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第二百三十話:調査報告

 反応を頼りに調べてみると、隠し通路がごろごろ見つかった。

 もしかしたら、この下水道自体、隠し通路を隠す名目で作られたのかな?

 いや、隠し通路が作られたのは、現町長になってからみたいだし、それはないか。

 通路の隠し方が、壁の絵を描いたいたって言うのも、結構ずさんだしね。

 まあ、おかげで、当たりさえつけられれば、そこまで見つけるのに苦労はしなかったわけだが。


「これで全部かな?」


「たぶん」


 見つけた通路は十余り。数としては、そこそこの数だと思う。

 まあ、下水道以外に繋がっている場所もあるかもしれないし、これで全部かはわからないけど、地下から通じる隠し通路は、粗方発見できたと言っていいだろう。

 ちょっと調査に時間がかかって、時間的にはもう朝日が昇りそうな時間だけど、今から鍵を返しても間に合うだろうか。

 気づかれたら面倒なので、早いところ脱出してしまおう。


「後は報告するだけだね」


「うん」


 ささっと下水道から脱出し、鍵を帰して戻ってくる。

 幸い、使用人は何人か起きていたみたいだけど、鍵が紛失していることに気づいている者はいなさそうだった。

 とりあえずばれていなさそうで一安心である。


「……というわけなんですが」


「なるほど……確かに、元々下水道は怪しいと踏んでいたが、そんなに隠し通路があるとはな」


 ギルドに戻り、ギルドマスターへと事の顛末を報告する。

 どうやって下水道に忍び込んだのだとか、一日のうちにどうやって調べ上げたのだとか、色々聞かれたけど、そこらへんは関係ないと言ってごり押した。

 別に、俺達はギルドマスターに気に入られたいわけではないし、駒になる気もない。

 ただ単に、この町の人々の惨状を知って、ちょっと手を貸したくなっただけだ。

 それに、ニクスからもあまり問題を起こすなと言われているし、そこまで深く首を突っ込むつもりもない。

 だから、この事件が解決したら、さっさと町から離れるつもりである。

 日銭を稼ぐために、依頼をこなす必要はあるかもしれないが、これでギルドマスターに変に目を向けられても困るのだ。


「協力感謝する。まさか、ここまでスムーズに発見に至るとは思っていなかったぞ」


「お役に立てたなら光栄です」


「報酬は後程支払おう。それと、一応聞くが、町長を捕らえるのを手伝ってくれたりはするか?」


「それはそちらでお願いします。私達は、派手な戦闘をしたいわけではないので」


「そうか、残念だが、仕方ない。隠し通路を見つけてくれただけでも、ありがたいことだ」


 この後、レジスタンスによる、町長捕縛作戦が決行されるようだけど、俺達がそれに参加することはない。

 俺達の役目は、隠し通路を見つけることだけで、ギルドマスターも、そういうことはこちらでやると言っていたしね。

 しばらくの間、ちょっと町が騒がしくなるかもしれないけど、後は宿でのんびりしていればいいだろう。

 案外あっけなく終わって、これでいいのかと思わなくもないが、これ以上ニクスとの約束を破るわけにもいかない。

 これ以上は、やめておいた方だ無難だ。


「無理強いはしないが、もし、町で困っている人がいたら助けてやってくれ。特に、近日中には、町が混乱に陥ることになるだろうからな」


「その時までこの町にいたら考えておきます」


 ギルドマスターとの問答を終え、私達は宿へと帰る。

 そういえば、宿から無断で抜け出してきたんだよね。先に宿に帰っておけばよかったかな。

 もはや嗅ぎすぎて慣れてしまったけど、あの臭い下水道に何時間もいたのだから、臭いも気になる。

 ギルドマスターは何も言わなかったけど、お風呂に入った方がよさそう。


「洗ってあげようか?」


「じぶんで、あらえる」


「遠慮しなくてもいいのに」


 なんとなしに言ってくるフェルだけど、流石にまだ慣れていない。

 一応、フェルの幻獣としての姿なら何度も見ているから特に何も感じないけど、流石に人間姿で裸を見たらどうなるかわからない。

 今はなぜかこんな姿になってしまったとはいえ、俺も一応男だからね。

 それに、なんだかんだ、人の姿でお風呂に入ることは稀だったし、自分の姿にも慣れていない気がする。

 耐性をつけるために、あえて見るべきなんだろうか?

 別に、ちょっと興奮したところでできないし。

 フェルにからかわれながら、時間は過ぎていく。

 なんか、ようやく落ち着いたって感じだね。


 そうして、まったりと日々を過ごすことしばし。

 隠し通路を探す依頼で得たお金は結構な金額で、この調子なら、このまま依頼を受けなくても十分足りそうな気がする。

 まあ、それでも一応依頼は受けるけど、ギルドに行くたびに、ギルドマスターがちょいちょい話しかけてきて、未練がましく作戦に参加してくれないかと言ってくるから、ちょっと面倒くさい。

 こちらに理解を示しているようで、ちょっと押せばころっと協力してくれるんじゃないかと期待しているのが見え見えである。

 悪い人ではないんだろうけど、ちょっと鬱陶しいね。

 それと、アルマ鉱山社の方だけど、あれから、町長に意見を言ったようなのだけど、案の定突っぱねられたようだ。

 労働者に対して、これ以上サービスする必要はない。むしろ、今の状態でも優遇しすぎなくらいだと、全く聞く耳を持っていないらしい。

 いい加減、自分の失敗を認めたらいいのにね。前はうまく行っていたのに、自分の代になったらうまく行かなくなったのなら、それは自分が原因だとわかるだろうに。

 まあ、それができないから、町の財政が悪化しているんだろうけど。


「なんか、そろそろやるみたいだね」


「そうだね」


 一応、ギルドマスターから、そろそろ作戦を決行するという話は聞いた。

 すでに戦力は終結しており、冒険者の中にも、この町所属の人達は、多くの人々が作戦に参加するらしい。

 他にも、各方面への根回しなど、準備は万全のようで、俺達が見つけ出した隠し通路についても、すでに押さえる算段をつけているようだ。

 悪事の証拠もばっちり押さえているから、その後の裁判でも確実に有罪判決を出させることができる。

 もはや、負けようがないと言っていたけど、それでもギルドマスターは慎重のようで、最後まで調整をしているようだった。

 町長の屋敷があるのは、南区画の中央近く。今俺達がいる宿からすると、それなりに離れているから、ここまでは騒ぎは飛んでこないとは思うけど、どうなるかね。


「ちゃんとうまく行くといいけど」


「ちょっと、しんぱい」


 慎重なのはいいことだけど、どうにも一人で背負い込みすぎているような気がしないでもない。

 自分が何とかしなくてはと思っているんだろうけど、なんか心配だ。

 準備は万全とはいえ、どこかでイレギュラーが起きなければいいけど。

 俺は、町長の屋敷がある方角を見ながら、そんなことを思っていた。

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