謁見
「ようこそこんな辺境の国までおいでくださいました。この国に訪れる人はそう多くはいないのです。あなたたちの訪問を歓迎いたします。」
クーダ王妃は微笑みながら言った。
ワイアスはひざまずきながら言った。
「ありがとうございます。…私たちは『不魔石』を探しているのです。この国では魔法では溶けない雪を降らせています。だから、『不魔石』にも何か心当たりがあるのではないかと考えました。何か知っていることがあれば教えてはいただけないでしょうか?」
「…魔法を使えなくする石ですね…申し訳ありません『不魔石』のことは私にはわかりません。魔法では溶けない雪は昔からこの国で降っていたのです。」
「…そうですか。」
「しかし、何かこの国で手掛かりが見つかるかもしれません。宿を手配させます。ご自由にされるがよいでしょう。」
「ありがとうございます。」
謁見が終わった後、マーチがワイアスに話しかけた。
「評判通り素晴らしい王妃でしたね。」
「…そうだな。」
「どうかしました?」
「…どことなく思い詰めてらっしゃるようにも見えたんだがな。」
「確かに元気がないようにはみえましたが…体調がお悪いのでしょう」
二人が廊下を歩いていると、一人の緑色の髪の女性がおどおどしながらもマーチに話しかけてきた。
「少しよろしいでしょうか?」
「はい。なんでしょうか?」
「失礼ですが、王妃様はあなたを見て何か不快な感情は示されていたでしょうか?」
「いえ…それは私が『呪われた血』でいるからでしょう?しかし王妃は、その差別を軽くしようとしている第一人者と聞きました。実際私のようなものにも誠実な態度で接してくださいました。」
「そうですか…」
「失礼ですが、あなたも『呪われた血』ですよね?」
「…はい。…そして私は今、王子と現在婚約中なのです。申し遅れました。私はアリエッタと申します。」