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第85話  影の王の降臨

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。

黒騎士の漆黒の剣がゆっくりと掲げられると、王都の空に浮かぶ巨大な魔法陣が不気味な輝きを増した。影が蠢き、まるで地面そのものが生きているかのように波打ち始める。


「っ……まずい!」


リーナが焦燥の声を上げる。


「これは、ただの召喚魔法じゃない……"影の王"そのものが降臨しようとしている!」


蓮は剣を強く握りしめ、黒騎士を睨みつけた。


「ふざけるなよ……ここを戦場にする気か!」


だが、黒騎士は冷徹な声で言い放った。


「戦場ではない。"裁きの地"だ」


次の瞬間――


黒騎士の足元から無数の影が噴き出し、鎌首をもたげるようにして蓮たちを取り囲んだ。それは意思を持つかのように伸縮し、獲物を狩る蛇のように動いている。


「影の王の眷属……!」


イリスが魔法陣を展開し、即座に神聖魔法を放つ。


「《聖なる光よ、邪悪を打ち払え!》」


純白の光が弾け、影を焼き尽くす。だが――


「……ふん」


黒騎士が軽く剣を振るっただけで、光の波動は霧散した。


「そんな……!」


イリスの顔が驚愕に染まる。彼女の神聖魔法は、通常であれば闇の力を無効化するはずだった。それすらも無意味にする黒騎士の力――それが"影の王"の力。


「イリス! シャム!」


蓮は二人の前に立ち、黒騎士の視線を引きつける。


「リーナ、神殿の結界を強化できるか?」


「……やってみる!」


リーナが頷き、後方で詠唱を始める。その間に、蓮は黒騎士との間合いを詰めた。


「今度はこっちから行くぞ!」


蓮は剣に魔力を込め、一気に踏み込む。


「――ッ!!」


高速の連撃が黒騎士へと放たれる。しかし――


「遅い」


黒騎士は寸分の狂いもなく剣を弾き、カウンターの一撃を放つ。


「……っ!」


蓮は辛うじてアイテムボックスから別の剣を取り出し、受け止める。しかし、衝撃で腕が痺れ、体勢を崩した。


「――終わりだ」


黒騎士が止めの一撃を放つ。


「させるか!!」


シャムが横から飛び込み、黒騎士の攻撃を阻止した。


ギィィンッ!!


剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。


「貴様……」


黒騎士は静かにシャムを見下ろす。


「仲間を助けるか。だが、それが貴様の命を縮める」


瞬間、黒騎士の影がシャムの足元に広がり、鎖のように絡みついた。


「しまっ――!」


気づいた時には遅かった。シャムの動きが完全に封じられる。


「シャム!!」


蓮が駆け寄ろうとするが、黒騎士はそれを許さない。


「"影の王"の裁きを受けるがいい」


黒騎士が剣を振り下ろそうとした――その時。


「《光の槍よ、貫け!!》」


リーナの放った光の槍が、黒騎士の腕を弾いた。


「……ほう?」


黒騎士はわずかに眉を動かした。


「やるじゃない、リーナ!」


イリスが続けざまに神聖魔法を放つ。


「《浄化の波動》!!」


聖なる光が広がり、影の鎖を消し去った。シャムが自由を取り戻し、即座に後退する。


「助かった……!」


だが、黒騎士の目は微動だにしない。


「貴様らの足掻きは見飽きた」


次の瞬間、王都の空に浮かぶ魔法陣が光を放ち、巨大な黒い裂け目が生まれた。


「……"影の王"の降臨か」


黒騎士が静かに呟く。


裂け目から黒い霧が噴き出し、それはやがて一つの形を成した。


――巨大な漆黒の鎧を纏った影の巨人。


「……っ!」


蓮たちは息を呑む。


「影の王……ノワールの主……いや、それ以上の存在か……」


リーナの声が震えている。


影の王がゆっくりとその目を開いた。


「……"影"は"影"のままあるべきだ……」


重々しい声が王都の空に響く。


「貴様らは、その理を乱す者……裁かねばならぬ……」


影の王の力が解放され、王都全体に圧倒的な魔力が広がる。


蓮は剣を強く握りしめた。


「影の王だろうが、ここは俺たちの"生きる場所"だ……好きにはさせねえ!」


戦いの幕が開ける。

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