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第81話  影の王

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。

王都の夜は、静寂とは程遠いものとなっていた。

月光の下で影が揺れ、剣閃が闇を切り裂く。


蓮の前に立ちはだかるのは、帝国の暗殺部隊「影の狩人」の頂点に立つ男、ノワール。

彼は"影"を自在に操り、まるで夜そのものと同化するかのように姿を消したり現したりする。


「"影の王"の力、見せてやるよ」


ノワールが不敵に笑い、黒い影がさらに濃く渦巻き始めた。

まるでそこに新たな闇が生まれたかのように、空間が歪む。


蓮は剣を構えたまま、ノワールの動きを見極めようとする。


だが――


「っ!?」


影が動いた。


蓮の足元から無数の黒い手が伸び、一瞬にして彼の身体を絡め取ろうとする。


「《光輝剣ルミナスブレード》!」


蓮は即座に剣に光を宿し、影を切り裂いた。

しかし、斬っても斬っても影は消えず、まるで生き物のように次々と湧き上がる。


「俺の影は、単なる"影"じゃない」


ノワールの声が、四方八方から響く。


「これは俺の"意思"。お前を殺すまで、決して消えることはない」


影の手がさらに増え、蓮の逃げ道を封じていく。


「くっ……!」


蓮は素早く跳躍し、影の範囲から脱出しようとする。


だが――


「甘いな」


ノワールの声とともに、影が空中にまで伸び、蓮の足を掴んだ。


「《閃光斬フラッシュスラッシュ》!」


蓮は剣を振り下ろし、影を断ち切る。

眩い光が闇を裂き、影の手が焼き切られる。


蓮は地面に着地し、再び剣を構えた。


「なるほど……お前の光の力は厄介だな」


ノワールは微笑んだまま、距離を取る。


「だが、それだけでは俺の影を完全には払えない」


彼が指を鳴らした瞬間――


「っ!?」


蓮の視界が、一瞬にして闇に覆われた。


――影の領域"ナイトメア・ドメイン"


「お前の光がどこまで届くか、試してみるといい」


ノワールの声が響く。


しかし、姿は見えない。


蓮は剣を構えたまま、静かに周囲の気配を探る。


(この闇の中では、俺の目も耳もほとんど役に立たない……)


だが、蓮は焦らなかった。


「光は、闇を打ち消すもの――ならば、"すべて"を照らせばいい」


蓮は剣を高く掲げ、力を込めた。


「《聖光爆裂ホーリー・エクスプロージョン》!!」


剣から放たれた閃光が、周囲一帯を照らし出す。


「……っ!」


影が灼かれ、闇の領域がわずかに揺らぐ。


「なるほど……面白い。だが――」


ノワールの声が響く。


蓮が光を放った瞬間、影の中から無数の刃が飛び出した。


「しまった!」


蓮は即座に剣を振るい、飛来する刃を弾く。


だが、ノワールはすでに次の一手を繰り出していた。


「"影獄"――お前の光が届く前に、闇に沈めてやる」


影が蓮の背後から迫る。


「させるか!」


その瞬間、蓮の横から雷光が走った。


「《雷撃槍サンダージャベリン》!!」


イリスの魔法が炸裂し、ノワールの影を焼き尽くす。


「……ふむ」


ノワールが後退する。


「俺を忘れるなよ!」


シャムが猛然と突撃し、ノワールに斬撃を浴びせる。


しかし――


「残念だったな」


ノワールの体が影に溶け、シャムの剣は空を斬った。


「こっちだ」


ノワールがシャムの背後に現れ、短剣を振り下ろす。


「危ない!」


リーナが素早く魔法を詠唱した。


「《聖盾ホーリーシールド》!」


神聖な光がシャムを包み込み、ノワールの刃を弾く。


「……チッ」


ノワールが舌打ちする。


「お前たち……なかなかやるじゃないか」


彼は再び影に身を溶かした。


蓮は剣を構えたまま、静かに言った。


「お前がどんなに影を操ろうと――」


彼の剣が光を宿す。


「俺の光が、必ず打ち砕く」


「……ほう」


ノワールは微笑む。


「ならば、試してみるがいい」


彼は両手を広げ、影を集め始める。


「――"影の王"としての、本当の力をな」


影が、闇が、さらに濃く渦巻く。

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