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第二百二十五話:ギルドマスターからの呼び出し

 その後、確認できるだけのロックゴーレムを倒した。

 マルコスさんは、確認できるだけでも五体はいると言っていたけど、最終的に、十体くらいは狩ったと思う。

 恐らく、立ち入り禁止となったことで、そこまで調査が回らなかったんだろう。

 とりあえず、気配を感じる限りは、もういなさそうだったので、これで切り上げることにした。


「というわけで、大体狩ったと思います」


「お、おお……! ありがとうございます! これで作業員達の安全を確保できます!」


 坑道を戻り、再びアルマ鉱山社の社長室。

 社長のマルジナさんは、机に頭を擦りつけんばかりの勢いで、礼を言ってきた。

 本当に、困っていたんだろう。ロックゴーレムが駆除できなければ、収入は減るばかり。むしろ、今の時点でも、社員に給料を払えているかも怪しいし、ぎりぎりだったに違いない。

 フェルは、そんなマルジナさんを宥めつつ、今後のことについて聞いてみる。

 今回、どうにかロックゴーレムを処理できたとはいえ、鉱山で働く以上、必ずまた沸くタイミングがあるだろう。

 その時、再びフェルのような冒険者が来るとは限らないし、ぶっちゃけ、今の町の政策を考えると、いるだけ損のような気がする。

 どこかに移転するなら、その手伝いくらいならしようと思うのだけど、どうだろうか?


「お気遣いありがとうございます。ですが、私はこの会社を守りたいんです。先代の町長には、よくしてもらいましたしね」


「でも、このままだとじり貧でしょう? 何か対策を立てないと」


「はい……。一応、次の定例会で、もう一度抗議してみようとは思っています。聞き入れてもらえるかはわかりませんが……」


「そうですか……」


 本当にやばくなったら、移転する気はあるようだけど、鉱山社として別のところでやっていくにしても、すでに別の鉱山にはそこに根差す別の会社がいることだろう。

 移転は容易ではないと思うし、最悪、鉱山社は解体され、別の仕事を探すはめになるかもしれない。

 一応、社員を守るために、逃げる準備は整えているみたいだけど、このままでは、あまりよくない結果になるのは目に見えている。

 やはり、根本の問題をどうにかしないといけないよね。


「私達は、しばらくはこの町に滞在しているので、何か困ったことがあったら言ってください。なるべく力になりますよ」


「ありがとうございます。その時は、ぜひよろしくお願いします!」


 その後、わずかばかりの報酬を貰い、会社を後にする。

 本当に雀の涙ほどの報酬だけど、一応、ロックゴーレムの瞳が結構手に入ったので、これをギルドで買い取ってもらえれば、それなりの収入にはなるだろう。

 少なくとも、この町で数日滞在するくらいは余裕になるはず。

 当初の目的は果たせたから、まあよかったのかな。


「お帰りなさいませ。その様子だと、ちゃんと依頼は達成されたようですね?」


「はい。あ、これ換金お願いします」


「これは、ロックゴーレムの瞳! 本当にありがとうございます、私どもも安心しました」


 南区画に戻り、ギルドに報告すると、受付さんから感謝の言葉を述べられた。

 受付さんも、いきなりあんな依頼を提示するからには、よほど心配していたのだろう。

 無事に解決できたことに、ほっとしているようだった。


「報酬はないも同然だったでしょう。買取価格は、少し色をつけさせていただきますね」


「ありがとうございます。それと、少し聞きたいことがあるんですけど」


「ああ、町長のことですよね……。それに関しては、ギルドマスターからお話があると言っています。もしよろしければ、奥の部屋へ」


 てっきり、受付さんの独断かと思ったけど、ギルドマスターも絡んでいるのか。

 フェルは、一度俺に目線を向けた後、それに頷く。

 わざわざ、ギルドマスターの方から話があるというのだ。恐らくこれは、依頼を受けたからってことだと思う。

 果たして、どんな話が聞けるのか。

 俺達は、言われた通りに奥の部屋へと進む。

 扉をノックすると、入れと返事が返ってきた。


「失礼します」


「うむ。急に呼び立ててすまない。ここのギルドマスターをしている、セッカだ」


 そう言って、挨拶してきたのは、立派な口ひげを蓄えたがたいのいい男性。

 気配から察するに、割と強そう? 流石はギルドマスターってところだね。


「初めまして、冒険者のフェルミリアと申します。こっちはルミエール」


「よろしく」


「うむ、よろしく。さて、こうして呼び立てたのは他でもない、この町の深刻な問題についてだ」


 そう言って、応接用のテーブルへと案内する。

 テーブルには、この町の地図だろうか、二つに別たれた町が描かれた紙が置かれていた。


「例の依頼を受けてくれたのなら、ある程度の話は聞いているだろう。この町の、問題について」


「ええ、まあ。町長がとんでもない政策をしているせいで、労働者が困っているとか」


「そう、それだ」


 今の町長に変わってから、この町は変わってしまった。

 以前は仲が良かった二つの区画の住民達も、北区画を下に見るようになり、北区画の住民達は、それを聞いて南区画の住民に敵意を向けるようになった。

 いわば、町は今分断されている状態であり、このままではいずれ町は崩壊する。

 だから、そうなる前に、何とかしたいのだけど、それには大きな障害がある。

 それが、今の町長の存在だ。


「現町長は、強権を振りかざし、やりたい放題の状態。協力している一部の貴族の意見しか聞かず、北区画の住民達を劣悪な環境に置いている。主要産業である金属の生産もままならなくなり、財政もひっ迫している状況だ」


「どうにか止められないんですか?」


「意見は無視されるし、武力に訴えようものなら、最悪処刑される。唯一変えられるとすれば、領主の一声だろうが、手紙は握り潰されるし、領主自身も、どちらかというと今の町長に賛成のようだ。もはや、この町を変えるためには、町長を挿げ替えるしかない」


「大変ですね……」


 領主すら動いてくれないんじゃ、もうお手上げな気がするけど、クーデターでも起こすのかな?

 いずれにしても、なぜこんな話をしてくるのか。まさか、それに協力しろとでも言うんだろうか?

 なんか、とんでもないことに首を突っ込んでしまった気がして、ちょっと冷や汗をかいた。

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ニクス「問題をおこすなよ???」
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