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第24話  影の警告

闇の王の残滓を封印し、村の危機を救った蓮たち。しかし、影が最後に残した「まだ終わらぬ」という言葉が引っかかる。リーナが封印の状態を確認する中、地下神殿に残された古びた碑文が新たな脅威の存在を示唆する。封印されたはずの影の力は、本当に消え去ったのか——?


「『まだ終わらぬ』……か」


蓮は封印の魔術陣を見つめながら呟いた。魔力の乱れは落ち着き、影の残滓は完全に封じられたはずだった。しかし、胸の奥に広がる不安は消えない。


リーナは慎重に封印を調べながら、険しい表情を浮かべる。


「確かに封印は強化されたわ。でも……何かがおかしい」


「何かって、封印が破れる心配があるのか?」


シャムが剣を肩に担ぎながら尋ねる。


「そうじゃない……封印が、強化されすぎてるのよ」


「強化されすぎてる……?」


蓮は眉をひそめた。通常、封印は長年の魔力の劣化や干渉で弱まるものだ。しかし、リーナの言う通りなら、今回の封印は逆に異様なほど安定している。


「俺が魔力を注ぎ込んだからじゃないのか?」


「それだけじゃ説明がつかないわ。まるで——封印自体が意志を持っているみたいに……」


リーナが言葉を選びながら答えたその時だった。


ゴゴゴゴ……ッ


「な、なんだ!?」


神殿の奥から、微かな振動が伝わってきた。


「封印は問題ないはず……!」


リーナは急いで魔術陣を再確認する。しかし、封印の魔力は揺らぐどころか、安定したままだった。


「じゃあ、この揺れは……?」


蓮が警戒しながら周囲を見渡す。すると、奥の壁に刻まれていた古びた碑文が、淡く紫色の光を放ち始めた。


「これは……!」


リーナがすぐに駆け寄り、碑文を読み解こうとする。蓮とシャムもそれに続いた。


碑文の文字は古代語で書かれていたが、リーナの魔術で翻訳が進んでいく。


“闇は未だ滅びず 封ぜられしは その一欠片”


“真なる目覚めの時 七の門が開かれん”


“影の王は来たる——”


「……嘘でしょ」


リーナの声が震えた。


「ちょっと待て、これ……つまり?」


蓮はリーナを見つめる。彼女は震える指で碑文を指しながら答えた。


「封印されたのは……闇の王の“残滓”だけ。本体は……別の場所にいる可能性が高いわ」


「……最悪じゃねぇか」


シャムが舌打ちする。


封印したのは、闇の王の一部に過ぎなかった。本体が目覚めれば、今回の戦いなど取るに足らないものになるだろう。


「しかも、七つの門が開かれる……ってことは、封印が他にもあるってことか?」


蓮は碑文を睨みながら言う。


「ええ……そして、それがすべて解かれた時、闇の王が完全復活する……!」


「冗談だろ……」


シャムが呻くように言った。


「影が最後に言っていた『まだ終わらぬ』ってのは、こういうことだったのか」


蓮は拳を握りしめた。村の危機は去ったと思っていたが、それはほんの序章に過ぎなかったのだ。


「……蓮、どうする?」


リーナが不安そうに問う。


蓮はゆっくりと深呼吸し、決意を込めた声で答えた。


「決まってる。七つの封印が解かれる前に、手を打つ」


「おいおい、まさか……全部の封印を探して回るつもりか?」


「他に方法があるか?」


蓮はシャムを真っ直ぐに見つめた。


「ここで見過ごせば、いつか本当に闇の王が復活する。それを防ぐために、今動かなきゃならない」


「……はぁ、マジでお前って奴は」


シャムは頭をかきながら、苦笑した。


「でも、ま、やるなら付き合うぜ。俺の剣が必要だろ?」


「私も行くわ。封印の知識がなければ、七つの門の手がかりも掴めないもの」


リーナも力強く頷く。


蓮は二人の仲間を見つめ、ゆっくりと微笑んだ。


「じゃあ、行くぞ。闇の王を完全に封じるために——」


こうして、蓮たちは新たな旅へと踏み出す。


しかし、それがさらなる試練の始まりだとは、この時まだ知る由もなかった——。

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