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第27話  封印の終焉

蓮たちは黒曜石の守護者を倒し、「七つの門」の封印が解かれた時の終焉を警告される。謎の深まる中、蓮たちは次なる試練と謎の真相を求め、遺跡をさらに探索し続ける。


黒曜石の騎士が崩れ落ち、静寂が遺跡を支配した。その空間は、まるで時間が止まったかのようにひどく静まり返っていた。騎士の姿を映し出していた光景が、やがて薄れ、彼の残骸とその言葉だけが蓮たちの耳に残る。


「七つの門が開かれし時、封印は完全なる終焉を迎える……」


その言葉が、蓮の胸に強く響いた。彼の目の前に立つ新たな扉が、今度は一体何を意味するのか、何を引き起こすのか、その真実が恐怖のように彼を包み込んでいた。


「……終焉?」


リーナが呟くと、その声にはわずかな震えがこもっていた。シャムもまた、何かを感じ取ったのか、鋭い視線を遺跡の奥に向けた。


「七つの門が開かれることによって、何が起きるのか、それを知る必要がある。だが……その前に、何かを始める前に、慎重であるべきだ」


蓮は言ったが、その声には迷いの色は一切なかった。


「でも、もう後戻りはできないでしょ?」


リーナが反論する。


「あの騎士が言ってた通り、試練を乗り越えたんだから。もう一度、この場所を後にするには、何かしらの覚悟が必要だよ」


蓮はリーナの言葉にうなずき、深く息をつく。


「……ああ、俺も分かっている。だが、あの言葉が引っかかる。七つの門が開く時、それが終焉を意味するって一体、何が終わるというんだ?」


その問いかけが、まるで空気そのものに響くように広がった。遺跡の奥から、何かが動き出しているような気配を感じ取った瞬間だった。


「――新たな扉?」


蓮が目を見開く。遺跡の中央に突如として、巨大な扉が浮かび上がったのだ。まるで何かが呼び寄せたかのように、その扉は次第に姿を現し、青白い光を放ちながら、魔法陣のようなものが扉の上に広がった。


「また、扉か……」


シャムが眉をひそめ、呆れたように言った。


「これ、さっきの試練と関係があるんじゃないか?」


「七つの門か……」


蓮はその扉をじっと見つめながら、つぶやいた。


リーナが一歩後退し、警戒しながら言った。


「でも、どうしてこんな場所に突然現れるんだ? これまでの試練と違って、明らかに異なる空間が広がっているわ」


その言葉が終わった瞬間、蓮は一歩踏み出した。


「行こう。確かめるしかない」


扉が開かれると、目の前に広がったのは、まるで別世界へと繋がる異次元の空間だった。無数の浮遊する岩と、それを取り巻くように渦巻く暗黒の霧。蓮はその景色に息を呑み、次第に戦闘モードに入った。


「これが……試練の場所?」


シャムが辺りを警戒し、リーナも魔法の準備を始めた。


「おそらくな」


蓮が答え、すぐに剣を抜いた。


その時、空間の奥から、巨大な影が現れた。それはゆっくりと、まるで時間を引きずるように近づいてきた。その姿を見たとき、蓮はその影が魔物だということを直感で理解した。


「……試練の番人か?」


蓮が問いかけると、シャムが力強く短剣を抜き、リーナも呪文を唱え始めた。


「待て」


蓮が手を上げ、二人を制止する。


「こいつの動きに注目しろ。あまりにも遅すぎる。まだ、何かが隠されているに違いない」


だが、その思惑を裏切るかのように、魔物は一気に前進し、蓮たちに向かって突進してきた。


「来たか……!」


蓮はすかさず剣を構え、魔物の動きを警戒した。


その瞬間、魔物の一撃が鋭く飛びかかってきた。蓮はその攻撃を巧みに避けながら、反撃の隙を伺う。


「……速い!」


その攻撃をギリギリで避けた蓮が息を呑んだ。しかし、魔物は止まらず、次々と鋭い突きを繰り出してくる。


「こうなれば、力で押すしかない!」


蓮は剣を振るい、魔物の攻撃をすべて受け止めるように剣を重ねる。しかし、魔物の攻撃はそれほど強力で、すぐに蓮を押し込まれる勢いだった。


「シャム! リーナ! 援護を頼む!」蓮が叫ぶと、シャムが素早く短剣を投げ、リーナは魔法を詠唱し始めた。


「《雷槍》!」


魔法の雷が魔物を貫こうとするが、魔物はその攻撃を跳ね返し、さらに蓮に迫る。


「このままでは、勝てないな……」


蓮が冷静に言った。


「でも、俺たちにはまだ一つの手段がある」


その言葉と共に、蓮は剣を振り下ろした。


「《炎の裂け目》!」


剣から放たれた炎が魔物を切り裂く。裂け目から爆発的な熱波が広がり、魔物の動きを封じる。


「今だ!」


その隙に、シャムがもう一度、短剣を投げ、リーナも魔法を加えた。魔物はその攻撃を受けて、ついに倒れ込んだ。


「……終わったか?」


蓮が息をつきながら、倒れた魔物を見つめた。


その瞬間、倒れた魔物から声が響いた。


「試練は終わった。お前たちには、門を知る資格がある」


「門を知る資格?」


蓮が問いかけると、魔物は静かに続けた。


「七つの門が開かれる時、それはただの終焉ではない。封印された真実が、すべてを変えるだろう……」


その言葉が、蓮たちの心に重くのしかかる。試練はまだ終わっていない。次の扉が、何を示すのか——その答えを求めて、彼らは再び、進むべき道を選ばねばならない。

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