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第28話  封印された真実

蓮たちは新たな扉を開け、封印された真実を求めて次の試練に挑む。試練を乗り越え、七つの門が示す終焉の意味を解き明かすため、彼らは未知の世界へと足を踏み入れる。

「七つの門が開かれる時、それはただの終焉ではない。封印された真実が、すべてを変えるだろう――」


魔物の最後の言葉が、蓮たちの胸に重く響く。試練を乗り越えたとはいえ、彼らの前に立ちはだかるのは未知の世界の扉だけだった。新たに開かれたその扉を前にして、蓮は深い息をつき、心を落ち着ける。


「真実を知るって……いったい、どんなことが待っているんだろうな」


リーナが呟く。彼女の顔には不安と興味が入り混じった表情が浮かんでいた。


「分からない。でも、行くしかない」


蓮はその言葉を静かに返すと、歩みを進める。シャムもそれに続き、リーナが最後に扉を見つめてから、ゆっくりと扉を開けた。


扉が開いた先には、暗闇の中にわずかな光が差し込むだけの不思議な空間が広がっていた。目の前に広がる光景は、まるで異世界に通じているかのような感覚を覚えさせた。浮かび上がる巨大な石柱、その上に彫られた奇妙な文字、そして床には見たこともない魔法陣が広がっている。


「ここが……次の試練の場所?」シャムが目を細めて言った。


「おそらくな。だが、これまでとは何かが違う気がする」


蓮が慎重に言葉を選んで言う。その直感は、彼が経験してきた試練をはるかに超えるような予感をもたらしていた。


「見ろ……」


リーナが指差す先には、中央に浮かぶ巨大な魔法陣があり、その上に、今まで見たこともないような古代の遺物が安置されていた。それはまるで封印されていたもののように、異様な雰囲気を放っている。


「これが……」


蓮は歩み寄りながらその遺物に目を向ける。それは一見、ただの石でできた遺物に見えるが、その表面には無数の呪文が刻まれており、触れた瞬間に何かを感じるほどの魔力を放っていた。


「これは、間違いなく封印の源だな」


蓮が呟く。


突然、遺物から強い光が放たれ、蓮たちは思わず後退する。次の瞬間、その光は収束し、中央に浮かんだ存在が姿を現す。それは人型ではなく、まるで魔法が具現化されたような存在だった。漆黒の鎧を纏い、顔を隠す兜をかぶったその姿は、恐怖と畏怖を同時に感じさせるものだった。


「我はこの地に封印された、古代の力を宿す者。お前たちがその力に触れし時、その道を選ばねばならぬ」


声は低く、重みを帯びていたが、どこか冷徹であった。


「お前が……封印されていた者?」


蓮が問いかける。


その声はまたしても響いた。


「我は、かつてこの世界を支配せんとした者。だが、我の力は暴走し、世界を破滅に導きかけた。故に、この場所に封印されたのだ。」


リーナが驚きの表情を浮かべる。


「つまり……お前は、世界を壊す力を持っていたのか?」


「そうだ。だが、封印の中で目覚めたのは、ただの力ではない。封印された場所には、何かが隠されている。それこそが、この世界に与える影響を決定づけるものだ。」


その言葉の中には、何かが封じられているという暗示があった。


蓮はその言葉に耳を傾けながら、静かに考えた。封印されし者の言葉には、ただの力以上の何かが含まれている。それが、何を意味しているのか。


「その力を、俺たちが解き放つべきなのか?」


蓮は尋ねた。


封印された者は、ゆっくりと動きを見せながら答える。


「解き放つのは、お前たち次第だ。その選択が、この世界の運命を決定づけることとなる。だが、もし解き放つならば、お前たちはその力をコントロールする覚悟を持たねばならぬ。」


「俺たちにその覚悟があると思っているのか?」


シャムが不安げに問う。


「お前たちが、ここに辿り着いた理由を知っている。だが、その理由に従い、この力をどう使うかは、全てお前たちにかかっている。」


封印された者の目は鋭く、蓮たちを見据えていた。


その言葉を聞いて、蓮は何かを決意したようにうなずいた。


「俺たちがこの力を使うことで、この世界を守るための手段にする。それが、俺の選択だ。」


その言葉に反応するかのように、封印された者はゆっくりと腕を上げ、空間を震わせる。次の瞬間、光が爆発的に広がり、蓮たちは一瞬、何も見えなくなった。


光が収まると、目の前には広大な景色が広がっていた。それは、異次元のような空間で、無限の光と闇が交錯する場所。そこには、無数の扉が浮かんでおり、それぞれが別々の世界に通じているかのようだった。


「これは……一体、ここはどこ?」リーナが驚きの声を上げた。


「ここが……七つの門の真実を秘めた場所か。」


蓮はその広がる景色を見つめ、思わず呟いた。


その瞬間、再び声が響いた。


「お前たちが選ぶべき扉は、一つだけだ。それを選んだ時、すべてが決まる。」


蓮は深く息をつき、目の前に広がる無限の扉をじっと見つめた。それぞれが異なる運命を示すかのように、蓮の心に強く迫る。何を選ぶのか、どの扉を開けるのか、その答えを出す時が来た。


「行こう。」


蓮は決然とその言葉を口にした。


そして、蓮たちは、その扉の中に一歩踏み出す――


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