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第29話  闇にひそむ真実

蓮たちは新たな扉を開け、封印された者たちの記憶が眠る異世界の深層へ足を踏み入れる。試練を乗り越え、恐ろしい真実が明かされる中、彼らは最終的な決断を迫られる。

「ここが……?」


蓮は足元の異世界の空間を見下ろし、息を呑んだ。扉を抜けた先に広がるのは、今までの遺跡とはまるで違う、荒廃した世界だった。巨大な石柱が並び、その間にはひび割れた地面が広がっている。空はどこまでも黒く、異常なまでに重い雲が垂れ込めていた。


「まるで、死者の世界みたいね」


リーナが小声で言った。


「そうだな」


蓮は慎重に歩を進める。ここに足を踏み入れた瞬間から、何かが違うという感覚が体を支配していた。試練の終わりが近づいているようで、同時に恐怖も高まっていく。


シャムが前方に目を凝らし、何かを感じ取ったようだ。


「誰かいる……」


その声に蓮は反応し、瞬時に剣を握りしめる。


「あれは……?」


蓮の視線が向けられた先には、一人の人物が立っていた。だが、その姿は人間ではなく、どこか不気味な存在感を持っていた。


その者は黒いローブに身を包み、顔はフードに隠れて見えなかった。だが、その背後から発せられる圧倒的な気配に、蓮たちはその正体を直感的に悟った。


「お前は……」


蓮が低い声で呟くと、その人物がゆっくりと振り返った。フードの下から、蒼白い顔が覗き見える。目の前に現れたその者は、まさに古代の魔術師であることが、蓮の直感でわかった。


「お前たちが来ることは予見していた」


その魔術師が低い声で言った。声に込められた冷徹な響きが、周囲の空気を凍らせた。


「お前が……封印された者なのか?」


蓮は問いかける。


「封印? そうだ、私はこの世界の封印に関わる者の一人だ。しかし、私の封印が何を意味しているのかを知りたければ、その先に進むがよい。だが、覚悟を決めるのだな」


魔術師は冷徹な目で蓮たちを見据え、さらに深く、彼らに語りかけた。


「封印された者たちが待ち受ける真実、それは……お前たちが想像するような単純なものではない」


その言葉に、蓮の心はわずかに揺らぐ。すでに彼らは数々の試練を乗り越えてきた。しかし、この最後の真実に向かって進むことは、全ての運命を大きく変えることになるのではないかという不安が、蓮の胸を締めつけていた。


「お前が言う真実とは、何だ?」


蓮は声を強くして問い詰める。


魔術師は冷徹な笑みを浮かべると、静かに言った。


「その答えは、お前自身が見なければならない。それが、この世界を覆う封印の正体だからだ」


その言葉が終わると、魔術師の姿が徐々に消え、霧のようにかき消えていった。蓮たちはその姿を見送りながら、再び進むべき道を選ばなければならなかった。


「何か、すごく重いものを背負ってしまった気がする」


リーナが呟くと、蓮は少しの間無言で立ち尽くしていた。


「だが、もう後戻りはできない。あの者が言った通り、進むしかないんだ」


蓮の声には、これから待ち受ける未知の試練に対する決意が込められていた。


一行は進み始めた。その先に待つ真実を知るために、そしてそれがもたらす結果を受け入れる覚悟を決めて。


進む先には、古代の魔術師が遺した「封印」の真相が待っている。蓮たちの前に広がる闇と、その先に隠された真実を、彼らは知らなければならない。


そしてその真実が、何を引き起こすのか、それはまだ誰も知る由もなかった。

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