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Don't spell magical word  作者: ゆりか
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ノメッド(2)

2日後…

ノメッドの前に鍛冶屋が現れた。

鍛冶屋はノメッドに死骸を加工した首飾りを渡した。

「ご苦労様です…あなたには何か褒美を与えねばなりませんね…」

ノメッドはそう言って、金貨を一生お金に困らないだけ渡した。

鍛冶屋は嬉しそうに去って行った。

早速、ノメッドはその首飾りを首に掛けた。

とたんにとてつもない魔力が力の奥底から湧いてきた。

「フム…悪くない…」

ノメッドはある呪文を唱えた。

すると、ワイアスとマーチの二人が宿でくつろいでいる姿が見えた。

「丸見えだ…」

そう言って、部下を呼びワイアスとマーチの元へ刺客として派遣した。

また、ノメッドは同じ呪文を唱えた。

そこにはトワイライトと部下たちの姿がノメッドの頭に映し出された。

「フム…これは面白い…」

そう言ってノメッドはさっきと同じように部下を呼んだ。

しかし、少し考え部下には何も命令しなかった。

「何をやるのかを見てみるのも一興か…全てが通用しないと分かった顔が見ものだな。」



一方、鍛冶屋のトカはそのお金をもって想いにふけっていた。

――これさえあれば、これさえあれば…――

トカはもともと下級階層にいた。

鍛冶屋としての腕を買われて富裕層の仲間入りを果たした。

美人で優しい嫁を貰い、何不自由ない暮らしをしていた。

ある日、娘が病気になった。

その病気はかなりの重症で、この国では医療魔術師が3人しかいなかった。

医療魔術師の診断だと持って3週間だということだった。

医療魔術師の魔術治療の順番は金、いかに金が払えるかということだった。

「お願いです。2か月なんて…娘が、娘が死んでしまう…」

「申し訳ない。この国の法律に逆らえば私が死刑になってしまう…」

所詮一介の鍛冶屋であるトカは全財産を絞り出しても2か月後が限界だった。

途方に暮れていたころにノメッドからの依頼があった。

トカはこれにすがるしかないと思った。

全ての不安を打消し、一心不乱に作業を行った。

3回に1回しか成功しないと言われたが、見事に首飾りを作成した。

今トカの目には涙が浮かんでいる。

――この金さえあれば娘を救えられる…――

城を出た矢先、突然心臓が苦しくなった。

門番は苦しんでいるトカを見て、駆けつけた。

「だ、大丈夫ですか?」

「…こ、これを娘に…」

トカが倒れる最後の光景はその門番の心配している姿だった。

――この門番にすべてを任せるしかないのか――

死を悟ったトカが抱いた気持ちは娘への愛だった。



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