第25話 七つの門
闇の王の本体が封印されていると判明し、蓮たちは七つの門の手がかりを探ることに。まずは神殿の奥にある地下遺跡を調査することになるが、そこには古代の罠と守護者が待ち受けていた。遺跡に残された手記から、七つの門に関わる重大な秘密が明かされる——。
「地下に何かがある……」
リーナの言葉を受け、蓮たちは神殿の奥へと進んだ。かつて誰も足を踏み入れていなかったであろう重厚な石扉が、薄暗い光の中にそびえ立っている。
「……これ、どうやって開けるんだ?」
シャムが扉を押したり叩いたりしてみるが、びくともしない。
「待って。碑文の続きがあるわ」
リーナが扉の横に刻まれた古代語の文字を指差し、翻訳の魔法を使った。
“智慧を持つ者よ、答えを示せ——”
「……謎解きか?」
蓮は碑文の下に刻まれた三つのシンボルに目を向けた。
『太陽』
『月』
『炎』
「これ、どういう意味だ?」
シャムが腕を組む。リーナは慎重に考えながら答えた。
「この遺跡は2000年以上前のものよね。その時代の神話では、太陽は創造、月は静寂、炎は破壊を象徴していたはず……」
「ってことは、選ぶのは……?」
「破壊の象徴である炎を選べば、扉が開くんじゃないかしら」
「いや、待て」
蓮が制止した。
「普通ならそう考えるが、これは“智慧を持つ者よ”って書いてある。単純な答えを選ぶと罠が発動する可能性が高い」
「確かに……」
リーナは再び碑文を見つめた。
「創造と静寂……もしかして、“調和”が正解なのかも」
「つまり、太陽と月を同時に押す?」
「ええ。炎を選んだら、破壊の罠が発動するかもしれないわ」
「なるほど……やってみるか」
蓮とリーナは、それぞれの手で太陽と月のシンボルを押した。
ゴゴゴゴ……
鈍い音と共に、石扉がゆっくりと開き始めた。
「正解だったか……」
「さすがだな、お前ら」
シャムが安堵のため息をついた。
しかし、扉が完全に開いた瞬間——
ギィィィン!!
「うおっ!? なんだ!?」
突如、地下から強烈な魔力の波動が吹き上がった。
「これは……!」
蓮はとっさに防御魔法を展開する。
すると、闇の奥から何かが動く気配がした。
“試練を越えし者よ……我を倒し、門の秘密を知るがよい……”
響き渡る低い声。
そこに現れたのは、黒曜石の鎧を纏った騎士だった。
「……こいつが守護者か」
蓮は剣を構え、魔力を高める。
「さっさと片付けて、先に進むぞ!」
シャムも武器を抜き、戦闘態勢に入った。
地下遺跡に隠された七つの門の秘密を知るため、蓮たちは試練へと挑む——。




