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第5話『責務』

果てなく広がる空間に、大小さまざまな光の粒が漂っていた。


煌めく光の一つの中に、銀色に輝くベッドがぷかぷかと浮かんでおり、静かにゆっくりと、軸をずらしながら回転している。


その周囲には淡く輝く無数の光の玉とパネル状の光板が、不規則に漂っていた。

光の玉はどれ一つとして同じものがなく、大きさも色も、揺らぎ方もすべて異なっている。


光の中心にあるベッドに、腕を枕にしながら寝そべっているのは、中性的で美しく幼い顔立ちをした、光の神、《ルミネア》。

薄く開いたまぶたの奥で、かすかな紋様が煌めいている。


透き通るような薄桃色の長い髪が細い肩を包んでおり、時折、重力に逆らうようにゆるやかに浮かび上がる。

その髪の先端にむけて、淡い光が滲むように伝わっていき、波紋のような揺らぎが空間全体に広がっていく。


ルミネアは、指先をゆっくりと宙にかざし、虚空を見つめた。


「…理に縛られ、儚く美しい…私と同じね!」


やがて、彼女の視線の先に、ごく微細な光の凝縮が生まれ、回転を始める。

それは静かに渦を描いたあと、歪んでいった。


ルミネアはまばたきもせず、指先をほんの数ミリだけ動かす。


それに応じるように、渦の輪郭がゆっくりと広がり、中心には濃密な光の芯が生まれる。

やがて、その周囲に、淡い赤みを帯びた層が幾重にも重なり始める。


それらは静かに膨らみながら拍動を繰り返し、渦はさらに加速していった。

程なくして粒子の中心から白みがかった閃光が漏れ出し、収束しながら、球体が形成されていく。


ほんの少し、ルミネアの唇の端が緩んだ。


「…おまけに一つ、赤い星——」


ルミネアの指先が、空中に緩やかな円を描く。

漂っていた光板の表面に何かの文字が流れ始め、先ほど生まれた球体に赤い粒子が1つ浮かびあがった。


けだるそうにあくびをしながら、ぽつりと呟く。

「…ふわぁ~…完璧…」


そのまま浮遊ベッドに身を預けて目を閉じると、体がゆっくりと沈みこむ。

「……そういえば……なにか……届いた気が……してた……けど……」


声はだんだん小さくなり、やがて微かな寝息に変わった。


浮遊ベッドは今日もゆっくりと回っている。



------------


身体強化系:《高速木登り》《高速滑空》

便利系:《サーチ》《鑑定》

皮膜系:《収納膜》

尻尾系:《ファントムテール》


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次回2025/7/18、5.5話+6話を更新予定です。

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