手掛かり
「『不魔石』の情報はないか?」
酒場でワイアスは聞き込みを始めた。
しかし、ぞの名前も知る人はいなかった。
酒場を離れ、ほぼすべての住民に話を聞いたが、『不魔石』の情報は見つからなかった。
しかし、面白い情報もいくらかあった。
町の東の森で「伝説の石」について研究している老人がいるらしい。
早速、マーチを連れてそこへ向かった。
どれだけ森の中を歩いただろう…
まったく前進している気がしなかった。
同じところをひたすらグルグル周っているように感じた。
「ここでは、どうやら結界が張られているようです。」
マーチは、そう言って荷物からたいまつを取り出し静かに呪文を唱え始めた。
するとそのたいまつはある方向だけを照らし始めた。
「こっちです。」
マーチはそう言い、進みだした。
ワイアスはその後に続いた。
すると、一件の小屋が見えた。
その小屋はボロボロで年期も入っていたが、人が住んでいる感じはあった。
ワイアスはその小屋のベルを鳴らすと、一人の老人が出てきた。
その老人はマーチの緑色の髪を見るとこういった。
「なんじゃ?『呪われた血』が何の用じゃ?」
マーチはそれを聞くと、悲しそうに一歩下がった。
ワイアスはマーチの前に出て老人に向かって言った。
「…あなたは伝説の石について研究しているそうですね。『不魔石』の在り処が知りたいのです。」
「…なんのために『不魔石』を探す?」
「…私は魔法が全く使えません。」
「フム…80年生きてきたが、魔法が全く使えないものは初めてじゃ。かたや、『呪われた血』からはおびただしい程の魔力を感じる…まあ邪悪なものではないだろう。入りなさい。」
老人はそう言い、中へと二人を案内した。