マジックスポット
ワイアスとマーチは城の玉座の前まで来た。
座っている男は、こちらを見て言った。
「初めまして。私はノメッドといいます。私の牢屋の魔術を解いたのはあなたですか?」
「いえ、隣にいるマーチです。」
ノメッドはマーチを汚いものでも見るように、一瞥した。
「やはり…『呪われた血』ですか…残念です。あなただったら、私の側近にとりたてようと思いましたのに。」
ワイアスはため息をついて言った。
「『不魔石』の情報を教えて頂けると聞きましたが?」
「魔力が集まる場所『マジックスポット』をご存知ですか?」
「ええ…聞いたことがあります。マジックスポットには強い魔力を持つ石や木、宝石などがあり、その物を加工して、手に入れた武具は特別な魔力を秘められた者として術者に凄い力を与えるとか。」
「この『嘆きの指輪』がそれにあたると言われています。」
ノメッドは指輪を見せた。
マーチはそこに凄い魔力を感じた。
「さて…ここからが相談です。わが国では代々言い伝えられているマジックスポットの場所が一つ存在します。そこへ、あなた方に赴いて欲しいのです。そこから特別強い魔力が秘められている物を取ってきて欲しいのです。」
「なぜ…それを私たちに?」
「そこには常人では近づけないような罠や、魔物がいます。なので、強い魔力を持ったものでないと駄目なのです。今まで兵たちを何回も送りましたが、一人として帰ってきませんでした。」
「それを私たちに行けと?」
「あなた方が『不魔石』が欲しいといったのじゃありませんか?そこには『不魔石』が一つぐらい転がっていても不思議じゃないでしょう?」
「…」
「まあ、無理にとは言いません。当然マジックスポットから取って来たものは全て私の物となるのですから。」
「私たちがもしそれを持ち逃げしたら?」
「その時は、国を挙げて全力をもってしてあなた方を殺します。」
「…『不魔石』は?」
「ご自由に持って行かれるがよいでしょう!魔法が使えなくなる石に何の価値があるというのです!?」
「…わかりました。」
「商談成立ですね。今夜は泊まっていきなさい。出発は明日の朝案内させますから。」