少年時代
ちょうどワイアスとマーチがマジックスポットに出発している頃、
トワイライト達はクーデターの準備を進めていた。
―とうとうこの時が来たのか―
トワイライトはしみじみと感じた。
トワイライトは少年時代のある日を思い浮かべた。
その日は雪が降っていた。
トワイライトはボロボロの靴、一枚の布きれを羽織りマッチを売っていた。
マッチはいりませんか?
立ち止まる人は当然のように誰もいなかった。
これを…これを売らなければ、あの場所には戻れない…
偽善でもいい…同情でも…憐みでもいい…どうかどうかマッチを買って下さい。
…もう声すらでない。
トワイライトは住宅の隙間に座り込んだ。
あの場所には…自分を兄のように慕ってくれる子供たちがいる。
なんとか、なんとかこのマッチを売らなければ…
残りわずかな気力を振り絞り、トワイライトは再び街中へ行った。
3時間後…
もう…立ち上がる気力すらない…このまま…このまま死んでいくのか
そう思いかけた時、地面に光るものを見つけた。
最後の気力を振り絞った。金貨だ!!
トワイライトは地面を這いつくばって移動した。
そして、その金貨を拾い上げた。
これで、これであの場所へ戻れる。
あの場所へ戻って…あいつらに会える…
しかし、同時にある考えが浮かんだ。
戻って…戻って一体何になる!この金貨も全て取られて、明日には同じ状況だ。
死ぬのが2,3日延びるだけじゃないか…
このままじゃ…このままじゃ死ねない。
ここで野たれ死にしても、誰も何も思わない…
絶対にそんなの許さない…
トワイライトは目には生きる意志、心には友を捨てる罪悪感を抱えた。
こうしてトワイライトは施設を抜け出して盗賊稼業に身を落とすこととなった。
今でもこうしてあの日を思い出す。
こうして思い出すことが自分の野心を燃やすこと、友たちの祈りになると信じて