表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/201

第34話  竜の試練

白銀の古代竜・イリスは、自らを仲間とする資格があるかどうかを確かめるため、蓮たちに試練を課す。圧倒的な魔力を誇る彼女に対し、蓮たちは力を尽くして挑むが、戦いの中でイリスの本当の目的が明らかになり――。

巨大な白銀の翼が広がり、空を切り裂く風が遺跡の中心に渦巻く。


蓮たちは目の前にそびえ立つ存在を見上げた。


古代竜――イリス。


その姿は、まさに神話の中の存在だった。全身を覆う白銀の鱗は、まるで月の光を映し込んだかのように輝き、瞳は深紅に燃え上がる。


「さあ、始めるぞ」


彼女の声が響くと同時に、空気が震え、魔力が奔流となって広がった。


「リーナ、シャム、距離を取れ! 俺が先陣を切る!」


蓮は即座に指示を飛ばし、足元に魔力を集中させる。


「《風翔》!」


魔法の力で身体を浮かせ、一気にイリスへと接近する。


だが――


ゴウッ!!


イリスの翼がわずかに動いただけで、暴風が発生し、蓮の体が押し戻された。


「ぐっ……!?」


重力を無視するような力が全身を襲う。まるで嵐の中に放り込まれたようだった。


「舐めるなよ!」


蓮はすかさず魔法を発動する。


「《炎槍》!」


空中で身体をひねりながら、強大な火炎の槍を生み出し、イリスへと放つ。


だが――


バチンッ!


火炎の槍はイリスの鱗に触れた瞬間、掻き消された。


「無駄だ。私の鱗は、並の魔法では傷つかん」


イリスが告げるや否や、次の攻撃が飛んでくる。


「《竜爪撃》!」


竜の前脚が振り下ろされ、大地が裂ける。


「まずい!」


蓮は《風翔》でギリギリ回避するも、衝撃波が身体を打ち抜く。


「くそっ……!」


「援護します!」


リーナが杖を構え、詠唱を始める。


「《聖なる雷槍》!」


神聖属性の雷がイリスへと走る。


しかし――


バリバリバリッ!!


雷撃はイリスの周囲で弾かれ、そのまま空へと散った。


「ふむ、なかなかやるな」


イリスは微笑むように言いながら、今度は口を開いた。


「ならば、これはどうだ」


その瞬間――


ゴォォォォォッ!!


真紅の炎が彼女の口から放たれ、蓮たちへと迫る。


「しまっ……!」


瞬時に《水壁》を発動するが、炎の圧力が想像以上で、蓮は吹き飛ばされた。


「ぐっ……くそ、やばいな……」


立ち上がると、シャムが駆け寄ってきた。


「蓮、大丈夫か!? こっちも防戦一方だ!」


「分かってる……でも、諦めるつもりはない」


蓮は再び剣を構え、冷静に戦況を分析する。


イリスの鱗は強固で、並の魔法や物理攻撃は通じない。


だが、彼女が「試している」と言った以上、単なる力比べではないはずだ。


蓮は深呼吸し、魔力を込めた。


「なら、賭けてみるか……」


全身に魔力を集中し、彼は呟いた。


「《全属性融合魔法・破邪閃光》!」


白銀の閃光が蓮の剣を包み込む。


「なに?」


イリスの瞳が驚きに揺れる。


「うおおおおお!!」


蓮はそのまま、彼女の巨大な前脚へと飛び込み――


ズバァァァン!!


一閃。


光の刃が鱗を貫き、イリスの体を揺るがした。


「くっ……!」


イリスが僅かに後退する。


――通じた!


「どうやら、お前は……本当に異質な存在のようだな」


イリスは再び人の姿に戻り、微笑んだ。


「試練は終わりだ。お前たちには、私と共に歩む資格がある」


蓮たちは安堵の息をついた。


「……つまり、俺たちの仲間になってくれるのか?」


「その通りだ。ただし――」


イリスは蓮の目を真っ直ぐに見つめた。


「私はただの従者にはならぬ。お前の守護者として、共に歩むことを誓おう」


彼女の言葉に、蓮は静かに頷いた。


「歓迎するよ、イリス」


こうして――


古代竜・イリスは、蓮の仲間となった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ