい見たい!

この世界の舞台って、演出に魔法を使うから迫力が凄いってお姉ちゃんが言ってた!

前みたサーカスみたいなやつも凄かったし、絶対に見たい!


「子供たちだけは心配だ。それなら私たちも……」


「それでは、父上が美味しい思いをするだけではないですか。兄妹だけで行きたいのです。僕たちが舞台を観劇している間、父上は母上と出かけてはどうですか?」


おっと。

お兄ちゃんも意外と言いよるな。

しかも、ママンを出してこられては、パパンも嫌だと言いづらい。

パパンもママンを前にして、子供と離れるのが嫌だから、デートをしたくないとは言えないよねぇ。

ほら、ママンも満更ではない感じだしぃ。

思ってもみなかった展開に、ニヤニヤが止まらない。


「……くっ。わかった。要求を飲もう」


結局、パパンは折れた。

そして、めちゃくちゃいい笑顔で、お兄ちゃんの頭を撫でる。


「いつの間にか、ラルフもたくましくなったな」


確かに、パパンを言いくるめられるって、凄いことだよ。

まぁ、パパンの弱味がママンであると知っていたからっていうのはあるけど。

それに、パパンは娘だけじゃなくて息子も可愛いもんねー。


「では、この二つは私がいただくよ。舞台のことは、マージェスに取り計らうよう伝えておく」


「おにー様とおねー様と、いっしょにお出かけできるのうれしい!!」


編み物を頑張ったご褒美は、兄妹水入らずの時間になった。


「わたくしもよ。いっぱいおめかしして、お兄様を驚かせましょう」


お姉ちゃんも嬉しいのか、今からウキウキしている。


「わたくしも、デールがどこに連れていってくれるのか、楽しみにしております」


パパンとママンはデートかぁ。

二人が若いとき、どんなデートをしていたんだろう?

ちょっと気になるよね?

あとでこっそり、ママンに聞いてみよーっと。



※外編み=表編み

※土の半=冬の季節半分


棒編みはやったことないけど、Twitterでリクエストいただいたので挑戦してみました(笑)

描写が雑ですが、ネマの不器用さが伝わっているでしょうか?

また、最後の方にパパンが子供みたいになっていますが、子供たちが初めて挑戦したものについては、マイコレクションにしたいので、よれよれのハンドウォーマーも飾られることでしょうw

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