刺客
ワイアスとマーチの二人は西の路地裏を走っていた。
城の部屋で襲われてからというもの、刺客が途切れることはなかった。
二人はそれを蹴散らして場所を転々とした。
しかし、移動した先ですぐにまた刺客に襲われるのでキリがなかった。
「なんで向こうには俺らの行き先がわかってしまうんだろう?」
「…もしかして…」
マーチは呪文を唱え始めた。
すると、自分たちの周りが灰色に光り始めた。
「な、なんだこれは?」
「トレイスの呪文です。相手の動向が逐一頭の中で動いています。」
「なんとかできないのか?」
「一回この呪文を掛けてしまえば、中々難しいですね。しかし…こんな上級呪文を長時間続けられる魔術師がいるなんて…」
「…もしかしたらあの死骸の効果かもな…」
「トレイスの呪文をトワイライト達にも掛けられていたら勝ち目はないですね…」
「何か手はないのか?」
「…今のところは何もありません。」
「もしかしたら、トワイライト達は困って俺たちと接触したがってるかもしれない…お互い困った状況だ。もしかしたら協力し合えるかもしれない…」
「そうですね…任せてください。」
マーチはまた、呪文を唱え始めた。
すると、マーチの頭の中でトワイライト達が城の中にいるのが見えた。
「いけない!!もう城の中に侵入している!!このままでは、ノメッドの思うつぼだ。」
「俺たちも急ごう!!」
「ちょっと待って下さい…その前に…」
マーチはさらに呪文を唱えた。
すると、2人の灰色の光は消えてなくなり、青白い光に変わった。
「はあ…はあ…トレイスを解いてガードの呪文を掛けました。これでもうこちらの居場所がわかることはないでしょう…ただ、今のでかなりの魔力を消耗しました。…ノメッドと戦うとき、後々響いてくるかもしれません…」
「その時はその時だ…今はトワイライト達の元へ急ごう!!」