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第74話  帝国の策謀

いつもお読みいただきまして、ありがとうございます。

遺跡の奥深くに佇む石碑の前で、蓮たちはその重大な意味に思いを巡らせていた。

この遺跡は単なる召喚の施設ではなく、召喚者を"礎"とすることで世界の理を作り替える何かが隠されている可能性がある。


「……召喚者を"兵器"ではなく"礎"とする、か」


蓮は石碑に刻まれた文字をなぞるように指でなぞりながら、考え込んだ。


「"礎"ってことは、召喚者が何らかの形でこの世界に深く関わる役割を持ってるってことよね?」


リーナが鋭い視線で問いかける。


「もしかすると……召喚者がこの世界の構造そのものを変える存在ってことかもしれねぇな」


シャムが腕を組みながら呟いた。


「でも、どうして帝国がこの遺跡を狙うの?」


イリスが疑問を口にする。


「考えられる理由は二つ。ひとつは、新たな召喚を行うため」


エルシアが淡々と分析する。


「それなら、帝国はもう召喚者を使い捨ての兵器としてしか見ていないってことね……」


リーナの言葉に、場の空気が張り詰める。


「もうひとつは……召喚者を利用して"世界の理を作り変える"ため」


蓮の言葉に、全員が息を呑んだ。


「そんなことができるの?」


イリスが信じられないという顔をする。


「確証はない。でも、"礎"という表現を使っている以上、何らかの形で召喚者がこの世界の基盤に関与している可能性はある」


リーナが慎重に推測を述べた。


「……もし帝国がそれを理解した上で動いてるとしたら?」


エルシアが厳しい表情を浮かべる。


「世界の理を変えることで、自分たちに有利な状況を作り出すつもりかもしれない。例えば――"召喚者を無限に生み出す"とか」


「……それじゃあ、異世界人が際限なくこの世界に呼び出されることになる」


シャムの声には、明らかな怒りが滲んでいた。


「そんなことはさせない」


蓮は静かに、しかし強い決意を込めて言った。


その時――


ドォォォォン!!


突如として遺跡の入り口の方角から爆発音が響いた。



「敵襲!? くそ、やっぱり帝国の連中が動いたか!」


シャムが即座に剣を抜く。


「外の騎士団はどうなっているの?」


イリスが鋭く問いかける。


「わからない。だが、この爆発の規模を見る限り、ただの奇襲じゃない……!」


蓮が即座に判断を下し、仲間たちに指示を飛ばす。


「リーナ、エルシア、先に結界を張れ! イリス、後方の通路を封鎖して敵の侵入を防げ!」


「了解!」


リーナとエルシアが魔法陣を展開し、遺跡内部に強力な防御結界を張る。イリスも素早く杖を振り、石壁をせり上げて通路を塞いだ。


「外の様子を見てくる!」


蓮は仲間たちに指示を出した後、素早く遺跡の入り口へ向かった。



遺跡の入り口では、数十人の帝国兵がすでに展開し、騎士団と激しい戦闘を繰り広げていた。


「……見覚えのある奴がいるな」


蓮の目が捉えたのは、一人の黒いローブを纏った男。


「"魔術師団長"のカール・バルトか……」


帝国の上級魔術師であり、かつてシャムを捕縛しようとした張本人。


「蓮、出てくると思っていたぞ」


カール・バルトが不敵な笑みを浮かべる。


「貴様らの目的はわかっている。だが、俺たちがこの遺跡を手に入れることはさせない」


「フフ……それはこちらの台詞だ」


カールが手を上げると、周囲の魔術師たちが一斉に詠唱を開始した。


「こいつら……最初から大規模魔法で制圧するつもりか!」


蓮は咄嗟に防御魔法を展開しようとするが、カールはすでに次の言葉を口にしていた。


「"開け、次元の門"」


ゴゴゴゴ……!


大気が歪み、空間が裂けるような音が響いた。


「何をしようとしている……!?」


蓮が警戒する中、カールの足元に巨大な魔法陣が浮かび上がる。


「貴様たちのような異世界の者に頼らずとも、我々は"新たな召喚"を行うことができるのだよ」


「……なに?」


その瞬間――


バシュゥゥゥゥンッ!


魔法陣の中心から、巨大な光の柱が立ち昇った。


「こ……これは!?」


蓮の目の前で、ゆっくりと"何か"が現れようとしていた。


新たなる召喚が始まる――。

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