第31話『バインドモール』
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先ほどまで愛くるしかった、つぶらな瞳のモグラ──《バインドモール》の怒りの矛先は、完全に俺へと向けられていた。
即座に警戒態勢を取り、《千里眼》と《ウィズセンサー》を同時に展開。
格子状の魔力が周囲に広がり、その姿を浮かび上がらせていく。
どうやら無数のツタは、バインドモールの尻尾に繋がっているようだ。
「ギィィイ!(ブッコロス!)」
バインドモールの叫びが大気を震わせ、慌てたラースは上空へ退避していく。
「っ、来るか!」
次の瞬間──全てのツタが襲いかかってきた。
反射的に身を翻し、攻撃を回避する。
同時に逃走経路を探しエリア入り口へ視線を向けるが──甘くはなかった。
周辺の石畳はバキバキと音を立てて隆起し、ツタが伸び上がっていく。
『逃がさない』と言わんばかりに、その先端が生き物のようにこちらを狙っている。
「怒りすぎだろ……」
上空では、ラースが明滅しながらくるくると回転し、やや焦った声で叫ぶ。
「明らかにクロが悪いですよ!ちゃんと謝ってください!」
「謝っただろ!」
「その後、余計な事を言ったからですよ!」
掌に魔力を込め、迫るツタの束へ向けて《ショックスタンプ》を叩き込んだ。
バチィ!と衝撃が走り、一瞬ツタの動きが止まる──が、すぐに再びうねり、襲いかかってくる。
「しつこいなっ!」
右へ、左へ飛びながら回避を繰り返す。
『そのへんの石柱を駆け上がって、モグラ本体にショックスタンプを叩きこむか……?
いや、このツタの量だ。うかつに飛び込むと、足元から大量のツタに襲われる可能性もある。
そもそも、ちょっと罪悪感があるしなぁ……』
しばらくツタの猛攻を避けながら、頭の中で考えを巡らせる。
『細いツタに対して、打撃は効果が薄い……。
ってことは、いよいよ"アレ"が必要ってことか……?』
ショックスタンプを叩きつけながら、全身の感覚を研ぎ澄ませていく。
ツタに効果の高いスキル──それは"斬撃”。
魔力の剣をイメージしながら、どの部位が最も適しているかを探る。
手?爪?いや、違う。
もっと鋭く、もっとしなやかに振るえる部位がある。
迫るツタに一撃を叩き込み、たじろいでいる隙に距離を取った。
「やっぱ斬撃と言えば、これだろ」
薄く目を閉じ、全神経を尻尾の根元から先端へと集中させていく。
フサフサの毛先のさらに先まで、魔力が鋭く流れ始めた。
その瞬間──脳内に、鋭く澄んだ声が響く。
**《スラッシュテール》──発動。魔力伸縮による斬撃**
目を開き、青白い光を帯びた尻尾を横薙ぎに振るった瞬間──シュバァッ!と空気が裂ける音が響き渡る。
斬撃の軌道に沿って、ツタが切断され、バラバラと地面に落ちていく。
だが、安堵する暇はなく、すぐにその背後から、さらに多くのツタがうねりながら迫ってくる。
「くっそー、切れ味はいいが、多すぎてキリがない……!
うまく一か所にまとめられば……?
……。
……試してみるか!」
ラースが上空から応援していると、ふいに、不規則な軌道でクロが駆け回り始めた。
時に鋭く、時に緩やかな動きに翻弄されながら、ツタは執拗にクロを追いかけている。
ギリギリ当たりそうな攻撃を見て、ラースは声をあげた。
「クロ!右から来てます!左からも!
ああっ!危ないです!」
「わかってる!」
左へ跳ね、次の瞬間にはギリギリで下へ滑り込んで回避しているが、ツタのかすめる音が聞こえてくる。
「今のは危なかったです!
なんとか避けられてるようですが、あのままでは壁に追い詰められて……アレ?」
よく見ると、時折、ツタはクロを見失ったかのように、ウロウロと迷いを見せている。
すぐに再びクロを見つけて襲いかかるが、また見失う。
「……これは、どういうことでしょうか?
……あっ!まさか……!」
ツタは、バインドモール本体から見えない場所で、クロを追跡していた。
つまり、音や振動、魔力などを頼りに標的を定めている、ということになる。
クロは、ギリギリで避けていたわけではなく、持ち前の反射神経と空間把握能力を駆使して、狙ったタイミングで回避していた。
必要な瞬間に《隠密膜》を展開して見失わせた後、スキルを解除し、慌てて追いかけさせる──。
その繰り返しでツタ全体の動きを乱し、意図的に絡み合うように仕向けていた。
「ここで隠密膜を使って……仕上げに、こっち!!」
そして、ラースが気づいた時には、誘導されたツタは一つの塊となり、身動きが取れなくなっていた。
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身体強化系:《高速木登り》《高速滑空》《千里眼》
便利系:《サーチ》《鑑定》
皮膜系:《収納膜》《防御膜》《隠密膜》
尻尾系:《ファントムテール》《スラッシュテール》
肉球系:《ジャンプスタンプ》《ショックスタンプ》《エアスタンプ》
ヒゲ系:《ウィズセンサー》《ウィズスピア》
ラースのパーツ:
《言語パーツ》《通信パーツ》
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次回2026/1/10、0:05頃、次話を更新予定です




