雪降る町
ワイアスとマーチは雪原をひたすら歩いていた。
「ワイアス様…本当にこんなところに国なんて存在するのでしょうか?」
マーチは激しい寒さに泣きそうな声をだして言った。
「…残りの食糧も少ない。なければ死ぬかもしれないな…」
ワイアスはそう言いながら老人が言ったことを思い出していた。
あの老人によればこのあたりに国があるという。
その国は他国の侵略を防ぐために魔法では溶けない雪が1年中降り注ぐと言っていた。
実際この雪はマーチの魔法でも決して溶けなかった。この雪は溶けないばかりではない。どんな魔法も無効化した。もしここに国があったら『不魔石』もそこにあるかもしれない。
手足はすでに感覚はなく、凄い眠気に襲われていた。
意識がもうろうとする中、二人は吹雪の向こうに明かりがあることに気付いた。
「マーチ!明かりだ。きっとあそこに町があるんだ。あそこまでなんとか頑張るぞ。」
ワイアスは喜びながら言った。
マーチは寒さに震えながらうなずいた。
二人がこの町の門の奥を入ると春のような暖かい空気が二人を包んだ。
どうやらこの町には寒さが入らないような魔法が施してあるらしい。
町の人もみんな明るい人たちばかりだった。
だが、『不魔石』の情報は誰も知らなかった。
人々の話では、この国の王妃クーダは博識でこのようなことにも詳しいらしい…
気性も大変穏やかで、旅人なども快く歓迎してくれるそうだ。
そこで二人は王妃が住んでいる城へ行くことにした。