夢
「アリエッタ様!起きてらっしゃいますか?」
「…ああ、はい。」
「今日は王子との結婚式ですよ。ボーっとしていたら困ります。…ところで本当にこのドレスでいいのですか?」
「もちろん!なぜ?」
「…その…すてきなドレスですが、少し結婚式にはそぐわない気がして。」
「これはね…王子が私に下さったドレスなのです。もったいなくて着れなかったのだけど…今日どうしてもこれを着たかったのです。」
「そういうことですか…さしでがましいこと言って申し訳ありません。」
「アリエッタ!」
「王妃様!」
「王妃だなんて…今日から私はあなたの娘になるのだからね。今日からは母と呼んでくださいな。」
「…この日が迎えられるなんて私は幸せ者です。お母様、ありがとうございました。」
「言ったはずですよ。私はあなたを応援すると。そろそろ息子が来るはずよ。準備はいいかしら?」
「アリエッタ!」
「王子」
「王子はもうやめてくれよ。君は今日から私の妻だろう?ほら、そのドレスはやっぱり君に似合っているよ。やっと着てくれた。」
「母親としてはウエディング用のドレスを着てほしかったけどね。一生で一度なのに本当にこのドレスでいいの?」
「母様!その件ではアリエッタとは十分に話しただろう!!もう口を出さないでくれよ。」
「はーい。」
「アリエッタ。じゃあ私は先に行っているよ。」
「はい。」
「…ありがとう」
「何がですか?…王子!」
アリエッタはハッと目を覚ました。
夢か…
私は今日城へ行き、求婚をみんなの前で断る…これでいい
こんな私のことを好きでいてくれた。私にはこれだけでいい
アリエッタが外へ出ると、ワイアスとマーチがいた。
「昨夜は護衛本当にありがとうございました。」
アリエッタは深々と頭を下げた。
「アリエッタ…王子が昨夜亡くなったそうだ。」