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第52話  戦場の覇者

イリスの参戦によって戦況は一気に逆転するかに思われた。しかし、ガルバード将軍もただの武人ではない。

彼は帝国軍の最終兵器ともいえる切り札を投入し、戦場はかつてない混沌へと突き進む。

王国軍と帝国軍の全面激突――果たして勝敗の行方は如何に!?

風切峠の戦場は、イリスの登場によって火炎の嵐と化していた。

巨大な炎の竜が帝国軍を蹂躙し、蓮の魔法と合わさることで、戦場の地形すら変えていく。


「おいおい……こんな魔法、聞いたことがねぇぞ!」

「ば、化け物か……!」


帝国兵たちは炎の猛威に恐怖し、前線は一気に崩れかけていた。


「このまま押し切るぞ! 王国軍、突撃!」


蓮の号令と共に、王国軍の兵士たちが一斉に前進する。

戦場の空気が変わりつつあった――まるで勝利が目前にあるかのように。


しかし、それを許すほどガルバード将軍は甘くなかった。


「ふっ、なかなか見事な魔法だ。しかし――」


将軍は静かに指を鳴らした。


すると、帝国軍の後方に陣取っていた黒衣の集団が動き始めた。


「まさか……!」


蓮の目が見開かれる。彼らはただの兵士ではない。黒衣の男たちは各々が異様な魔力を放ち始めた。


「……帝国の黒騎士団か!」


シャムが険しい表情で呟いた。


「何者だ?」


「帝国の秘密部隊……正規の軍人ではなく、王族直属の暗殺者部隊だ。強力な魔術を操る戦士が揃っていると聞いている」


黒騎士団の隊長らしき男が、蓮とイリスをじっと見つめる。


「――排除対象、確認。戦闘開始」


その言葉と共に、黒騎士たちが一斉に攻撃を仕掛けてきた。



「っ……!」


蓮は素早く《バリアウォール》を展開し、迫る魔法攻撃を防いだ。


黒騎士団は剣技と魔法を自在に組み合わせ、王国軍の兵士たちを次々と圧倒していく。


「くそっ……こいつら、ただの兵士とは段違いだ!」


シャムが黒騎士の一人と刃を交える。だが、相手の剣は異様なほど重く、通常の騎士とはまるで違う戦闘能力を持っていた。


「《雷閃》!」


シャムが電撃を纏った剣を振るうも、黒騎士は紙一重で回避し、逆に高速の斬撃を繰り出してくる。


「ぬっ……!」


辛うじて受け流すが、敵の剣圧は凄まじく、一瞬でも気を抜けば即座に致命傷を負うほどの実力者ばかりだった。


「……おもしろいじゃないの」


そんな中、イリスはまるで余裕の笑みを浮かべていた。


「私の目覚めを邪魔するなんて、覚悟はできてるでしょうね?」


イリスは片手をかざし、周囲の魔力をかき集める。


「《ドラゴニック・テンペスト》!」


天空から吹き下ろされた暴風が、黒騎士たちを飲み込む。しかし――


「……フッ」


黒騎士団の一人が、魔法を無効化するような動きを見せた。


「何?」


イリスが目を細める。


「……この感じ、まさか――!」


蓮もすぐに気づいた。


「《魔封じの術式》……か!」


黒騎士団の一部は、特殊な魔法封じの技術を使い、イリスや蓮の魔法を相殺し始めたのだ。


「チッ……厄介ね」


イリスは舌打ちをしつつも、なお余裕を崩さない。


「だったら――力技でねじ伏せるまでよ!」


彼女の体が一瞬で動いた。


「――ッ!?」


黒騎士の一人がイリスの拳を受けた瞬間、衝撃波と共に吹き飛ばされた。


「な……っ!?」


周囲の黒騎士たちが驚愕する。


「ふふっ、どうしたの? 魔法を封じたところで、私の肉体の強さまでは封じられないわよ?」


イリスは不敵に笑いながら、次々と黒騎士たちを蹴散らしていく。


「うおおおおお!!」


王国軍の士気も上がり、全軍が反撃を開始する。


ガルバード将軍の切り札

しかし、ガルバード将軍は冷静だった。


「ここまでか……いや、まだだ」


彼は腰に携えた剣を抜いた。


「……《帝剣ヴォルカニス》」


抜かれた剣から、圧倒的な魔力が放たれる。


「……!」


蓮もその剣を見た瞬間、直感した。


(やばい……! あの剣の力、桁違いだ!)


「さあ……真の戦場は、ここからだ!」


ガルバード将軍が前進し、戦場は新たな局面を迎えようとしていた――。

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