第56話 鉄壁の要塞、ゴルザ
イリスとカーティスの激戦が続く中、新たなる脅威が戦場に立ち塞がる。《鉄壁のゴルザ》――圧倒的な防御力と怪力を誇る帝国四天王の一角。蓮はゴルザの突破を試みるが、その堅牢な防御はまさに要塞。果たして、蓮はこの鉄壁を打ち破ることができるのか……?
「……なるほどな。カーティスは楽しそうにやってやがる」
雷鳴が轟き、イリスとカーティスの戦いが空を駆ける中、戦場の別の地点で圧倒的な存在感を放つ男が一歩を踏み出した。
「さて、そろそろ俺の出番だな」
地響きを伴って現れたのは、巨大な鋼鉄の鎧を纏う男。《鉄壁のゴルザ》。
彼は己の巨体を誇示するように両腕を組み、そのまま蓮を見下ろした。
「お前が……蓮か?」
「そうだが……お前がゴルザ、か」
蓮は警戒しながらゴルザを睨む。
カーティスのような超速の動きはない。しかし、その存在感はまるで山。巨大な盾のような腕、全身を覆う分厚い鎧。攻撃が通じる気がしない。
「カーティスの速さに追いつけるとは大したもんだが……俺の相手は務まるのか?」
ゴルザは低く笑うと、背負っていた巨大な戦斧を地面に突き立てた。
「……どういう意味だ?」
「簡単な話だ。俺の守りは帝国最強。お前の攻撃ごときで崩れるか試してみろ」
「……試してやろうじゃないか」
蓮は剣を構え、魔力を込める。
「《フレイム・ブレード》!」
刀身に炎を纏わせ、一気にゴルザへ斬りかかる。
しかし――
「……ふん」
ゴルザは腕を軽く振り上げただけで、蓮の剣を受け止めた。
ガキィィンッ!!
衝撃音と共に、蓮の腕に鈍い振動が走る。
「なっ……!」
蓮の一撃が、ゴルザの鎧にすら傷をつけていない。
「そんなもんかよ」
ゴルザは不敵に笑う。
「なら、俺の番だ」
ブンッ!
ゴルザの巨大な拳が唸りを上げ、蓮へと襲い掛かる。
「くっ……!」
蓮は《瞬間移動》で即座に回避した。
拳が地面を捉えた瞬間――
ドガァァァン!!!
大地が砕け、巨大なクレーターが生じる。
「……冗談だろ」
蓮は戦慄した。
一撃の威力が異常すぎる。もしまともに喰らえば、ひとたまりもない。
「《アイスランス》!!」
蓮は即座に氷の槍を放つが――
「甘ぇ」
ゴルザは腕を振り回し、氷の槍を弾き砕いた。
「ハハハッ! そんな魔法じゃ俺は止まらねぇぞ!」
ゴルザが戦斧を振り上げる。
「《グラビティスラッシュ》!」
ゴォォォォッ!!!
黒い重力波を伴った斬撃が放たれ、蓮は《瞬間移動》で回避。
しかし――
ズガァァン!!!
重力の斬撃が地面を抉り、周囲の王国兵たちが吹き飛ばされる。
「……厄介すぎる」
蓮は歯を食いしばった。
防御力だけではない。攻撃力も規格外。
まさに要塞のような男――それがゴルザだった。
「おら、どうした? まだまだ行くぞ!」
ゴルザが突進する。
蓮は即座に魔法を発動した。
「《エア・スラッシュ》!」
空間を切り裂く刃を飛ばすが――
「ぬるい!!」
ゴルザは腕で弾き飛ばした。
「なら、これならどうだ!!」
蓮は奥の手を解放する。
「《雷撃連閃》!!」
雷の刃が無数に放たれる。
ドドドドドッ!!!
しかし――
「効かねぇよ!」
ゴルザは真正面から受け止め、その場に立ち続けていた。
まるで、雷すら意に介さない鋼鉄の壁。
「マジかよ……」
蓮は焦燥感を覚えた。
まともに戦って勝てる相手じゃない。
ならば――
「策を使うしかないか」
蓮は冷静に周囲を見渡し、勝機を探る。
「さて、そろそろ終わりにするか?」
ゴルザが戦斧を構え、蓮に向かって突進する。
――このままでは負ける。
だが、蓮は策を思いついた。
「なら……試してみようか」
彼はニヤリと笑い、新たな魔法を発動させた――!
いつもお読みくださり、ありがとうございます。
今更ですが、次の話から「あらすじ」載せないことにします。
どんな話になるか最初に分かってしまうと、ワクワクしませんよね。
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