別れ
ワイアス、マーチ、アリエッタはすぐに城へ向かった。
しかし、城の門番にすぐ止められた。
マーチが門番を魔法で眠らし、先を急ぐと次々と魔法使いたちが現れた。
「少々手こずりそうです。2人は先を急いでください。」
そう言ってマーチは魔法を唱えた。
すると、ワイアス、アリエッタ以外の人々の動きがピタリと止まった。
2人は階段を上がり王子の部屋の前まで行った。
部屋の前では人が大勢集まっていた。
「アリエッタだ!捕えろ!!」
大勢の中の1人がそう叫んだ。
しかし、すぐに王妃の声が響いた。
「待ちなさい!この人たちに手を出してはいけません。命令です。」
「しかし…」
「私はこの国の王妃です。その私がそのように言っているのです。」
「はっ、はい。」
身分の高そうな兵は渋々引き下がった。
「アリエッタ…こっちまで来てください。…私の息子を最後に見てやってください。」
そう言って王妃は、毛布をそっと取った。その手は震えていた。
アリエッタは足を震わせながら王子の前へ行った。
王子の死に顔を見ると、ポカンと無表情になった。
「眠っているみたいでしょう…」
王妃はボソッと言った。
アリエッタは腰が砕け、その場にしゃがみ込んだ。
そして、王子に向かって話しかけた。
「あなたに言いたかったことがあったんです…『結婚はしません。』って。
あなたには幸せに生きていって欲しかったから。私がいない方がいいと思ったから。
…あなたのことを誰よりも愛しているから。」
その時、隣にいる王が叫んだ。
「お前のせいだ!!お前が王子を…息子を殺したんだ。おい!直ちにこの女を捕えろ!」
「待って下さい!!」
王妃が言ったが、王は叫んだ。
「黙れ!捕えろ!!直ちに死刑を執行する。」
兵の魔法使いが周りを取り囲んだ。
ワイアスは取り囲まれたアリエッタの前に立ち剣を抜いた。
その時、後ろから魔法が飛んで来た。それがワイアスに当たった。
ワイアスはそれが当たると人とは思えないような駿足で兵や魔法使いを薙ぎ倒していった。
魔法を次々と躱して、ほぼ全てのものを倒すとアリエッタを抱き疾風の如く走り去り、消えた。